私は、45年前に美瑛町に義父がいたので複雑で、懐かしく感じる出来事です。当時は、観光客が何十万人も美瑛、富良野に来るようなこともなく、静かな地域でした。冬の寒さも厳しく、マイナス20度前後の厳しい冬を思い出します。
観光産業と地域で生活する住民、自治体が何を考え、どうすることが一番良いのかを議論し、納得できる道を探る以外手立てはないように感じます。当事者を責める意見もありましたが、筋違いだと思います。考えさせる出来事です。
<報道記事>北海道美瑛町での出来事
2月24日、北海道美瑛町にある「哲学の木」が倒された。観光スポットとして人気を博したが、観光客のマナー違反も指摘されていた。木が倒された理由について。
木は、物思いにふけているように見えることから「哲学の木」と呼ばれている。テレビなどで紹介され観光スポットになっていたが、木の周りの私有地の畑ではマナー違反が相次ぎ、地主や観光協会が対策を練っていた。
Twitterでは、「一度は行ってみたかった」「悲しい」と惜しむ声が広がっている。
哲学の木を撮り続けていた写真家の中西敏貴さんがブログで、木が倒された理由を語っている。
「まず、哲学の木は切られたのではありません。
イタリアポプラである哲学の木は寿命を全うしようとしていました。かなり弱っていたことは間違いありません。ご存知のようにかなり大きな木で、この木が農作物のある時期に倒れたりすると大変な被害になることは明白です。そんなこともあり、地主さんは昨年から決断していました。
もちろん、その決断を後押しした理由に『観光客やカメラマンのマナーの悪さ』があることは事実です。農作業中の姿を撮る、畑に入る、雪の中で遊ぶ。そのどの行為も彼らは望んでいませんでした。あの木が今日まで生きてこれたのは、『それでも美瑛まで来てくれるんだから、楽しみを奪っちゃかわいそうだな』という農家の方のご好意があったからです。
しかし、近年はその我慢の限界を超えていました。そこで彼らは昨年から撮影禁止という決断をしたのです。それでも畑への侵入は後を絶たない。彼らにとって、木は農作業の邪魔な存在となってしまったのです。そして、今日、重機によって倒されました。弱っていたため、少しの力で倒れてしまいました。あまりにあっけなく、一瞬の出来事でした。」
中西さんは、地主さんから頼まれて、一部始終を報告するブログを書いたという。
哲学の木は中西さん自身や他の写真家の作品を通じて、その存在が知られるようになった。中西さんは「ロケーションを世の中に広めた責任を感じている」と話す。
哲学の木が倒された理由について「最後の引き金を引いたのは、観光客。どこの国の誰がとかではない。一部のマナーが悪い人のいままでの行いが積み重った」というのが、中西さんの見方だ。
ネットでは観光客だけでなく、カメラマンも「被写体を消費するような撮り方するカメラマンがいる」と批判の対象となっている。
これに対し、中西さんは「カメラマンのせいだと言われるが、プロのカメラマンはプロとして一線を越えちゃいけないというのを十分理解している」。
「哲学の木の写真を使用してほしくない」
倒された瞬間、その場にいた中西さんは「記録として写真を撮った」が公表はしていないという。「教訓として発信したい気持ちはある」と語るが、地主は「もう駄目。出さないで。何もなかったことにしてほしい」と切願しているという。
「『哲学の木があった場所へ訪れるであろう人々を避けたい』という思いが地主さんにある」と中西さんは話す。
一番伝えたいことは何か。「木がなくなった事実を無駄にしてほしくない。観光するときには、地元の人を邪魔しないよう、観光客としての心構えを持ってほしい」と中西さん。