第14回  自分で選びたいのに・・・

2021年11月22日 | 日記・エッセイ・コラム

(仮想講話 私が学んだ知的障害者と呼ばれている人たちのこと 第14回)

 それはね、園長(当時私は園長でした)はどっちが食べたいと思っているだろうか、と悩んでいるのよ。どうしてそうなるかというと、家でね、いろんな場面で「こっちとこっち、どっちがいいか」とお父さんやお母さんに聞かれた時に、「こっち」と言う。でもそんな時に「そっちじゃなくて、こっちにしなさい」とお父さん、お母さんに言われてしまうことがたくさんあるの。一応、本人に「どっちがいいか」と聞いて、いかにも本人に選択させた格好にするが、結局はお父さんやお母さんの思っているほうにしてしまう。

 その時、本人はどう思うかと言うと、「どうせ私がどう言うても聞いてくれん」となる。すると、本人は「私が決めんでもええんじゃ、もうお父さんお母さんが決めとる」となるの。

 で、じっと私の顔を見ているから、困った私が「園長ならうどんがええかなぁ……」と呟くと、すかさず「うどんがええ」と言う。君たちにはそういうことがないですか。

 君たちもそういうことがあるだろう。「自分の気持ちは少しも聞いてくれん。ならもういい。そっちで決めりゃええ」となる。

 

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