“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

思想信条、報道の自由を守れ なんのための放送法か 

2016年02月28日 11時00分50秒 | 臼蔵の呟き

憲法が国民に対し表現の自由を保障する理由は何か。国民が自由にものを言えないようでは民主主義が成り立たないからだ。」

放送は国民主権を確かなものにするためにある。政府の道具ではない。4条の基準は放送の国民に対する約束、自らを律する倫理規範と考えるべきだ。4条違反を理由に政府が放送局を処分するのは法の趣旨を逸脱する。」 

「放送に対しては多くの国で法的規制がある。根拠の一つには、放送メディアの影響力の大きいことが挙げられる。」
「政府、自民党による介入の根っこには放送に関する権限を政府が握っている事実がある。政府が放送を監督下に置く国は先進国では少ない。」

 政治権力が、自らの政権支持率を維持し続けるために、言論統制、情報操作を意図することは歴史が示す通りです。旧大日本帝国憲法下では、天皇批判を極刑にし、そのもとに存在する日本軍に絶対的な権限を集中させ、侵略戦争へ突き進みました。その進行過程で、治安維持法による民主勢力への弾圧・殺害が公然と行われ、天皇制批判、日本軍による侵略戦争と政権批判はすべて刑事罰の対象となりました。このことが、暗黒政治の象徴でもありました。その反省を受けて、憲法における表現の自由、思想信条の自由保障と放送法の制定へと結実されました。

これらの教訓を守ることが必要です。安倍、山口自公政権、極右集団による憲法無視、報道の自由への政治介入で崩壊させてはなりません。

<信濃毎日社説>あすへのとびら なんのための放送法か 国民主権を確かにする

 高市早苗総務相の発言を糸口に、放送法について考えてみたい。8日の衆院予算委での答弁だ。

 「行政が何度要請しても全く改善しない放送局に何の対応もしないとは約束できない。将来にわたり(電波停止処分の)可能性が全くないとは言えない」

 安倍晋三政権に批判的とされるキャスターの番組降板が相次いでいる問題を野党議員が取り上げた。番組が政治的公平を欠くと政府が判断しただけで「電波停止が起こり得るのではないか」、との質問への答えである。

   <制定経緯を振り返る>

 放送法は4条で、番組編集の四つの基準の一つに「政治的に公平であること」を挙げている。電波法76条は、テレビ局が放送法に違反したときは電波の停止を命ずることができると定めている。

 条文の限りでは、総務相が言う通り、4条違反を理由にして電波を止めることができると読み取れないでもない。

 それは正しい解釈なのか。答えは「ノー」だ。

 放送法が制定された経緯を振り返る。成立したのは日本が占領下にあった1950年。電波行政の基本を定める電波法とセットだった。政府から離れた立場で電波行政をかじ取りする電波監理委員会の設置法と合わせ「電波三法」と呼ばれた。

 日本政府はこのとき、放送を戦前、戦中と同様に政府の管理下に置く仕組みを作ろうとした。だが連合国軍総司令部(GHQ)は放送の自由を保障するよう求める文書を政府に突きつけた。担当者の名前をとって「ファイスナー・メモ」と呼ばれる。このメモが放送法のベースになった。

 ファイスナー氏は占領が終わった後も日本にとどまり、2010年に宮城県の自宅で死去している。99歳だった。

 放送法は1条で法の目的に「放送の不偏不党、真実および自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」を掲げている。この規定は憲法21条「集会、結社および言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と響き合う。

 憲法が国民に対し表現の自由を保障する理由は何か。国民が自由にものを言えないようでは民主主義が成り立たないからだ。

 放送は国民主権を確かなものにするためにある。政府の道具ではない。4条の基準は放送の国民に対する約束、自らを律する倫理規範と考えるべきだ。4条違反を理由に政府が放送局を処分するのは法の趣旨を逸脱する。

 以上は憲法やメディア法研究者の常識になっている。そう考えないと憲法と整合性がとれない。政府もかつては国会答弁で、放送法違反による処分は難しいとの判断を示していた。

 政府は1960年代から放送への介入姿勢を強めてきた。社会派ドラマやドキュメンタリーが番組表から消えていった。68年には北爆下の北ベトナムに入ってリポートしたTBSのキャスター、田(でん)英夫氏を降板させている。

 自民党は昨年4月、「やらせ」問題などでNHKと民放の幹部を党本部に呼び事情聴取した。「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、または規律されることがない」と定めた放送法3条に照らし、問題の多い行為だった。

 放送に対しては多くの国で法的規制がある。根拠の一つには、放送メディアの影響力の大きいことが挙げられる。

 ラジオが普及し始めた1930年代にジャーナリストの長谷川如是閑(にょぜかん)が書いている。「ラジオは意識の統一の道具としては、印刷物の到底もち得ざる有利の条件をもっている」。支配階級はラジオを通じ「その統制をほしいままにすることを得る」。

