「川柳歳事記」

ピンセット

父の手を記憶しているピンセット

たましいを摘まんでみたいピンセット

腸につまみ出したいトゲがある

データベース（練る）

データベース（練る）

「川柳マガジン」への投句に、暗号句を避けるため、簡単なチェックをしている。

そして、その時に集めた句をブログに載せてみた。

「川柳マガジン」の２月号の題（川柳道）は、「練る」である。

通常、上５に来ると、選者が同じような句ばかり並ぶということできらうと聞いていたが、４月号に選ばれた句が出ており、それを見ると、特選、秀１に上５に「練る」が来ている。

そのほか、１０４句の中に、上５に題が来ている句が、３５句もある。

また、データベースで多かった「策を練る」が入った句が、２句ある。

そのほかどのようなものを練っているか見てみると、嫉妬心、うそ、生き方、土、試作、餡、記憶、辛子、台詞、毒、ワサビ、妥協案、アイデア、優しさ、言葉、マイプラン、戦略、案、お世辞、納豆、愛、そば、など。

これらを見ると、決して思い浮かばない言葉ではない。

結局は、データベースをいかにして使いこなすかだと思う。

「映像川柳」

金婚へ破れつくろう夫婦傘

　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳事記」

ハンドル

ハンドルの遊びにならい世を渡る

助手席のナビがハンドル取る平和

父ちゃんの耳がハンドル肩車

「川柳歳事記」

パン

仏様ときどきパンを召し上がれ

あんパンの丸さ父がいる母がいる

パン生地をこねる力がまだあった

「川柳歳事記」

運ぶ

はやぶさが未知の宝を運び終え

盥回し時世が軽視する命

吸収合併運ばれてきた父の椅子

「川柳歳事記」

葉書

遭難の山絵葉書が遺書になる

絵葉書の花が和ます風便り

沖縄が父の形見にしたハガキ

「老いて新鮮」松ひさし

混じり合う国なのに

鳥が空を飛び　Aの国の山からBの国の山へ移り棲む

魚が海を泳ぎ　Cの国の海からDの国の海へ移り棲む

鳥や魚に国の意識はないだろうから自然のこと

ヒトが国の境界を超えて移り動く　モノやコトも人のわざで移る

ヒトが鳥や魚のようになったのは進歩か　それとも・・・・・

人間が　会社が　お金が移っていったり戻ってきたりする

スポーツ選手が　芸術家が　仕事の引退者までも移動する

 

この国のヒトのだったはずなのに　ある日からよその国で活躍している

よその国のヒトだったのに　ある日からこの国で活躍している

 

（つづく）

Web句会

ユーモア

宅配に消毒をして封を切る　　　　　佳作

　　　　　　　　　　　美和　山吹

Web句会

「川柳歳事記」

波

君と漕ぐオールは波を恐れない

測れない愛の波紋の震源地

大波に追われた父の伝言板