シルバー・ボーイの詩遊び
高名な作家の小説に 詩を書く少年という題の作品があったな
詩なんぞは感傷的な内向きの世界とか 日陰のものとか
詩は若者には似つかわしいが 今どきはインターネットの世界で忙しい
詩なんぞを相手にする老い人は 悩みがあるからか 悩みがないからか
若者たちはためらいもなく 思いを言葉に丸めて
部屋の窓からネットの世界の地下街へ放り投げる
老いゆく者の前途は しだいに道は細るけれど
成長より老いに感慨 老い衰える初体験 老いて新鮮
年を重ねて身についた浅知恵を厚かましさに励まされる
ときにエスカレーターを避け 階段を上ってのぼってみようとする健気さ
ボクのマエにミチはなく ボクのウシロにアシアトもない浮遊の日々
熟れた残り柿のような腐臭まじりの甘さが 老い人を詩に誘う
詩は言葉であるけれど
他人に分かってもらうことより 自分の思いを表すことが先に立つようだ
絵も音楽も 芸術とはそういうものか
詩は短い文なのに 分からないこと 難しいものが多い
深く考えた詩の言葉は少数の人に深く入っていけばいいらしい
分かりきった当たり前のことはつまらないが不自然はしっくりしない
だから夜が明けなかったり亡くなった人に再開すると戸惑う
老い人が老いた少年シルバー・ボーイになって 詩を書く
面白いものでなくても 美しい事 面白い事なのだ
詩か 詩もどきか なるほどか くだらないか
好き勝手に 言葉遊びをしてみよう
どこからか声が聞こえる
詩は遊びではない 真剣に向き合うものだ
耳の奥でささやく声がする
詩ではない 凡庸な饒舌だ
詩もどきでもない冗漫さ
言葉遊びにもならない無駄口よ
ともかく稚拙で低俗
でも そんな声が聞こえなくなる隠居部屋 独善ルームで
爺ちゃん小僧 シルバー・ボーイが悦に入る
詩に対し真剣に向き合っている人々に恐縮しながら
「戯れ言」