 ナチスはラジオの力を最大限に使って政権を握ったのだった。

 世界には放送が権力者の道具になっている国が多い。戦前、戦中の日本がそうだった。歴史の反省を踏まえ、電波を国民のものにしておくために放送法は定められた。そう考えるべきだ。

   <第三者機関をつくれ>

 政府、自民党による介入の根っこには放送に関する権限を政府が握っている事実がある。政府が放送を監督下に置く国は先進国では少ない。国立国会図書館の07年の調査リポートも、主要国では「放送の規制監督は政府から一定の独立性をもった組織が担うのが一般的」と書いている。

 政府が電波停止の可能性を持ちだして放送局を脅すようでは、放送の自律は難しい。放送を政治から切り離すために、日本の独立回復とともに廃止された電波監理委員会を時代に合った新しい形で復活させることを考えよう。 


韓国から見た事故から5年の福島第一原発事故現場と廃炉作業

2016年02月28日 10時15分28秒 | 臼蔵の呟き

「小野明・福島第一原発所長は「福島原発の廃炉は30-40年かかる作業であり、登山でいえばまだ1合目」と述べた。」

「例えば汚染水の場合、トリチウム以外の汚染物質は取り除いたというが、逆に言えば「トリチウムは残ったまま」ということになる。以前より汚染の度合いが弱まっただけで、汚染水であることに変わりはない。今後も汚染水を全て原発内に貯蔵して管理しなければならない。」

<朝鮮日報>福島原発事故から5年、廃炉作業はまだ「一合目」

 田舎道は早朝から車でいっぱいだった。トラック、バス、乗用車など大小さまざまな車が2車線道路を埋め尽くし、北に向かって走っていた。

 ここは福島県楢葉町。5年前、最悪の原発事故が発生した東京電力福島第一原子力発電所のすぐ近くだ。当時、この地域は震度6強の激しい揺れに襲われ、原発では原子炉内の核燃料が溶融する「メルトダウン」が発生した。半径30キロ以内の住民は、着の身着のまま住居を離れた。その後ゴーストタウンのようになっていたが、今はどちらを見ても車が走り、人が動いていた。「東京電力の社員1200人、原発作業員7000人、計8200人が毎日福島第一原発に出勤しています。しかし3年前までは1日に3000-4000人でした。社員の宿泊施設とオフィスを新たに建設しています」(オカムラ・ユウイチ東京電力スポークスマン)

 東京電力が東日本巨大地震(2011年3月11日)から5年を迎えるのを前に、福島第一原発を公開した。事故直後と比べて最も目立った変化は、原発の中に入る人たちが以前と異なり顔全体を覆う大型マスクを着けていないことだ。原子炉周辺など一部区域で作業する人を除けば、ほとんどの人は防護服と、鼻・口を覆う防じんマスクだけを装着していた。それだけ原発の除染作業が加速度的に進んでいることを意味しているのだろう。

 東京電力は放射性物質による汚染水65万トンから三重水素(トリチウム)以外のほぼ全ての放射性物質を除去する作業を昨年夏までに終えた。

 また、原子炉1-4号機のうち4号機については使用済み核燃料の取り出し作業も完了した。現在は3号機の使用済み核燃料を取り出す作業を実施する一方、建物上部をドーム型の構造物で覆う作業を進めている。

 これと同時に、東日本巨大地震で水素爆発を起こした原子炉1号機と3号機の建物の残骸についても、ほとんど撤去した。放射性物質に汚染された土壌が風で飛散しないよう、原発の中もセメントで舗装した。

 しかしこれらの成果も、今後しなければならない作業に比べたら「初期段階」にすぎないというのが東京電力の分析だ。小野明・福島第一原発所長は「福島原発の廃炉は30-40年かかる作業であり、登山でいえばまだ1合目」と述べた。

例えば汚染水の場合、トリチウム以外の汚染物質は取り除いたというが、逆に言えば「トリチウムは残ったまま」ということになる。以前より汚染の度合いが弱まっただけで、汚染水であることに変わりはない。今後も汚染水を全て原発内に貯蔵して管理しなければならない。

 このような状況で、新たな汚染水が毎日300トン、1カ月に約1万トンずつ発生している。雨や雪などが福島第一原発に降れば全て汚染水になってしまうからだ。原発敷地の地下を流れる地下水も同じだ。

 これを浄化し続けるのも大変だが、浄化した水の保管も問題だ。東京電力が確保している汚染水貯蔵スペースは85万トン分だが、すでに約75万トンの汚染水がたまっており、あと1-2年もすればいっぱいになってしまう。

 そのため東京電力は現在、汚染水の貯蔵スペースを95万トンに拡張する作業を行っている。地下水の原発内への流入を防ぐために「凍土遮水壁」も設置した。昨年9月からは、トリチウムの濃度を基準値未満まで最大限引き下げた汚染水を一度に数百トンずつ海に放出する作業も進めている。ただし、いずれも根本的な解決策にはなっていない。

