「近詠」

電子辞書使わなくても減る電池

　　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳事記」

多忙

もう一人私が欲しいスケジュール

十指みな使い介護の陽が落ちる

忙しい人がしているボランティア

「老いて新鮮」松ひさし

熟して四苦八苦

ふしぎな果実シクハック

未熟でも光る青みの肌に引き世せられ

我慢できず　かじる

果肉はかたく酸っぱくて　かすかに甘い

炭酸水のような果汁の香りと酸味

日を重ねて育ち　熟れていく果実

成熟した甘さを思い心が浮く青い日々

 

ここらでおどけた言い草をしてみるか

青いまま　甘酸っぱさに　酔う若さ

詩句発句　四苦八苦

 

（つづく）

「近詠」

検温に回復の声遠ざかる

　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳事記」

旅

ビザ持たずウイルスうまく入国す

宇宙旅行地球の色を見に出かけ

自由泳いま人生の旅途中

「近詠」

呆けテスト画像三つが浮かばない

　　　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳事記」

たばこ

タバコ吸う人の後ろで責める咳

構想を練ってタバコの灰が落ち

一服が貴方好きよと離さない

近詠

胃の強さ何で決まるか弱すぎる

　　　　　　　　　　　　美和山吹

川柳歳事記

他人

巣立ちして他人の中で実が熟れる

スクラムを組めば他人もみな仲間

不意に雨他人ばかりの交差点

近詠

眼の異常鏡で見ても無い異常

　　　　　　　　　　美和山吹