■2006年 日本 114分
■2008.11.15 DVD
■監督 渡辺謙作
■出演
江口洋介(北原修路) 原田知世(香西瑞希)
瑛太(智希) 菅田俊(舞坂町-町長)
飯田孝男(前田善朗) 小林麻子(本田)
余貴美子(室園絹) 岩松了(田尻)
《story》
「今、一線を越える」
「町対町、役所対役所、上司対部下、そして男と女」
舞坂町のツーリストに勤める北原は、町内で発行されている広報誌をふと見る。そこには、隣町の森見町との戦争告示の記事が小さくあった。戦争開始予定日、戦争終了予定日まで書いてあった。北原がいつも通う舞阪町への通勤路。戦争開始日が過ぎても変化はない。ある時、森見町役場の香坂という女性から電話が入る。偵察業務依頼だった。辞令を受け、毎日舞阪町の様子を報告する。そして、香坂さんと夫婦となって舞阪町への潜入捜査業務を行うことになる。香坂さんは、まるでロボットのように仕事をこなす。町は相変わらず変化はないが、広報誌での死亡者数は増えている。本当に戦争は行われているのか。香坂さんから緊急の連絡が入り、舞阪町を脱出することになる。下水路を通るが、そこには死体が・・山道で襲いかかる、敵の兵士となった会社の上司。そして、案内役をしてくれた香坂さんの弟の死・・。無事脱出ができ戦争は終わった。業務にもどろうとする香坂さん。北原は呼び止める。
うーん、本の方がいい
これは本を先に読んだ。自分の頭の中だけでイメージを作るから、平和な町の隠れた戦争場面がリアルに描けたが、映画は他人が作り出したイメージ。違和感があった。私の受け取り方がおかしいのかもしれない。戦争のリアルさを追求しているのではなく、それをまともに遂行することのおかしさなのかもしれない。えーっ、戦争? と思うことのまともさ、いつもはおもしろい上司でありながら、戦争で狂気に殺人者に変身することの異常さ、そして一般市民の無関心さがそこに描かれているのだ。何も考えず、言われたことをこなすだけのロボット人間の感情のなさ、というより感情を出してはいけない、隠さなければならない、悲しさ。そして感情を出せなくなった悲しさがある。「戦争? おかしいよ」という呼びかけに、「そうだよね」って答えられる、感情を素直に表現できることの素晴らしさ、それは愛することに通じる。
4畳半の下宿。月1万円。共同の流し。共同のくみ取り便所。風呂は大家さんのところで入れてもらう。もちろん昼に入ることはできないし、夜遅くなるとだめ。9時頃に行くと湯が少なくきたない。五右衛門風呂で、当たりは暗くて不気味。洗濯は、外に老いてある洗濯機でする。干すところは外にあるが、共同なので使い勝手がよくない。だから部屋の中に干す。押入に小型の冷蔵庫。ビールのケースで作ったベッド。小学校から使っている机。バイトで買った大型のスピーカーにアンプ、カセットデッキ。14型の小型のテレビ。田舎なのでチャンネルは4つ。NHK総合と教育、民放が2つ。この部屋で2年間、階段を上った左手の汚い部屋で1年間暮らした。遠くの町の田舎、大学生活下宿。
公式サイト「となり町戦争」