「川柳歳事記

欲しい
好きという勇気あの時欲しかった
欲しい物一つ出て来た福袋
平等が欲しいイスラム立ちあがる

「川柳歳事記

変遷
上向いて歩き始めた金次郎
又変える眼鏡の跡に老けた鼻
覇者の貌変わり時代が裏返る

「川柳歳事記

踏む
踏み込んだ取材は受けぬ脛の傷
二の足を踏み核心が遠ざかる
自分史に残す無駄足踏んだ跡

「川柳歳事記

ひまわり
ゴッホの絵バブルに沸いた頃もある
ひまわりの迷路に愛をためされる
六十五年前もひまわり咲いていた

「川柳歳事記

橋
吊橋が村の観光担わされ
戦場の橋にベレーのカメラマン
悔恨のいくばく橋が揺れやまぬ

「川柳歳事記

のんびり
窓際でのんびり座るこつを知り
のんびりと暮らしなさいと言う遺影
のんびりと暮らし同居に踏み切れず

「映像川柳」

喜びをうまく表せないで古希
　　　　　　　　　美和山吹

*この句を詠んだのは、ずっと、前です。

「川柳歳事記

庭
一族の盛衰みてる庭の石
二代目を継ぐ子はいない庭の草
剪定へ庭師の意地が妥協せず

「川柳歳事記

何故
勘違い載せてまっすぐ飛ぶメール
自画像になぜか付かない色がある
一枚の鱗と長い旅続く

「川柳歳事記

度胸
度胸なく保身の術は愛嬌で
日本丸度胸をすえて舵を切れ
世の中は度胸だけでは狭すぎる