「映像川柳」

迷子札かけて電車に子を乗せる
　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳時記

広い
木の下に秋を広げた五色の葉
日本は広いと思う雪だより
花入れてちょうどよくなる棺の中

「映像川柳」

父親が意見をされる歳となり
　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳時記

ひらり
聞いたふりらりと躱す妻の愚痴
蝶ひらり空切っている捕虫網
夜の長ひらりひらりと客の席

「映像川柳」

不ぞろいの有機野菜がよく売れる
　　　　　　　　　　　美和山吹

「Web句会

Web句会　ユーモア川柳　佳作
バアちゃんがまだ食べてないモランボン
　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳時記

微妙
売買がからむと振れてくる秤
微妙かな左右の眉の尻上がり
混乱が続くさくらも復興も

「老いて新鮮」 （松ひさし）

あの世とこの世

この世が昼なら　あの世は夜かな
昼は明るくてよく分かる　生きていることが分かる
夜は暗く　見えなくて分からない
月明かりや電灯では本当のところはよく見えない
昼はこの世　夜はあの世

夜には　あの世のほかに
この世のすぐ近くに　ゆめの世がある
ゆめの世は　この世の人が夢を見たり　疲れを癒す休憩所
夜に眠って朝目が覚めるのは
ゆめの世の休憩時間が終わったのだ
あの世に往って　この世に戻ってきた人はいない
あの世に往くときは目が覚めない　永眠だ

ゆめの世で休憩する眠りに入るとき
その瞬間がいつだったのか
おおかたの人は覚えていない　分からなくても目覚めるから平気
生きることが終わって
あの世に往くことは目覚めがなくて重大
往く時期も時間も分からない　この世との別離のときはいつか
未知の不安と知らぬが仏の平穏と　どちらを想うか

「映像川柳」

平等に生まれ叙勲で上下つけ
　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳時記

バレンタイン
聖人が不況助けるチョコレート
古希過ぎて賀状もチョコも来なくなり
血糖値バレンタインへ泣きを入れ