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「恋心」の執念『黒く塗れ』

2019-08-25 07:50:50 | 人生を「生かす」には

@「恋心」は他人には邪魔されたくない、恋人がたとえ昔犯罪を犯した人物でも。 「恋心」を持った青年と商家の娘が縁離れを余儀無くされる。それは犯罪を犯した青年を娘の結婚相手としての将来を考えた親心だった。だが、青年は心を入れ替え、一生懸命商売を始め、世間の評価も良い方へ登り始めた。娘はその青年との「恋心」が忘れられず目の前から突然姿を消えた青年をずっと恋しく思っていた。時を経て、周りの評価も変わり「2人に幸せを」と二人の「恋心」は遂に結ばれ夫婦になる。妻は夫の昔の過ちを知った上での合意で、まさに「恋心」は誰にも邪魔されず結びついた。人の縁と言うものは、特に最初の出会いから生まれた「恋心」は誰も邪魔できない。文末の「世の苦」は世の常なのか。

『黒く塗れ』宇江左真理

  • 廻り髪結いと深川芸者との身分違いの恋も、様々な出来事を経てついに祝言をあげ、子供にも恵まれました。本職に、捕物に、相変わらず忙しい日々を送る伊三次。一方、思いがけず身籠もって子供を生んだお文は喜びと戸惑いが半々といった様子です。二人の暮らしから、ますます目が離せなくなる。
  • 「蓮華往生」
  •          年寄りの往生を願って天啓寺が大蓮華台の評判を高めた。そこにい収まると自然と往生死となる噂が広まり、数多くの往生死者が出ることに伊佐次は疑問を察し探索する。案の定坊主と周りのものが仕掛けた金儲けだった。
  • 「畏れ入谷の」
  •          御殿の女中奉公、大奥での下働き湯殿係が将軍に認められ側寝を命じられた。その女中はすでにある家臣と結婚しており、元家臣は藩の為、去り状を責められ、元妻と勤めの最後に一目見るだけの時を過ごす。
  • 「夢おぼろ」
  •          剣術を得意とする武家のおてんば娘に縁談があった。だが娘は相手が貧相で文武もイマイチで気に入らないことで断る。断られた男が富くじで当てた金で高級な櫛を、振られたその娘に贈った。最初は中を見ないまま投げ捨てた娘が、自分の一生独身生活の良し悪しを熟知することで考えが変わり始めた。
  • 「月に霞はどでごんす」
  •          商家の息子が酔った武士に殺される。斬った武士は処罰されず、殺された息子の両親は恨みを晴らすことにする。それは殺し屋を雇い殺害することであった。昔首切り浅右衛門で修行していた人物が浮かび上がり金儲けの罠にかけるとあっさり認める。
  • 「黒く塗れ」
  •          2人の商家の妻が呪いにかかり罪を犯す。呪いをかけるのはまやかしの医者で奉行所からも医者の業を剥奪された男だった。裕福な商家の財産から金を引き出すために呪いを掛け、紙に呪いを掛けると本人の意識なしで行動する。それを解くにはその紙を黒く塗りつぶすことだと解り、偽の呪い紙を使い奉行所で実証させる。
  • 「慈雨」
  •          読み書きを教える武家の老齢女性が足を痛め、青年が家で看病する。看病をしたのは昔巾着切りを犯した青年で、伊佐次は当時恋仲であった娘との縁談を遠ざけた。娘の将来に落ち度があってはならないと遠ざけていたが、看病された女性からすっかり足を洗ってまともな商売をしていると勧められた。双方に長く会えなかった青年と娘の恋心は一気に花が咲くことになる。

世の苦:生・老・死

            愛別離苦=愛しものと別れなければならない苦

            怨憎会苦=憎しみと恨みと出会う苦

            求不得苦=求めて得られない苦

            五蘊盛苦=人の身体を作っている5つものが盛んに欲望する苦

江戸の三富:湯島天神、谷中の感応寺、目黒不動