経済のグローバル化とは、アメリカ多国籍企業のルールを他国に適応させることであり、アメリカ多国籍企業と大手企業にとって、都合のよいルールです。日本の多国籍企業、大手輸出企業が関税を免れて、大量に関係国に輸出できる条件確保が狙いです。その犠牲に、なぜ、国内一次産業、皆保険制度、国民が受けなければならないか。その説明も不当性もまったく明らかにはされていません。
安倍、山口自公政権は、戦争法の時もそうでしたが、国民と当事者にとっての不利益、疑問、心配には全くこたえようとしていません。むしろ、その危険性を隠蔽し、論理のすり替えと、当事者への攻撃、まともなマスコミ、識者の批判を敵視して、攻撃することに終始してきました。本当に独裁的で、亡国政権です。
北海道などの一次産業の比率が高い地域は地域の存亡がかかっています。また、皆保険制度など低所得者が良質な医療受診できる制度も破壊される市場開放を許してはなりません。
<北海道新聞社説>TPP署名 国会の場で徹底審議を
環太平洋連携協定(TPP)参加12カ国はニュージーランドで、昨年10月に大筋合意した協定文に署名した。政府は3月にも通常国会にTPP承認案と関連法案を提出する。
協定には牛肉・豚肉の関税の大幅引き下げなどが記され、重要5農産物の関税を維持するとした国会決議に反する疑いが濃厚だ。発効後の交渉次第で、関税の撤廃・引き下げがさらに進む恐れもある。TPPが本当に国益をもたらすのか、疑問は増すばかりだ。
政府は、協定の詳細と、農業分野で譲歩を繰り返した交渉経緯の説明に尽くさなければならない。
署名前の閣僚声明は、韓国、台湾などの参加希望を歓迎した。
交渉を担った甘利明前経済再生担当相の辞任を受け署名に参加した高鳥修一内閣府副大臣は「早期発効を目指したい」と述べた。
公表された協定の和訳文は付属書を含め約3千ページあり、法律知識なしには難解だ。国会に批准を促すには時期尚早だろう。
根本的な疑問がある。協定本則の「漸進的に関税を撤廃する」との定めは、将来的に農産品を含む全品目の撤廃を求めているのか。
付属書には、撤廃を免れた品目をめぐり、発効7年後には米国など5カ国から要請があれば、日本が協議に応じる規定がある。ゼロ回答で済むのか。政府は明確に答える必要がある。
交渉に前のめりな甘利氏は、フロマン米通商代表とたびたび一対一で会談した。農産品で重大な判断があったとみられるが、密室のやりとりは伏せられている。
石原伸晃経済再生担当相が十分説明できない場合、野党は甘利氏の国会招致も検討すべきだ。
大統領選が始まった米国ではTPPに批判的な見方が多い。労組に配慮する民主党のクリントン前国務長官は反対の立場だ。
バイオ医薬品の独占的な販売を目指す医薬品業界も、開発データ保護期間を実質8年とした協定内容に失望を表明している。
議会審議は、11月の大統領選後に先送りされる可能性が高い。TPPの影響に正面から向き合う姿勢に日本政府も学んでほしい。
大筋合意から間もない昨年11月、政府は生産者の反対や不安を抑えようと政策大綱をまとめた。年末には、国内の農林水産業の生産量は減らないなどとする楽観的な試算を示し批判を招いた。メリットばかりを強調して批准を促す政府の姿勢は、認められない。国会での徹底審議が先だ。