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里やまのくらしを記録する会

埼玉県比企郡嵐山町のくらしアーカイブ

嵐山町の俳人達(明治・大正期)15 大蔵 根岸渡

2009-12-29 13:04:43 | 俳諧・俳句

大蔵
 俳号 大器 週月 五風 雪道 平正 平井 竹月 蚊風 観桎 清
    江月 進遊 寿月 石山

 大器 大沢国十郎 沢大器 漢学者
   貫だしたやうな季藤の朝雫
   灯篭や恋と無定のうら表
   鷹化して鳩やさりとは身の辷り

 週月
   春もまた寒き味なりとろゝ汁
   枕にも重たし旅の雪二日
   帯を解く艸木に霜の別れ哉
   砂埃り踠立て来たり夏の雨
   綻びぬ義の一言や桃の酒
   太平は君の武徳や御代の春
   心願を疂む日傘や神の前
   万石の垣口にさくや杜若
   竹描く筆のはしりや郭公

 五風
   雨風のうきとも厭はずむ注(夢中)の子
   鶴の舞ふ亀井の里や初日の出
   葷酒さへ許さぬ山や女郎花
   花なきは分入り次きに月の雲
   手を拱いていさ聞む霜の音
   誉らるるはづみにそれし手鞠哉

 雪道
   しむしむと咳近し霜の声
   春雨や皆根の生ず遊び連
   手造の草鞋も見へて冬籠
   蕣(アサガホ)や蔓ほどながきはな盛り

 平正
   花やかな衣裳揃ふや伊勢踊
   山越えて一と息つきし清水かな
   鴬の老ても声の若粳(オクテ)かな
   真黒に見えて降けり沖島
   かい(へ)さぬきいていなしされど今朝の雪
   屈(カガ)みたる処には居らずきりぎりす
   手に行を握る将基の助言哉
   雨凌(シノク)く工夫のかたき巣鳥かな
   何そ富羨まず此庵の月

 平井
   朝■に子も早起を習ひけり

 竹月
   胼の手に有(?)や不(?)咎(?)のゆつり状

 蚊風
   花に念入てなしか遅さくら

 観桎
   咲菊に時めかしけり賎の庭

 清
   懸乞の乗てもどるや口車

 江月
   入営の餞にさけり菊の花

 進遊
   存才に居る気はなくも暑かな

 寿月
   又一ツほめへらさるる瓢かな
   花足袋の咄しやこちて足して聞く

 石山
   寝こころや蛙啼く夜の雨催ひ
   誰の嘱に鳴海絞りの浴衣かな
   落葉や拾ひ日和の鼻の先
   頓(ヤガ)てすく田とおもわれず蓮花艸
   野仏の前や後や蓮花艸
   ちるかたへ出ず雪洞や夜の花
   葉さくらや子は持ちながら能い妹
   幾千とせ汲とも汲とも清水かな
   旅笠や同行四人五月雨(サミダ)るる


嵐山町の俳人達(明治・大正期)12 遠山 根岸渡

2009-12-26 12:56:00 | 俳諧・俳句

遠山
  俳号 其水 たぬき 三之 高橋

 其水 杉田啓次郎 杉の本
   踊り子や飛出しさうな蝶の髷
   二た筋の道に迷ひし花野かな
   親の咳苦にして懸る布団哉
   袴着や流石家から育から
   乗合を帰らして渡す角力かな
   藻の花や亀に引れて丘揚
   末永く結ぶ願や常陸帯
   一生は只短夜のゆめ間哉

 たぬき
   脚半とく無事をえりと時雨哉
   一かいの富は保たず散る桜

 三之
   持参金よりも頼もし壻の胼(タコ)

 高橋
   親の親あつて睦まし桃の宿


嵐山町の俳人達(明治・大正期)11 平沢 根岸渡

2009-12-25 12:53:00 | 俳諧・俳句

平沢
 俳号 鍜水 香山 至考 光盛 馴太郎 香天亭 近月 五汀
    青柳軒 藤の家 吾雀 青月 溪屋

 鍜水
   下戸の名を捨て戻るや花の山
   子に七分親は三分の日傘哉
   人手にはあとも掃けぬ桜木哉
   蒸(フカス)子の野(イナカビ)て居るや臼の米
   夜桜や生酔一人恋の罠

