経済をグローバル化させ、国の関与と規制から逃れたのは、アメリカ、イギリス、日本などの多国籍企業と大手金融機関、投資集団です。その一部巨大企業が、利益を上げやすく、自由に動くために政治を買収し、法制度を捻じ曲げてきました。そのツケがまわりまわって、アメリカ、日本などの景気変動が他国に連動し、一国では対応ができない状況に陥っています。
自国通貨を切り下げる、為替変動を人為的に行ったとしても、基本的な経済環境、条件が変わらなければ、市場を通じて本来あるべきレベルに回帰することはある意味当然のことです。新自由主義が市場万能論を主張するのであれば、その結論も受け入れなければなりません。円は、安倍、黒田による金融政策前は一ドル80円でした。その意味では一ドル120円が為替相場としては異常であることを示しています。
日本経済の長期低迷は、非正規労働の爆発的な増加、貧富の格差拡大、その放置、消費税率による国民収奪、生活保護家庭の激増によって、購買力の低下、消費の縮小が危機的な水準まで到達しているからです。また、金融機関が巨額の資金を抱えても融資先がなく、国内企業の資金需要がないこと。したがって、市場に資金を供給しても企業の需要がない以上、日銀当座預金に戻るしかありません。金融機関が投資集団に資金を融資すれば、各種相場の高騰を招き、インフレ、バブルの発生へと向かいます。どちらにしても、そのことで国民が負担と被害を受けることは変わりません。このような安部、黒田による巨額の資金供給政策を止め、国民が豊かになる政策への変更をすべきです。
<朝鮮日報>日銀・黒田総裁に次の一手はあるか
日本銀行の黒田東彦総裁は12日、安倍晋三首相と急きょ会談した。安倍首相と黒田総裁は2013年のアベノミクス導入以降、経済上の課題について、予告なしに会談し、追加的な景気対策を発表してきた。今回の会談では、先月29日に黒田総裁がマイナス金利政策を導入後、金融市場が動揺し、円相場が121円台から113円台にまで急騰した点、日経平均が15%近く急落した点などについて、対応策を話し合ったとみられる。黒田総裁は会談後、「為替を含め、国際的な金融市場の動きについてはしっかり注視していきたい」「必要になればちゅうちょなく政策を調整する」などと述べ、断固たる態度を示した。
金融市場では黒田総裁が市場の信頼を回復するため、マイナス金利と量的緩和を混ぜ合わせたさらに強力なカードを切る一方、市場との意思疎通を強化するとの見方が示されている。日本のマイナス金利の「実験」は市場に混乱を招いたものの、既に欧州などではマイナス金利が定着しており、慌てた対応で市場の混乱に拍車をかけるのではなく、政策効果を強調するのではないかとの観測だ。黒田総裁は同日、「マイナス金利は当然、消費にも投資にもプラスの影響をもたらす」と述べた。
■3月にさらに強力なカードか
黒田総裁としては、市場の信頼を回復することが急務だ。昨年12月初め、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も市場参加者が望む量的緩和拡大政策を発表しなかったことで世界的な株安を招いたが、景気浮揚の意思を再確認することで、市場の混乱を鎮めた。日銀は景気浮揚に向けたさらに強力な「バズーカ砲」を放つ可能性が高いとみられる。
JPモルガンは「円高を防ぐため、3月15日に開く日銀の金融政策決定会合でマイナス金利の幅を現在のマイナス0.1%からマイナス0.5%へと拡大し、量的緩和規模も大幅に拡充する」と予想。3月15日を待たずに臨時の金融政策決定会合で量的緩和を拡大する可能性もあると指摘した。日本が2000年代初めのように為替市場に直接介入し、円安へと誘導する可能性もある。
資本市場研究院のシン・インソク院長は「世界経済がぜい弱な状態にあるため、マイナス金利など先進各国の中央銀行による実験は今後も続くのではないか。韓国としては、さまざまな意見がぶつかり混乱が生じることがないように、世界的な政策協調を求めると同時に、市場の混乱に備えた緊急対策も準備しておく必要がある」と指摘した。方顕哲(パン・ヒョンチョル)記者 朝鮮日報