「川柳歳事記

背中
少しづつ背中押されて迷いたつ
歳月が背名かと心まるくする
きっとくるこの子の背中借りる時

「川柳歳事記

寿司
江戸っ子でぇアボカドなんて寿司じゃねえ
トロにウニ財布気になる孫の口
客の顔見て決める今日の時価

「川柳歳事記

地震
震災地へ情が届くにぎり飯
大地震忘れてならぬ慰霊の碑
心して地震対策備え置く

「川柳歳事記

冴える
無限大になるまで冴え冴えと闇
ノーヒントで君の本音を言いあてる
如月や月光という駅に着く

「川柳歳事記

告白
告白を早くしないと間に合わぬ
穴掘って告白済ませ花植える
くたくたになるまで煮たら告白す

「川柳歳事記

決別
小沢との決別みものです総理
離婚して元気になった友と逢う
進むべき道が違ってきた二人

「川柳歳事記

組む
どう組んでみても私の足である
虚構に組んだ城が見事に崩れ去る
来年も生きている気の予定組む

「川柳歳事記

厳しい
推敲の熾烈に耐えた汗のペン
厳しさに耐え抜いてきたアイヌの血
延命装置二者択一という非情

「川柳歳事記

鍵
再生のカギは私の手の中に
鍵穴を通ると変わる主義主張
鍵穴の向こうはきっと花盛り

「川柳歳事記

掟
八・一五生きて虜囚は恥でした
門限の九時を守れるはずがない
春夏秋冬四季の掟が崩れ出す