「川柳歳事記」

バス
バス停に日傘廻して誰を待つ
タイミング外して席が譲れない
代わるがわる時刻表見てバス来ない

「川柳歳事記」

任
ふるさとの風に任せて生きのびる
任せとけ小銭を貯めた壺がある
任命を受けて所定の位置に付く

「川柳歳事記」

何故
民の何故霞が関に押し寄せる
何故ナゼを糧に子供の樹が育つ
空白の行が気になる友の文

「川柳歳事記」

ドキリ
札束を積まれて声が裏返る
あらあなたなぜこの時間この場所に
噂した主が後ろにいてドキリ

「川柳歳事記」

天
脳天に宇宙を秘めて写楽の絵
天の句で青空くれるあなた好き
一粒の砂にサインを出す宇宙

「川柳歳事記」

つぶやく
つぶやいてみてもどうにもなりはせぬ
仏壇に三言つぶやきチンで幕
停電だとつぶやくひんやり便座

「川柳歳事記」

中央
中央で声たかだかと反旗振る
中央で浮き沈みするのは理論
標的の覚悟真ん中辺に立つ

WEB句会

Web句会　９月
飲む
傘寿越え妻より誤嚥怖くなり　　　　
　　　　　　　　　　　　美和山吹　　　佳作　　島文庫選　

「川柳歳事記」

足す
梅一つ母の優しいお弁当
もう余生この句も一つ足しておく
もう少し足せば今より光る靴

「川柳歳事記」

空
空手形正々堂々切る政治
絵空事語った後の虚しさよ
機上から見れば貧富の空はない