伊賀上野が元気になればいいなあ!

上野の城下町、どうなっていくんだろう、、、見守る元気はないけれど、静かに生きていこうと思う(笑)。

チャレンジショップ 鳥取の場合

2010-01-15 00:20:14 | 町づくりって楽しいかも!
他所の場合はどんなんだろうと、ネット散策していた・・・「鳥取」では


~チャレンジショップは「マチの新たなにぎわい創出拠点」~(熱田龍二氏のコラムより)
 
チャレンジショップは、新規創業者の育成と出店しやすい環境づくり、空き店舗対策による商店街の連続性の回復等の目的を持って取り組んできたわけですが、「マチの新たなにぎわい創出拠点」であるという観点で推進していくべきだと考えます。
昨今の厳しい商業環境の中でキラリと輝く個店として生き残っていくには、「店」という拠点を、「売り場」という単一機能で捉えるのではなく、「コミュニティ機能の結節拠点」として新たな機能を追加することが重要です。

何を売るかでなく、誰が売るか?

チャレンジショップビギン初年度の出店者店舗では、マナー教室・蕎麦打ち教室・年末カウントダウン等のイベントを開催し、来館し易い環境づくり、たまり易い雰囲気作りに努力しています。次第に人が集まり始めると、商店街の通行人も何があるのかと、期待を持ってその店に入ってみたくなる。そんな人間の心理を上手く利用して、店内の休憩スペースは、いつでも歓談サロンとなり、「美容」「健康」「食」「趣味」の話へと盛り上がります。
また、飲食コーナーの新メニュー開発モニターが始まったかと思えば、その隣では「ここの店のこれがいいわよ!」とお客様が販売員に変身。和やかでチームワークの良く取れた店舗に成長し、気がつくと「チャレンジショップ応援団」が組織されておりました。

お店とは「地域のコミュニティ拠点」として、新たな人間関係の輪が広がっていく楽しい場所です。繁盛する店には、地域の情報が集い、コミュニティから生み出される新たな価値を増幅させる発信機能があります。そのためには、「お客様が持つネットワーク同士を繋いでいく」その役割を担うキーパソンこそが、商店主でなければならないのです。
行くと、素敵な店主に会え、新たな友だちが増えていく。その楽しみを創出する場が店舗であり、店主のファンを創り続けることが繁盛店への道であると考えます。

創業者はいつも孤独と不安との闘い

鳥取チャレンジショップが幸運にも高い開業率が続くのは、市民・地域の方々・卒業生・商店街の役職員・行政・関連支援団体の運営委員会と事務局とで、出店者を全面的にバックアップしていることがあげられます。
具体的には、毎月の営業成績のチェックと勉強会、2ヶ月毎の全体出店者協議会、6ヶ月毎の継続審査による計画遂行能力のチェックなどがあげられます。これは出店者の「自ら立てた計画を、自らの知恵と工夫で達成すること」を体感してもらうための仕組みです。商いを始めた時に、直ぐには計画通りに運びません。苦しいことやこれでいいのかという迷いや不安や孤独感を、全体出店者会議で発表します。一つの店舗の課題をみんなで共有し、その裏側にある「小さな成長をみんなで温かく見守っている」という安心感があるからこそ、出店者も頑張れると思っております。

出店者の多くが「予定通りに行かない。どうしよう」と不安をぶつけてきます。しかし、「良かったね! 予定通り一つ目の課題が見えたね。早いか遅いかはあっても、みんな同じ問題を解決して成長するからね」と勇気づけます。この時のポイントは、「問題が発見できるところまで成長したこと」「誰でも解決しなければいけない共通問題であること」「問題発見の時期の違いが個性であること」を解説します。しかし、解決方法は決して教えません。自分で考えた方法論をまずやらせること。その過程を見守りながら、失敗しそうな時期を見越して、その時にフォローすれば良いと考えております。頭を打たないとアドバイスはなかなか聞いてくれませんから。