 香山
   春雨や糸に撃ぎし客の足
   梅程は筆の揃わぬ在所かな
   翌(?)日(?)ありと思ふ油断やそ(?)で(?)の雨

 至考
   鍋よりも口にふせたしふぐの友
   菊の香や古哲(フルキサトリ)を子の几(ツクエ)

 光盛
   月の海見渡す果のなかりけり
   男子生れて■誉と■ めし
   石山や月は昔のものながら
   用も無き人呼込や春の月
   梅咲くや柱暦の重ね張
   元日や雀も竹に千代の声
   鴬の声に疲れけり雪達麻
   欄木の影また凄し冬の月

 馴太郎
   立聞の罪つもりけり傘の雪
   親らしき摺(ヒダ)の匂ひや二かの月

 香天亭
   男気も物にこそよも鰒(フグ)に箸

 近月
   竹さらりさらり凉しき小窓哉
   呼べと子は空吹く風よ紙鳶(カミトンビ)

 青柳軒
   貫一ツ貞婦の帯を解せけり

 五汀
   寝にあがる二階も庵の月夜かな

 藤の家
   春風やかくし山葵に眼のしぐれ

 吾雀
   春風や醤油の匂ふ焼団子

 青月 日高市かも
   凉しさや川見おろしてよい坐敷
   此の沢の世はうつくしや花に人

 渓屋 【現・日高市の平沢かも?】
   朝が日に起読ふりや明からす


嵐山町の俳人達(明治・大正期)10 志賀 根岸渡

2009-12-24 12:50:00 | 俳諧・俳句

志賀
 俳号 琴賀 雲星 杢秀 秋声 竹老 竹走

 琴賀
   遠くから心通ふや夏木立
   年のくれ短かくなかひ気持かな
   残されて涼しや酒と月と我
   雪の竹見て堪忍を覚ひけり
   花の散る思ひや雪に掛る雨

 雲星
   貝拾ふ手先を吹や春の風
   しほ桶に翻(コボ)れ込みけり松の花

 杢秀
   夜綱引聲幽しおぼろ月

 秋声
   短夜の業に日長し蜘の糸

 竹老
   此の里の富貴草也草煙艸

 竹走 竹窓、高﨑秀三と同一人か
   魂棚に人の見ぬ袖濡しけり


嵐山町の俳人達(明治・大正期)7 杉山 根岸渡

2009-12-21 12:44:00 | 俳諧・俳句

杉山
 俳号 杉の宴 二川 一枝 学庵 梅月 卜足

 杉の宴
   野菊折る怨も手向のひとつかな

 二川
   出来晴や塗替させし簓獅子
   寒食や畄子ても無て物静か

 一枝
   汐くさき風呂敷洗ふ弥生哉

 学庵
   不二に眼の届けば寒き小春哉

 遂人
   また鐘か〆る氷の轄かな

 梅月
   春雨や子は双六の旅つかれ
   末枯や朱冠黒みし納露 →霪(オサメアメ)
   上手より下手に奥あり■(過)用力
   村雲は俄の莖か天の川
   短夜や鶏の預る壱念の勝負

 卜足
   夜に入ればよい風のある土用哉


嵐山町の俳人達(明治・大正期)6 広野 根岸渡

2009-12-20 12:41:00 | 俳諧・俳句

広野
 俳号 花砕(酔) 小はな

 花砕 花酔 栗原慶次郎 同一人と思われる。
   昼の蚊のかくれ処や蚊きり種

 小はな
   香にくもる夜空となりぬ梅の花
   誰かなと待夜をたたく水鶏哉
   待宵や松をこころの澪標
   執着の余りの夜も花蝶
   夕たちや恋に是疎き身繕ひ


