勝田
俳号 如昇 池水 飛代
如昇 田中太蔵 夜秋庵 古雪庵
寝おしむや翌日は桜に見せる髪
鎗は錆ても名はさびす榾の主
智は盗まるる患なし榾の主
頓て豊に羽を伸す鶴か祝の子
玉鉢の纏う笠簑や鳴千鳥 簑―蓑
頓(やが)て咲く椛(もみぢ)の花や三日の月
雪障(さはら)むや旅僧一人り馬の上
月丸し花のまことを見るゆふべ
掛乞の方でもいふや不仕合
明る戸に鍵音高し庫開き
傘張の借る明地や菫艸
寝た鳥の羽を組直す夜寒哉
鈴の音絶ぬ社や松に鳥
思ひあふ中とは見えずうかれ猫
何もなき空にかくるる雲雀哉
喓々虫吏(つかさ)見心魂尽んとす
火は虫に魚は猫に取られけり
笹子鳴や梅は日向に片靨
池水
畄守せよと猫撫て出る凉(すゞみ)哉
凩や何処から吹て何処の果
あし火たく伏家も花の主哉
飛代
ほととぎす疂に酒を呑れけり