出店者のモチベーションを継続させるために

チャレンジショップ出店者に、「何故、商売人になりたいのか?」「あなたの人生にとってこの転機はどんな意味を持つのか?」「何故、チャレンジショップに出店したいのか?」その考えを幾度となく確認します。勤め人でいる方がはるかに楽だし、有給休暇もあるし、ボーナスだってあります。商売人を始めると、給料がない、休みがない、ラクがない、「止めたほうがいいですよ!」と圧迫面接を行います。  
しかし、多くの出店者は「小さい頃からの夢だから」「幼少期の商店街のにぎわいを復活させたいから」「憧れのショップマスターになりたいから」との熱い想いを語ってくれます。その時点ではただの「夢」ですが、その夢を自らの人生を懸けて取り組む事業へと格上げし、成功へと導いてやるのが我々のミッションだからこそ、本人の強い意志が求められ、その確認作業を何度も何度もすることが大事になってきます。

自分が世の中の役に立っていると実感する瞬間

そうは言いながら、独立開業の強い意思があっても「始めての売り」が直ぐに体験できない商品や業種もあります。中古家具の販売をしていたS君。見ず知らずの他人に「商品に対する熱い思い」を語り、初めて一つの商品が売れたのは、開業後2ヶ月目でした。「やった!」その達成感を味わった表情を今も忘れることは出来ません。彼にすれば、きっと人生の中で自分を認めてもらった最初の瞬間だったかもしれません。

「人様の役に立った自分が実感できること」が商いを続けさせる原動力であると考えます。その体験を一日も早くしてもらうために、委員全員がサポーターとして、個店の口コミ活動を手助けしたり、マスコミにも頻繁に取り上げてもらったり、視察研修の受け入れコースに組み込んだりと、出店者のモチベーションが継続できるように支援をします。

このように、最初の出会いから「喜びを倍化し、苦しみを分かち合える出店者仲間と温かく見守り続ける支援機関」があること。これが鳥取チャレンジショップ事業の魅力の一つです。

チャレンジショップ商店街をつくること

チャレンジショップを卒業した出店者は、中心市街地に独立開業し、「地域に愛される店づくり」を実践し、毎日の商いの中で「地域になくてはならない店」として、謙虚に素直に地域のお客様と共に育つお店を目指しております。その理念と若い感性を持った店がまちなかに点在し、やがて、その方向性を同じくする仲間が集積できるように誘導し、仕組みを構築していくこと。そして、卒業生自らの手で商い人が創り出せるような風土を創り上げていくこと。これが卒業生と現役生の共存した「チャレンジショップ商店街」です。「小さな志」を持った小さな商店が集まり、既存商業者に影響を与える日も近いと期待しております。

まちづくりは人づくり

我々は日夜まちづくりに取り組んで格闘しておりますが、地方都市にとって、人材を育成するということは至難の業であります。ましてや「人材育成は100年の計」であり、世紀を超えて取り組む一大事業だからこそ、直ぐに始めないと間に合いません。一つのまちづくり事業から新たな人材を育成することで、育成する側も育成される側もその成長過程で、街に対する愛着心がより深くなり、わが故郷に対する「確固たる自信と誇り」が甦ると信じております。

だからこそ行政の役割も、地元の商業者を育成する一翼を担い続けることであり、そして、商店街に求められる新たな役割も、テナント誘致と管理ができるデベロッパー機能から、さらに、地元で商売人を育てあげる教育力を復活させるという役割を担うことが重要であると考えます。

地元の商売人が地元の商業力の根幹を担わなければ、外資の商業力と対等に闘えません。地方における商業のあり方は、内と外とのバランス均衡を保ちながら、時流を見通し、変化を創り出すこと。この人為的に創り出せる変化こそが「成長へのうねり」であり、この「うねり」を創り出せる経営者こそが、まちづくりの人材になると確信しております。