知られない力 無名力
大勢の人がそばを通り過ぎる
だれも私に気づかない
見れば 私の居ることはわかるはずだけれど
叫んだり話しかけたりしなければ 目をとめて記憶されることはない私
我が家と隣り近所くらいは別として
世間は私のことを知らない
私は虚弱で無力だ
注目されるような知の力や芸の力もない
スポーツの技力もなく体力は弱々しい
財力も親の光る力もない
私は注目されないから
どこへ行こうと何を食べようと気楽なもの
何をして遊ぼうとも気ままだ
無理をしてがんばってみても
非力 微力で人並み以下である
無力な者に 世間は期待や注目はしない
言葉を忘れたり道をまちがえたりしても
少々笑われることはあっても 非難されることはない
世間に気兼ねなく 思いのままでいられる自由
注目されないことの安楽
「戯れ言」より (つづく)