選者の責任

先日、「使い古された言葉」について書いた。
そして、今朝の読売新聞の地方版に川柳が掲載されていた。
月に２回くらい掲載されているのであろうか。
１０句掲載されているが、その中に「ケセラセラ」「走馬燈」という言葉が使われた句があった。
こんな使い古された句をよく選ぶなあと思った。
上の句は「ボタンなど掛け違っても」である。
ボタンの掛け違いというのもよく言われるところである。
なお、選者がどのような人かは、まったく知らない。

映像川柳

手術すりゃまだ間に合うと詰め寄られ

　　　　　　　　　　美和山吹
「さいたま市民文藝」平成２７年　優秀賞作品５句の内の第４句

自選句（テーマ別）

輪(２０句中８句)

一輪の梅が呟く春の詩
三世代喜寿を囲んだ輪が弾む
木洩れ日を浴びて輪廻を継ぐ若芽
年輪を重ねて光るいい笑顔
「全日本柳人写真名鑑」

「柳誌」

鳴き声を不吉に思う気の弱り
美和山吹

「川柳さいたま」９月号

　　　　　　　　　　

自選句(テーマ別)

輪(２０句中４句)

主張少し曲げてめだかは輪の中に
ゆったりと刻を紡いでいる埴輪
輪廻転生ペットと決めてる怠け者
階段の一歩かるくなる年輪
「全日本柳人写真名鑑」

同想句を超える句

ある「柳誌」を読んでいたら、同想句を超える句を作るための心がけのようなものが書いてあったので、引用させていただく。
「６大家の一人椙元紋太も、「同じ言葉を二度と使わない覚悟、これができれば同一同想の句は出来ない」と述べて居ます。」
どうですか、皆さん、他人の句を読んでいて、いい句だなと思ったら、逆にその言葉を使ってみようと思ったりしませんか。
私も「共白髪」について調べてみたところ、今までに３句詠んでいました。

自選句（テーマ別）

世間(３句中３句)

世知辛い世間近所も遠くなり
偏屈と言うが世間が弛んでる
信念にこだわり世間狭く生き
「全日本柳人写真名鑑」

使い古された言葉

毎月の柳誌を読んでいると、３０数名の雑詠の中に、同じ言葉が出てくる言葉がある。
例えば、２月頃の柳誌には、「鬼の面外せば」まで同じ句があったりする
もちろん１句を読めば、内容の深い良い句であることに間違いはない。
しかし、本当に良い句であろうか。
単にテクニックで詠んでいるだけではないかと時には疑ってみる。
今月号にも、「古疵」、「回遊魚」などの言葉が使われた句が２句でている。
また、前にも書いたけれど、「風」「雲」などを使えば、立派な川柳となる。
そいう私も、毎月１０句となると、詠むのに苦労しているところである。

「柳誌」雑詠

メリハリのある合いの手に救われる
煩悩をひとつ減らして生きのびる
　　　　　　　　　　「川柳さいたま」　　９月号

自選句(テーマ別)

世界(７句中７句)

メルヘンの世界で祖母と巡り逢う
世界一でした震災地の秩序
地の塩の枯渇していく世界地図
「全日本柳人写真名鑑」