「政権内で続く政治とカネの問題を首相はどこまで深刻に受け止めているのか、疑問が募る。再発を防ぐための法改正や規制強化でリーダーシップを取るのが筋ではないか。甘利氏の任命責任を認め、国民に謝罪しながら首相が何もしないのは無責任だ。」
正規資金を企業団体献金によるのは、企業団体による政治の買収、わいろです。そのことを知っているからこそ、巨額の資金を自民党中枢の議員に渡すのです。企業団体が、何も見返りを求めずに、巨額の資金を安倍、麻生、岸田、甘利渡すはずがありません。彼らはそのことを知っているからこそ、政治資金規正法の網をくぐって隠蔽することを常套手段としているのでしょう。
その結果、国民は政治とカネ、自民党議員による暴言、モラルの崩壊を見て政治不信を募らせ、各種選挙の投票率が50%前からさらに下がるという末期的な症状を呈しています。このことは議会制飲酒主義が機能せず、崩壊する寸前であることも示しています。
政党助成金を何千億円もせしめて、企業団体献金をさらに何億円も集め、恥じることのない安倍、麻生、岸田、甘利などは政治モラルが崩壊していることを示しています。
<信濃毎日社説>金銭授受問題 国会は甘利氏の招致を
甘利明氏が金銭授受問題で経済再生担当相を辞任して2週間。疑惑や疑問は残ったままで、国会で野党が追及を続けている。
衆院予算委委員会は「政治とカネ」問題で集中審議を開いた。しかし、議論は深まらなかった。甘利氏がその後、説明の場を持たないことに加え、安倍晋三政権が真相解明に消極的なことが大きい。
国会は甘利氏や元秘書、建設会社の担当者ら関係者を参考人として呼び、事実関係を説明させるべきだ。強制力のある証人喚問もためらうべきではない。甘利氏は辞任会見で、秘書の分も含め、千葉県の建設会社側から計600万円を受け取ったことは認めた。同社と都市再生機構(UR)とのトラブル解決での口利きに関しては否定している。
現金を渡した同社の総務担当者は、共同通信の取材に600万円のほかに800万円以上を当時の秘書らに渡したと証言した。金銭提供の趣旨について「口利きしてもらった謝礼や経費」と語っている。あっせん利得処罰法などに触れる可能性は消えていない。
URは先日、この問題に関して計8人の職員が甘利氏の当時の秘書3人と12回面談した際のやりとりの一部を公表した。
内容は建設会社への補償に関するものが多く、補償交渉の具体的な内容に関わる部分は黒く塗られていた。問題のあるやりとりだったのかどうか、公表された部分からはよく分からない。
面談については不自然な点がある。通常は同席しないという総務部長が6回も出ていたことや、甘利氏の秘書が「少し色を付けて」「甘利事務所の顔を立ててもらえないか」と求めたことだ。
このことは集中審議でも取り上げられたが、URなどから納得がいく説明はなかった。
安倍首相はこれまでの答弁で「説明責任を果たしていくと考えている」と、人ごとのように繰り返すばかり。甘利氏にさらなる説明を促す気はなさそうだ。不祥事の温床とされる企業・団体献金を禁止すべきだとの求めにも「献金すること自体が不適切だとは考えていない」と否定的な答弁を続けている。
政権内で続く政治とカネの問題を首相はどこまで深刻に受け止めているのか、疑問が募る。再発を防ぐための法改正や規制強化でリーダーシップを取るのが筋ではないか。甘利氏の任命責任を認め、国民に謝罪しながら首相が何もしないのは無責任だ。
甘利疑惑の根本に企業献金 穀田議員 首相らの姿勢ただす
パーティー券含め全面禁止を
<赤旗>
日本共産党の穀田恵二国対委員長は10日の衆院予算委員会で、甘利明前経済再生相の口利き疑惑に対する安倍晋三首相の姿勢をただし、問題の根本にあるパーティー券購入を含む企業・団体献金の全面禁止と政党助成金の廃止を迫りました。
穀田氏は、建設会社の依頼を受けた甘利事務所が何度もUR(都市再生機構)に働きかけたことを示し、「これが口利きでなくて何なのか」と質問。「犯罪の有無は司法が判断する」と弁明する首相に、口利きへの謝礼だと依頼者自身が認める金を受け取った甘利氏が「適正処理」を指示したと言うだけではすまないと強調しました。
その上で、甘利氏が現金を受け取った際、パーティー券として処理するように指示したとの証言を示し、パーティー券が企業献金の抜け道となっている問題をただしました。
穀田氏は、甘利氏と安倍首相、麻生太郎副総理、岸田文雄外相、菅義偉官房長官だけで2013~14年分で合計6億円以上のパーティー収入を得ていることを明らかにし、「国民の常識とかけ離れている。自ら決めた(閣僚の)大規模パーティー自粛さえ守っていない」と強調しました。
自民党が政権に復帰して以降、同党の企業・団体献金は12年の約63億円から14年の約66億円に増加。同党の政治資金団体「国民政治協会」への献金は1.6倍に増加しています。
穀田氏は、献金が急増しているのは“通信簿”を付けている経団連が消費税増税と法人税減税の政策を評価したからであり、「まさに政策買収そのものだ」と批判しました。
「政策を相互に理解していく中で(経済の)好循環が行われてきている」と述べた首相に、穀田氏は「財界と自民党が好循環しているだけだ」と指摘。企業献金をなくすと言って導入した政党助成金が総額6600億円を超えていることも明らかにさせた上で、昨年、日本共産党が提出したパーティー券購入を含む企業・団体献金全面禁止法案と政党助成法廃止法案の一刻も早い審議・成立を強く求めました。