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映画『アシュラ』見てきました。

2012年10月06日 | いろいろレビュー
個人的に
非常に期待値の高かった映画『アシュラ』を見てきました。
人肉食を扱うということから映像化は不可能などと言われてきた本作ですが、
それ以上に人間という生き物の死生観や「人間って何?」みたいなメッセージ性の強い作品ですので
どういう作りになっているのか楽しみだったわけです。

原作については
僕が生まれるはるか前の作品ですので
当然単行本や全集でしか読めませんが結構前から文庫版は存在しておるため読むことは可能です。
ただこの文庫版には『真のエンディング』は掲載されておらず。
本当のラストは『ジョージ秋山捨てがたき全集②』に完結編と題して【銭ゲバの娘、プーコ】と同時収録されています。

ただ個人的には
こっちの真のラストはあまり好きではなく
本編で終わっていた方がアシュラの心の寂寥感を描き切った名作だと思います。

きちんと終わっているという点では良いんですけどね・・・

さて
映画『アシュラ』ですが

ここからは少し内容に抵触します。
基本的にはすでに公開されている情報ですが
重要なポイントも出てきますので
これから映画と原作を読む人はそのままお帰りください。


続き、

期待値というか、自分でハードルを上げ過ぎていたという感は否めませんが
それを差し置いても原作とはかなり違うなという印象です。

全体的に薄まっているというか
人肉食の禁忌があまり強調されていなかったり
主要人物がまったく逆の行動をとっていたり、
ただこの『逆の行動』というのが短い尺の中でエンディングまで持っていくためだったのかは定かではありませんが
アシュラの世界観の中でも重要な場面だと思うので改変は勘弁してほしかったなと思います・・・
あとは母親に食べられそうになる場面でもそこに至るまでの経緯が浅いと感じてしまいました。
原作ではアシュラへの思いというのが描かれていましたが映画ではそれがちょっと物足りなかったり、
まぁなんでそうなのかは見ればわかるんですが、これも重要な場面だと思うので残念・・・

そして
漫画を読んで『俺はこの場面を読むためにこの漫画と出会ったんだ』と思える瞬間ってありますが
原作のアシュラは終盤自分の母親と再会します。
しかし自分を殺して食べようとした母親への殺意にも似た気持ちから
母親を拒絶して、むしろ殺そうとします。

物語の端々に散りばめられる『生まれてこなかった方が良かったのに・・・』文字は同じでも意味するところは徐々に変わっていき
アシュラ自身も自分の裏切った母親への復讐心、世界への厭世観から
人になろうとした経緯を踏まえ、それでも人食いのケモノであろうとする葛藤に苛まれます。

そんなアシュラが自分が何者かを知っていく過程こそが
この漫画が名作たらんとするところだと思います。

映画のラストは
完結編に添うものになっていて、
本編のラストの場面はほぼ丸ごとカットされていますので
最終的なゴールは同じということになりますが
重要な場面がなかったということでやや消化不良かなと思いました。

『で、面白かったか?』と聞かれましたら
『作品としては良かったと思いますが、原作付きは難しいと思います』と答えますので
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