「賃金を上げ、格差を是正していくことが必要だ。大幅な賃金増が実現すれば、個人消費が回復する可能性が高い。何よりも働く人の4割を占める非正規労働者の待遇を改善していくべきだ。」
安倍、山口自公政権が行っている経済政策―――円安、市中への現金供給、マイナス金利などはすべて、大手企業の輸出に寄与する政策。また、市中への現金供給は投機資金を投資集団、海外の投資集団の手にわたり、投機に使われた。年金なども株式相場の人為的な投機に使われた。それだけのことです。これで、日本経済が好転するとしたら奇跡でしかありませんし、このような子供だましに専門家であるまともな機関投資家が従うはずがありません。従ったふりをして、相場の高騰を利用し、利益を確定させて売りぬいているだけです。
日本経済の構造的問題は、新たな産業を日本で根付かせることができていないことです。新しい産業分野の創造―――環境対策の技術開発と産業、医療分野の技術と産業、再生可能エネルギー開発と産業を拡大させる。そこで、新たな雇用を確保する。大学の基礎研究に資金を投入する。研究開発、技術開発などの分野で世界の一流、先進国となるような財政支援を行う。などなど。短期対策と中長期対策を組み合わせて手を打つ必要があります。
もう1つは、貧困と格差拡大を改善、解消する政策を実現すること。非正規労働を法律上規制し、正規労働を基本とした労働行政に転換すること。そのことが低所得者の削減、生活保護世帯の削減に寄与します。所得の向上は、消費を活発化し、国内産業の向上に寄与します。
<東京新聞社説>GDP減速 賃上げで成長の糸口を
状況の厳しさがより明確に示された。
内閣府がきのう発表した昨年10〜12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)である。速報値が実質で0・4%減、年率換算で1・4%減となり、2四半期ぶりにマイナス成長となった。
要因は内需の柱である個人消費の不振だ。2四半期ぶりに減少して0・8%減に落ち込んだ。
物価上昇に賃上げが追いつかず、実質賃金は昨年まで4年連続減少している。この状況で個人消費の盛り上がりを期待するのは無理がある。
年明け以降の世界の経済状況はさらに厳しくなっている。
中国経済が回復する気配はなく、需要不足で原油安が加速した。米国経済も一時期の勢いが失われ、欧州では金融機関の信用不安もささやかれている。
世界の投資マネーは安全資産に向かって円高や株安を招き、企業の業績に逆風となっている。日銀の金融政策もマイナス金利の副作用が目立ち、導入効果はまだ見えてこない。大規模金融緩和は限界に近く、政府の財政出動も多くは難しい。
だからといって企業が賃上げに消極的になっては、業績向上を賃金上昇につなげて個人消費を増やし、新たな投資を生み出す経済の好循環の実現は遠のいてしまう。今春闘はデフレ脱却の成否がかかる重要な場面だ。
突破口はやはり企業自らがこじ開けるしかない。
賃金を上げ、格差を是正していくことが必要だ。大幅な賃金増が実現すれば、個人消費が回復する可能性が高い。何よりも働く人の4割を占める非正規労働者の待遇を改善していくべきだ。
企業の内部留保は2014年度に354兆円となり、2年前から約50兆円増えている。それに比べて、これまでの賃上げは不足している。来年度からは法人税の実効税率も引き下げられ、現在の32・11%が29・97%に、18年度には29・74%になる。
業績が好調な企業にとって条件は整っている。可能な企業は、今春闘での賃上げをためらってはならない。
世界経済の安定に向けた取り組みも欠かせない。
安倍首相はきのうの衆院予算委員会で今月下旬に中国で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での各国の国際協調実現に期待を表明した。リーダーシップをとり、有効な対策を打ち出す必要がある。