「映像川柳」

散骨に決めても墓地のチラシ見る
　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳時記

示す
好き嫌いだけで押してる削除キー
オレ流の墨痕白い闇に跳ね
箇条書　かく生きよとて母の遺書

「老いて新鮮」 （松ひさし）

華麗な仲間たち

赤ちゃん誕生　みんなゼロ歳
ヨーイ・ドン　仲間たちのレースが始まる
歳月で老いる年齢はみな同じ
見た目の老い　身体の老化年齢を評価する加齢度レース

幼児期　泣いて笑って
青少年期　悩んで迷って
中年期　汗かきくたびれて
レースはここまで少々のでこぼこがあっても
不運な脱落者以外は　みんなヨーイ・ドンから六十年
仲間たちが横一線で還暦コーナーへ向かう

ヨーイ・ドンから六十年のタイム
還暦コーナーを過ぎ
仲間たちの進むスピードに差が目立ってくる
進度を上げた仲間は
ヨーイ・ドンから六十五年のタイムで
早くも古希のコーナーにかかる見た目の加齢度

（つづく）

「映像川柳」

魂胆の見えぬ誘いに乗ってみる
　　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳時記

じめじめ
梅雨空に世界遺産の知らせ聞く
居酒屋に捨てるじめじめした話
湿っぽい空気へ妻の暑いお茶

「映像川柳」

遺言に修正液が乾かない
　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳時記

しのぶ
何度目になるのか母の彼岸花
忍一字火消しの壺が増えていく
母偲ぶ花屋のドアを開けている

「映像川柳」

老い先が無理を承知で駄駄こねる
　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳時記

しっとり
プライドを神に委ねた紙オムツ
赤飯がしっとり蒸けて母の味
人許しなぜかしっとりする左脳

「映像川柳」

気持だけうれしくもらう子の厚意
　　　　　　　　　　美和山吹