自選句(テーマ別)

地図
(６句中の６句)

地の塩の枯渇していく世界地図
地図でしか行けなくなった山の旅

柳誌

妻の言翻訳すると愛してる

自選句（テーマ別）

地図
(６句中の４句)
子に残す地図へ確かな羅針盤
土曜日が来るたび肥える街の地図
日本地図逆さにすれば首都富山
中東の地図塗り替える炎の連鎖

柳誌

つり銭にレジで戸惑う老いた脳

自選句(テーマ別)

耳
(７句中の７句)

少年の耳は宇宙を受信する
永らえて昭和も耳も遠くなる
運命の鐘を悟りの耳で聴く

ジレンマに堕ちて耳鳴りまだ続く

柳誌

下手だから続けることができる趣味

自選句(テーマ別)

耳
(７句中の４句)
聴く耳をもてば酸素が増えてくる
後期の語耳が一ミリ伸びてくる
乗り継いで優しい耳に逢いに行く
味方でもみんなかたちの違う耳

現代川柳ブーム（７）

ここで少し脱線するが、俳聖といわれた芭蕉についてみてみよう。
芭蕉の俳句は、決してむつかしい言葉も使っていないし、だれでも比較的内容が理解しやすい。
だからと言って、文学性が低いわけではない。
そうなると、川柳を詠んでいる人たちの言う「文学性」とは一体何なのか、誰かに教えてもらいたい。
川柳ももう一度原点に戻る必要があるのではなかろうか。
それでは、古川柳をいくつかのせて、終りとします。

寝ていても団扇の動く親心
雷をまねて腹がけやっとさせ
子が出来て川の字なりに寝る夫婦

自選句(テーマ別)

靴
(９句中の９句)

夢を追う靴だ毎日磨かねば
ひらめいた夢を広げる今朝の靴
茶柱で気合の入る朝の靴
履き慣れた靴で仕事の鬼となる
気くばりは万全で靴下の穴

自選句(テーマ別)

靴
(９句中の４句)
アラジンのランプのようなおとこ靴
履き潰す靴の数だけ好奇心
妻の靴そろえて今日も共稼ぎ
人生の出会いの数と古い靴