嵐山町の俳人達(明治・大正期)5 勝田 根岸渡

2009-12-19 12:38:00 | 俳諧・俳句

勝田
 俳号 如昇 池水 飛代

 如昇 田中太蔵 夜秋庵 古雪庵
   寝おしむや翌日は桜に見せる髪
   鎗は錆ても名はさびす榾の主
   智は盗まるる患なし榾の主
   頓て豊に羽を伸す鶴か祝の子
   玉鉢の纏う笠簑や鳴千鳥  簑―蓑
   頓(やが)て咲く椛(もみぢ)の花や三日の月
   雪障(さはら)むや旅僧一人り馬の上
   月丸し花のまことを見るゆふべ
   掛乞の方でもいふや不仕合
   明る戸に鍵音高し庫開き
   傘張の借る明地や菫艸
   寝た鳥の羽を組直す夜寒哉
   鈴の音絶ぬ社や松に鳥
   思ひあふ中とは見えずうかれ猫
   何もなき空にかくるる雲雀哉
   喓々虫吏(つかさ)見心魂尽んとす
   火は虫に魚は猫に取られけり
   笹子鳴や梅は日向に片靨

 池水
   畄守せよと猫撫て出る凉(すゞみ)哉
   凩や何処から吹て何処の果
   あし火たく伏家も花の主哉

 飛代
   ほととぎす疂に酒を呑れけり


嵐山町の俳人達(明治・大正期)4 越畑 根岸渡

2009-12-18 12:35:00 | 俳諧・俳句

越畑
 俳号 花蝶 花弄 香光 玉晃 紅雲 山石 松花
    清流 一川

 一川
   人去て花も眠るか薄月夜
   聞は皆別な声なり花千鳥
   近よれば花になりけり山の雲
   走入たる鴨の背にさす夕日哉

 雨水
   つゝがなく夜は明にけり芥子の花
   丁度よい頃もころなり初さくら
   山吹や稲田へ落る水の音
   絵日傘や持草臥て横くるま

 清流
   木雫に消る火縄や閑古鳥
   涼しさやあさ観音に夕薬師

 松花
   花にさへ一重は清し筑摩鍋
   飛びついた蛙も青し燕子花

 花葉
   餅搗や一番鶏に二番臼
   師走ではないかと起す朝寝哉

 花弄
   突負て背の子をおろす手鞠哉
   雨あした日脚のからむ時雨哉

 山石
   よくよくの事かと聞けば雪見哉

 香光
   鬼を出す顔つきもせず傀儡師

 玉晃
   抱籠や柳も知らぬ風の肌

 紅雲
   莞爾と笑顔見せけり
   紅梅や気楽二人の住所

 嘉静
   旭の昇迄なり蓮の花見船


嵐山町の俳人達(明治・大正期)3 吉田 根岸渡

2009-12-17 12:32:00 | 俳諧・俳句

吉田
 俳号 一暁 林遊

 一暁 藤野喜一郎 藤皐亭
   夕■や矢来の古きふしん小屋
   はつ花や誰が来て蒔し歌の種
   萩の戸や只人ならぬ書の作り
   高い木は暮るるも遅き紅葉かな
   大きなる物のかざりや露の玉
   物影の尖々(トガトガ)しさや冬の月
   葛水(クズミズ)に魂ひとつ拾ひけり
   雪達磨旭に向て笑ひけり
   明月や海にをさまる海のおき
   氷る夜や豆腐切るにも音のある
   苔の花月日もうとき処哉
   深草の夜を啼明す鶉哉
   餌にあせる鳥とは見えす時鳥
   三本の影いさましき幟哉
   初花といふうちあとも開き鳧
   いたくよう年は立けり五十鈴川
   寒月や一段高き神の杉
   深草の夜を鳴き明す鶉かな
   ふか艸の夜を啼明す鶉哉
   箒目の末広形や妻の庭
   迷ひ児を見送る秋の夕べ哉
   嶋の灯の見ゆる夜もあり簟(タカムシロ)