 今後、どのような作業がどれくらい残っているのか。これまでに東京電力は、原子炉1-4号機の中でも最も被害の軽かった4号機のみ内部を収拾した。一方で原子炉1-3号機は内部に使用済み核燃料がそのまま残っている状態だ。このため原子炉周辺の一部地域は放射線量が依然として強く、3-4時間立っていれば日本政府の定めた年間の被ばく線量上限値(1ミリシーベルト)に達してしまう。それも防護服を身に着けている場合の数値だ。このため作業員たちも一定時間作業した後は必ず事故地域の外に出なければならない。

 周辺地域の復興も難題として残っている。東京電力はこれまで、周辺の住宅や農地で除染作業を進めてきた。既に住民の帰還が許された場所もある。しかし依然として人の住んでいる家よりも空き家の方がはるかに多いように見えた。

 この問題を少しでも解決しようと東京電力は昨年5月、地域の農産物を使った作業員向け食堂を原発敷地内にオープンした。しかし福島県や原発敷地内の食堂だけでなく、ほかの地域で同じように料理や食材を提供して同じ値段で食べてもらえるのかは、なおも疑問が残る。 

金秀恵(キム・スヘ)特派員 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版


炉心溶融過小評価 東電の「闇」

2016年02月28日 09時33分47秒 | 臼蔵の呟き

「これまで東電には社内情報共有や情報公開の不十分さを何度も見せられてきた。今回の説明にも不可解な点がある。第三者を交えた今後の社内調査には東電に対して批判的な人物を複数加え、経緯や背景、誰の指示だったのか、政治的圧力の有無など、東電をめぐる闇の部分を徹底的に解明すべきだ。」

 原子力技術に限界があり、安全性などを担保できるような技術でなかった。そこに、東京電力のような情報開示に関する隠蔽体質がある企業が結びつくことで、最悪の事態が進行した。その結果、あらゆる対策が後手後手に回った。そもそも、地震、津波対策が必要なことを指摘されながら、企業内部ではそのことがまともに議論検討されずに、対策を打たずに11年3月の東日本大震災を受けての大惨事を迎えた。

 東京電力の経営責任、経営者の刑事責任を追及し、刑事罰を明示すべきです。そのうえで、原子力発電が不完全な技術であり、再稼働を止めること。電力は節電と再生可能エネルギー開発で賄うことができる。そうすべきです。

<琉球新報社説>炉心溶融過小評価 東電の「闇」を徹底解明せよ

 東京電力は2011年3月に発生した福島第1原発事故当初の原子炉の状況をめぐり、極めて深刻な事態の「炉心溶融(メルトダウン)」ではなく、前段階の「炉心損傷」と説明し続けたことが誤りだったと発表した。

 当時の社内マニュアルに炉心溶融の判断基準が明記されていたにもかかわらず、事故後に全面改定され、かつて基準が存在したことを5年間も見過ごしていた。
 自分たちで作ったマニュアルなのに、5年も気付かない。しかも柏崎刈羽原発を抱え、事故対応を検証している新潟県の技術委員会の求めで調査を始め、判明したという。あまりにお粗末だ

 原発周辺住民、国民にとって重要な事象が過小評価に基づき説明されていたことは極めて遺憾で、重大情報の隠蔽(いんぺい)にほかならない。
 炉心溶融か否かの判定は、事故対策や避難対策にも関わる重要なものだ。情報が正確でなかったことで住民の避難判断、事故対策などに支障を来した可能性もある。

 事故から2カ月後の11年5月、東電は詳しい解析の結果として1号機で大部分の燃料が溶けたと推定し、ようやく1号機の炉心溶融を認めた。
 それまでは、放射性物質の放出状況などから炉心溶融の可能性が高いと多くの専門家が指摘していたにもかかわらず「溶融を判断する根拠がない」と説明していた。炉心溶融という言葉を避け「炉心損傷」で押し通していた。
 事故発生の翌日、炉心溶融に言及した原子力安全・保安院(当時)の広報担当者が交代させられている。その後、政府や東電の担当者からは、炉心溶融に対し慎重な発言が目立つようになった。
 政府の事故調査委員会の聴取などで当時、東電や保安院に対し、記者会見での説明内容について事前調整を徹底するよう官邸から指示があったことが判明している。
 こうした状況を考えれば、深刻な事態を連想させる炉心溶融の認定を意図的に避けていた可能性さえ疑われる。
 これまで東電には社内情報共有や情報公開の不十分さを何度も見せられてきた。今回の説明にも不可解な点がある。第三者を交えた今後の社内調査には東電に対して批判的な人物を複数加え、経緯や背景、誰の指示だったのか、政治的圧力の有無など、東電をめぐる闇の部分を徹底的に解明すべきだ。