「川柳歳事記

学ぶ
大地震数字の恐怖もどかしさ
テキストが君を待ってる睨んでる
半袖が夏が近いと知っている

「川柳歳事記

本
本読んで乗り越し常習犯でいる
本などで教えられるか叩き上げ
思い出の詰まった本は手放せず

「川柳歳事記

分
同じ傷もって分け合う痛み止め
お見合いのあの日選んだ分かれ道
捨てようと仕分けはしたが捨てきれず

「川柳歳事記

開く
栄光も挫折もあった手を開く
新生へ大きく開く眼を洗う
吉凶を開く扉や新暦

「川柳歳事記

ハッピー
炊きたてのご飯ふたりだからうまい
×百個　どうもしあわせ者らしい
一歩ずつ瓦礫をまたぐ縄を綯う

「川柳歳事記

隣
ちとまぶし隣の芝生若い嫁
いつからか擦れ違ってるキミとボク
隣家との境に咲いた白い花

「川柳歳事記

貯める
通帳が貯まればおしゃれしたくなる
ストレスを貯めず楽しく生き上手
早いなあ箪笥貯金が逃げていく

「川柳歳事記

センス
ハウスマヌカンで決めた吉日の一張羅
ハイセンスの口説き文句に酔うピアス
わびさびの花一輪のにじり口

「川柳歳事記

すべすべ
のっぺらぼうと羽二重もちはコラボ
本物の虹ならすべすべしていない
満月になったらええがな茹で卵

「川柳歳事記

絞る
絞っても絞っても東電の頭脳
ちから絞り最後の砦守り抜く
絞り切る雑巾過去の罪までも