柳誌題詠

機会
三才
人　ドラマ化で脚光浴びる過疎の駅
地　緊張が過ぎてハンスに逃げられる
天　このチャンス逃すと愛がこぼれそう

自選句（テーマ別）

茶
(１３句中の１３句)

一期一会茶筅静めてののじ書く
茶番劇だろうか窓が閉まらない
茶柱で気合の入る朝の靴
煩悩を抱いて悔いなき茶碗酒
豊かです茶道で学ぶ和の心

自選句

鍵穴から見える程度の視野である
なだらかな坂で気持ちを引き締める
夢を追う靴だ毎日磨かねば
山口光久

柳誌題詠

機会
五客
折りを見て話しておくと断られ
良縁の知らせを月が持ってきた
偶然のチャンスで趣味の花が咲く
ふいに来るチャンスは落とし穴を連れ
輪を抜けてやっとドアノブ見てくる

自選句(テーマ別)

茶
(１３句中の8句)

酒好きも仏になればお茶にする
ひらがなの言葉ゆっくり昼のお茶
得意より失意の長さ茶を啜る
今年また知覧のお茶に来た蛍

自選句

空に坂溶かして秋のトランペット
辞書にない想いが溢れ出る手紙
鼓笛隊　森を童話にしてしまう
矢沢和女

柳誌題詠

起きる
三才
人　春風に秘密の一つ目を覚ます
地　起き上がり小法師胸にひとつ棲む
天　何度でも起き上がれます麦だから

自選句(テーマ別)

茶
(１３句中の４句)
通されてお構いなくとお茶を待つ
忙中閑仏と旨いお茶を飲む
あとを引く紅茶に溶けぬ蟠り
幸せはこんなものかとお茶を注ぐ

自選句

自民圧勝貴党のツケを糺す時
モジリアニの首で見ている坂野景
祇園会の坩堝を巡る如是我聞
村上氷筆

柳誌題詠

題：起きる
五客
転んでもただで起きない底力
大事件起きると書いて本を売る
窓明かりゆっくり起きる余生の日
ゆっくりと野心を抱いて起き上がる
リハビリの一歩始まる床ばなれ