 林遊
   今の入る言葉遣ひや松の内
   馬の舌洗ふ水あり木下闇
   糸藤の長き希や凩
   馬の舌洗ふ水あり夏木立

 茶水
   三居士の手向仕つらん蓮の花
   蚊柱のたつや軒端の小糠雨
   親あればこそ戻りけり夜の雪


嵐山町の俳人達(明治・大正期)2 古里 根岸渡

2009-12-16 12:29:00 | 俳諧・俳句

古里
 俳号 一花、一工、一枝、一穂、一仙、一豊、喜山、暁月、古洲、古仙、
    算楽、春鳥、松月、松泉、松竹、新月、雪山、千平、善翠、田代、
    藤翁、梅雲、梅花、梅水、米光、友鴻、葉翠、蘿月、林鳥、和楽

 古洲 安藤金蔵 野守亭、俵雪庵
   鰐口にたらぬ力や辻の花
   衣籠の薬匂ふや夏羽織
   粥煮るやわら火の消てきりぎりす
   艸に木に春を任せて竹の秋
   貧しくも馬は肥して■の主
   陰膳に物念ふ母や秋の夕
   きぬきぬの有明月や郭公
   経し年の知れぬ齢や松の花
   破れたる垣の力やからす瓜
   寝かへれば夢の逃たる布団哉
   蕣(アサガホ)や朝起好きのきれい好き
   雨の夜や起して直路おしへけり
   遠近人(オチコチ)に親しみ多し花の友

 林鳥 飯島左介 喜楽亭
   堤み行稲荷の絵くるや辻の花
   浜萩や今は物うき時雨かな
   春風や日は高けれど京泊り
   月の空はなもて広き世界かな
   何故に寝て明たぞ雪の朝からす
   義の雪の道なり深し渡し守
   追かけて貸すや吹雪の隠れみの
   糖袋曳て往にけり嫁の君
   寒梅や海老の髭出す魚籠
   どの花へ寝しぞ夜明の旅烏
   人声の遠くを曇る桜かな
   白きはら見せつ裾野の時鳥
   雪よりも重き雫や萩の花
   二の声は須磨の浦辺の時鳥
   ■執の神の稜威なり松の花
   雪よりも雨に重たき柳かな
   光陰の矢の射落しか梧一葉
   追出した蛙は青し花のゑだ
   殊更に香もあり庵の白牡丹

 松月 木村松吉 松声(静)亭
   陽炎や笹湯の匂ふ神の庭
   仮名文字は倭の花と呼始

 ■執神社奉額
   思ひいる先つ雨の日や種おろし    野守亭
       最はや蛙のいさきよう啼   喜楽亭
   春の雨農を打つ友の集りて      松静亭
       貸して遣るほど灯提のなし    野
   焚燃りありありと立里の月        楽
       去年も今年も秋の豊かさ     静
   神鏡にきらりと移る渡り鳥        野
       どの見せ物も札場こみ合ふ    楽
   笑わるる程に浴衣の綻びて        静
       そっと手拵る湯上りの客     野
   陸往けば遠きに近き舟便り        楽
       世の善衆を交せる新夢      静
   指さきを度々焙る冬の月         野
       あられはらはら当る丸窓     楽
   どちらから見ても表の不二の山      静
       足 はかり揃ふ長閑さ     古洲
   花の頃千年の松も若かへり       林鳥
       いとど目出たき引鶴の夢    松月

 大洲
   尽く事や馬の引する稲の丈

 一花
   春雨や京に二日の旅保養
   燈の細りて寒き霜夜哉
   寒梅や海老の髭出す肴籠
   秋寂も見えぬ■執の社哉
   ■執社の御鏡清しけさの春
   松立枕を高う寝る夜かな
   子に春を寝咄しにする師走哉
   杜若咲へ(き→い)て傘を開きけり
   穂揃の披露目出たし稲の花
   乳を握る子の手冷たく鳫の声
   楽しさや我も花見の人の数
   鹿鳴くや我が心ろ(ママ)より細る月
   夕月や竹の雫のおちるまで
   寒梅や破魔弓造る椽(?)のさき
   簑虫の簑から濡るる時雨哉
   碁の敵の夜打に来り雨の月

