「川柳歳時記

蛍
意外にも暴言癖がある蛍
ここ数年蛍も男も見ていない
筆順を間違え蛍ふえてゆく

「川柳歳時記

蛍
まだ独り冬のホタルが胸に棲む
こっちの水は甘いと呼べぬ放射能
郷愁を誘う蛍火母を恋う

「映像川柳」

ジジ叱りババが宥める出来レース
　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳時記

花火
手花火の球ぽとり落ち心も闇
打ち上げた花火が消えるマニフェスト
魂の昇天美しく咲く遠花火

「近詠」

ふり返る時間が惜しい老いの日々
　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳時記

盗む
いい月を盗んでそっと盆に置く
喉越しのビールが愚痴を盗み去る
良心がコピーの度に削られる

「近詠」

仕込まない種は発酵してくれぬ
　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳時記

庭
縄張りを地主の顔で歩くミケ
ほうきめのはじめどこかと竜安寺
剪定を終えた庭木が背伸びする

「近詠」

貧乏と長寿の手相見飽きてる
　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳時記

舐める
格下となめてかかって火傷する
アユ釣りの雨に舐められビクを蹴る
どこ見てる国民舐めりゃケガするぞ