このブログを始めてから、11年がたちました。
「川柳歳事記」は、良い川柳を読む機会のない人のため載せています。
曲がる
人生はいつかどこかで曲がるもの
よく曲がる腰だが物が拾えない
握り合う子の手がやおら反っていく
前兆を見逃していた若かった
美和山吹
凡人
凡人も心に秘めた過去がある
凡人の娘凡人連れて来る
よく狂う五感凡人たる所以
本
点訳の本の温さを指が追う
紅色の老後を満たす本に会う
面と小手二本勝負で孫の勝ち
堀
溝ですかまだ埋められぬ堀ですか
堀埋めて女は夕涼みへと走る
堀の中人魚が散乱しているよ
ケータイに個性が揺れるストラップ
美和山吹
ぼやく
左遷地のぼやきを星が丸く抱く
愚痴多い人だんだんと細く見え
逃げられぬ役へぼやきのありったけ
ホテル
祝勝会ホテルを飛ばす賑やかさ
旅人のドラマにそっと添うホテル
チェックイン終えてわが家となるホテル
干す
飲み干してもう忘れねばならぬ人
ずぶ濡れのわたしを干したペンの先
虫干しの晴れ着は若き日のロマン
楽ちん楽ちん バス・ツアー
1 じいちゃん ばあちゃん 足弱くて
乗って座れば 楽ちん楽ちん
街を過ぎ海見て山越え すいすい進む
ここらでちょっと トイレ休憩 ハイ到着
楽ちん楽ちん バス・ツアー
2 おじさん おばさん あちこち見たい
乗って座れば 楽ちん楽ちん
名所旧跡見どころを ぐるぐる巡る
さあバス降りて 見学ですよ ハイ到着
楽ちん楽ちん バス・ツアー
(つづく)