 善翠
   下手のさす掉おもしろし月見船
   魂を花に願て遊ひけり
   花見から親しき友に月見かな
   落ちるかと見れば影なり月の雁
   水鳥の足に涼たき月日哉
   紫陽花の存もと見ぬ世の七五町
   咲く中に莟の若き椿かな 莟→蕾
   咲き足らぬ方から暮れて梅の花
   松風の跡追って来る時雨かな
   水鳥の足に隙なき月日かな

 梅花
   冷るのは朝の旅なり梅の花
   出て見れば何事もなし秋の風
   借りる身に成って貸さむや雪の宿
   鴬の鳴き崩しけり朝の雲
   心まで びて神の かな

 米光
   菰着ても富貴の名あり冬牡丹
   当り稲敷島中に光る風

 春鳥
   堪忍の胸より深し雪の竹
   嬉しさの余る羽音や起鳥
   降る雪も雫と成りぬ春の梅
   豊かなる年の祭りや里神楽
   すゞしさや青田からくる風の浪

 友鴻
   竹の子の石を動かす力かな
   原中や雲巻に見出す昼の月
   参れとして道を作るや野の清水

 藤翁
   風なりに矢先を向る案山子哉
   寒霜や愚かや庭の福寿草

 一豊
   女子さへ馬曳里や閑古鳥
   社にも掃除届て今朝の春

 新月
   鹿啼や心も疲る夜半の月
   松風に心も添へて神迎

 暁月
   黄鳥の声も貴し神の山

 蘿月
   人の浪立つや社の里神楽

 梅翠
   親も子もひるに揃ふて年始め

 葉翠
   夕立や葉を立直す野辺の草

 一工
   梅が香をほのかに琴の調べかな

 一穂 安藤幸蔵 俵雪庵二世
   定まらず吹くも風情や春の風

 喜山
   身を風にまかせて戦く桃かな

 雪山
   袴着や鳥居を潜る朝の内

 梅雲
   錦して紅葉流るる立田川

 田代
   里にさへ殊心ある様被かな

 松泉
    らしやせめて掃除の届くまで

 千平
   国君の為に寝もせず霜夜かな

 和楽
   孝行の徳や清水に酒の味

 古仙
   雪の中に散り込さくらかな

 算楽
   算術に倦まず夜長の枕かな


嵐山町の俳人達(明治・大正期)1 はじめに 根岸渡

2009-12-15 12:26:00 | 俳諧・俳句

 嵐山町大蔵・大沢知助家文書15点、古里・安藤武家文書13点、その他3点の資料から、町内の各大字単位に俳号をまとめてみた。
 この流派であるが、夜雪庵金羅系である。春秋庵有柳、幹雄の加ったものもあり、この夜雪庵、春秋庵二流が一緒になって盛んであったと思われる。たゞし、これは二家に残る資料からだけで言っているので他派はないと否定しているのではない。ただ、江戸時代から続く発句の系統が明治期に至るも連綿と続いていると言うことである。
 内容は社寺の奉額が11と圧倒的に多く、特に神社の多いのは時代の反映であろう。他に追福、快気、新築、立机、掛額等々であるが、入営祝賀句集もある。
 嵐山町に関しては、古里、吉田、越畑、勝田、広野、杉山、菅谷、志賀、平沢、遠山、千手堂、鎌形、大蔵、川島の名が見える。この中で、吉田と言う地名は川越にもあり、又平沢は日高にもあり、この区別は判然とはつけ難い。宮前村が企画した句会に川島と言う地名が載るが、川島は蓮田市にもある。併し他の参加郷を比較するに蓮田市辺から参加したとは到底考えられぬので菅谷村の川島に間違いあるまいと判断した。俳号については本名のわかるものが極めて少ないのが残念である。