あまりに乱暴な議論と対応には唖然とします。まじめに国の行く末を考えているのかと思います。高級官僚は、富裕層からの出身者が多く、親の経済力によって幼少期から潤沢な資金により塾、家庭教師、その他に膨大な教育資金を投入されて高等教育を受けています。その証拠に、国立大学の学生の多くは親の年収が非常に高い、そのような収入家庭で育つ子供たちであることがデータ上で証明されています。
教育は、長期的に見れば、その国の知的水準、文化などを大きく左右する最も重要な課題です。また、学術、科学技術などのレベルを大きく左右する課題です。ノーベル賞受賞者が出れば、大騒ぎして日本は優れた国家なのだといいながら、その一方で、義務教育予算をぎりぎりまで削減し、子供たちの教育は質的な低下を強要するという自己矛盾に無頓着な安倍、自民党極右政権には辟易します。
そもそも、100億円前後の予算きりつめであれば、政党助成金をやめればよいだけの話でしかありません。自らの政治資金は税金を当て、バー、化粧品、贈り物に使い、公私混同を行いながら、長期的な視点での教育経費を切り詰めることには何の矛盾も、痛みも感じない政権には呆れるばかりです。
<北海道新聞社説>35人学級 根拠なき乱暴な廃止案
これが教育再生をうたう政権が目指す方向なのか。政府の一部から後退としか受け取れない案が浮上したことに驚きを禁じ得ない。来年度予算をめぐって財務省が、公立小学校の低学年に導入されている35人学級を40人に戻すよう文部科学省に求めるという。
きのう財務相の諮問機関「財政制度等審議会」でも議論された。
日本の公立学校の学級規模は国際的にみても大きすぎる。むしろ35人以下学級を他の学年にも広げていくことこそ求められている。財務省には撤回を求めたい。
35人学級は、2010年に中央教育審議会(中教審)が少人数学級化の方向を提言したのを受けて11年度以降、小学1年、2年で順次実現した。提言の中で中教審が理由に挙げたのは、脱ゆとり教育に伴う授業時間増加といじめや暴力行為の深刻化だった。これに対し「導入後、いじめや不登校に改善が見られない。だから35人学級に特段の優位性はない」とするのが財務省の言い分だ。
だが、自殺者が出れば報告が増えるというように、いじめの件数は変動が大きい。不登校などの増減も、わずか数年のデータで傾向を導き出すのはあまりに乱暴だ。
小学低学年は義務教育の始まりで特にきめ細かなケアが要る時期である。教育上の配慮としても、中教審の方向性に照らしても、学級規模を膨らませる選択はない。
40人学級に戻せば教員を減らせる―。財務省はその場合に削減できる国の負担を年額86億円とはじいている。予算削減が先にあっての物言いではないのか。国の財政状況が厳しいのは理解する。だが、教育の支出は将来への投資である。むげに削っては社会の未来を危うくする。これから羽ばたこうとしている子どもたちの可能性も摘みかねない。
旭川市など自治体によっては独自予算で国以上に少人数学級を進めている。その意欲をそぐ側面も見過ごせない。政府が手を引く分を穴埋めしようとすれば、地方財政はさらに厳しさを増そう。
それでなくても日本の小学校の学級平均は28人前後で、経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均を上回る状況が続いている。一方で国内総生産(GDP)に占める公的教育費の割合は加盟国中、最低である。政府は予算の引き上げに本気で取り組むべきだ。
文科省は屈することなく、逆に財務省に少人数学級の必要性を説いていかなければならない。
<北海道内の小学校3割減可能 財務省試算、小規模校統廃合で>
財務省は27日、2015年度の予算編成を議論する財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、標準規模とされる1校12学級を満たしていない公立小学校を統廃合した場合、道内では学校数で27・8%に当たる319校、教員数で11・2%の2183人を削減できるとの試算を示した。
試算は12学級未満の小学校が2校以上ある市町村で、1校の規模を小学1年36人、2~6年41人の計241人を上回るよう統廃合を進めるとして実施。全国では学校数で15・9%の3325校、教員数で4・3%の1万8034人の削減が可能とした。ただ、離島、山間、豪雪地域は配慮も必要と指摘した。
併せて公立小の1年生で導入されている35人学級を見直して40人体制に戻すよう文部科学省に求める方針も示した。小1の再40人学級化では、教員人件費の国費負担を年間約86億円削減できるとした。