This Is It.

2009年10月29日 | 人物 -

  FOR 2WEEKS ONLY!

ロンドンで行われるはずだったマイケル・ジャクソンのコンサート。
その公演のリハーサル映像などで構成された映画、「This Is It.」

午前中に会社に行って、その後赤坂に行って、そこそこ仕事をこなして、
すぐに映画館に駆けつけ、チケットの予約(座席指定)をとった。
14:00開始の回が観ることができたのだが、大きなシネコンが満席だ!
混雑が嫌で昼間に映画館に行ったのに、満席とは・・・・MJのすごさを
思い知ることになった。年代層も様々だった。20代~70歳近くまで・・・。
(もちろん、そこは、小さな映画館ではない。むしろ大きなキャパだったぐらいだ)
昼間に、満席に近い環境で映画を観たのは「ぽっぽや」(高倉健主演)以来だ。
「ぽっぽや」は高齢者の観客が多く、小さな映画館で、それでも完璧な満席ではなかった。
とにかく、MJの映画は、すごい盛況ぶりだった。
30分前ぐらいの―ぎりぎりに来た人は、たぶん観れなかっただろう。


携帯写真で、映画の印象的なマイケルの写真を、バシャバシャと撮影する群れ!
それが、70歳近き熟女が多かったのには、正直驚いた。

                   ↓

       <映画館に展示されていた、こういう写真です>

   



――「This Is It.」――
私は、ダンサーの冒頭シーンから、涙腺が緩んで、ずっと泣き通しだった。
彼らにとって、「マイケル・ジャクソンと一緒のステージに立つ」ということが、
どういう意味をもつのか・・・その心の想いだけで、胸に迫るものがあった。
そして、最後まで号泣しながら、映画の中のマイケルを、全身全霊で楽しんだ。

とにかく、このドキュメンタリー「This Is It.」の中には、
50歳の等身大のマイケルが、確実に存在していた・・・・。
愛情にあふれ、完璧なまでの音楽へのこだわり、そして、誰もが納得するセンス!
ただ何気ない冗談までも、MJらしさの感性の言葉で、相手を切り替えしている。
すべてに共通して感じられたのは、彼の“懐の大きさ”と、「Love」だ。

素晴しいパワーだ。
マイケルの卓越したセンスで、総スタッフに指示を与えていきながら、ステージを
つくりあげていく様子が、要所に視られた。
それは、シンガーとしての立場を超えた領域に、確実に踏み込んでいた。
マイケルの素晴しい音楽性と感性が、ロンドン公演の全てを牽引していたのだ。
いや、ある意味で、マイケルの存在そのものに、大きな意味があったように、
今の私には感じられてならない。

この映画の中には・・・MJの人間性があふれていた。
「こうして作品をつくってきたのだなぁ」と感じ入る風景が、そのまま残されていた。

しばらく、観ていると・・・・
彼の葬儀に参列しているかのような錯覚を持つぐらいの雰囲気だった。
「鎮魂」と「惜別」と「尊敬」と「感謝」の気持ちが、私の中には同時に芽生えていた。


この映画は・・・・・
記録フィルムなので、もちろんマイケルのアップや完璧な音楽映像などは全くない。
マイケルは、すぐに迫ったロンドン公演のため、のどを大切にしていたので、
少しだけ力を抜いて歌っていて、声を張り上げる部分などは歌っていない。
歌の盛り上がる部分や、声をシャウトする部分などは、完全に歌わなかった。
「この状態のまま、舞台演出を施し、完成された衣装を装着したコンサートは、
どのようなものだったのだろう」と、ただ一人で想像しながら、映画のシーンの
一つ一つに見とれていた。

50歳のマイケルは、50歳のマイケルらしさで、いつものように・・・
「音楽を感じるまま、心のままに踊っていた」けれども、全く10年のブランクを
感じさせない存在感があった。
50歳のマイケルの“心のダンス”が、そこにはあった・・・。

スタッフに指示を出す時も、非常にプロフェッショナルで、手を抜かない。
しかし、話し方や、言葉の表現には、常に優しさが伝わってくる。

「そのためのリハーサルだから!」そう言って、スタッフの要望に応えるMJ。
本当は、そんな体力など残っていなかったのかもしれなかったのに・・・・。

切ない程のスレンダーボディは、当時のマイケルの体調を物語っているようで、
最初のシーンでは、泣けて仕方がなかった。
公表できず、闘い続けた難病との26年が想いおこされ、涙なくしては観られない。
これも、結局は・・・マイケルの人生だけれど・・・・・
どうして母国でコンサートができる環境になかったのかを思うと、本当に切ない。



これから観る方のために、詳細は書かずとも、エンドロールでは、一人として
席を立たず、映画の最中にもかかわらず、拍手が何度も巻き起こる映画は・・・
私は(生涯で)はじめて観た。
エンドロールに、タイトルにもなった若かりし頃に吹き込んだ「This Is It.」、
その他、MJの代表曲が2曲流れる。余韻に浸りながら、タイトルロールなのに、
またまた拍手が怒涛のように巻き起こる・・・。
久しぶりに経験する清々しい、特別な映画だった。


当然、この映画の中では、マイケル自身の言葉で、これから迎えるコンサートや、
この惑星(地球)に対するメッセージも語られている。

私個人は、いくつもヒットした言葉やシーンがあったが、非常に長くなるし、
ネタばれになるので、(あえて)ここでとめておくことにする。
ただ、リハーサルのために、声をコントロールしていたため、往年の頃よりも
非常に力を抜いた声質で歌っているのが、より「優しい印象」を残したと思う。
私が大好きなシャウト部分は、聴けなくても、総合的には大満足する内容だった。


    


“LIKE YOU’VE NEVER SEEN HIM BEFORE”
映画のコピーにあるように・・・・
今まで誰も知らなかったマイケルの姿が・・・50歳の生身のマイケルの雄姿が、
確認することができたとは思うが・・・「複雑な哀しさ」が余韻として・・・・
この映画の印象として(私の中に)残るのは、残念なことだと感じる。
それは、ひとえに、マイケルが、「もういないから・・・」。
一つのファミリーとして、実現に向けて頑張っていたカンパニーの夢が・・・
途切れてしまったからだろう。・・・本当に、切ない。

だからこそ、私は偉大なる彼の最後の雄姿を、目に焼き付けておく必要があった。
それも、リアルタイムで、この時期に・・・・。
私の感じるままの状態で、この時期に・・・・。



「This Is It!」とは、「まさにコレだよ!」と「これで最後だよ!」という
二つの意味を持つ。
その二つの意味が、マイケル自身の声で、語られている箇所があり・・・
観客の全員が、それをキャッチできなくても、タイトルの意味を理解することは
容易にできるだろう。 (彼の強いメッセージが込められている)
この映画を観さえすれば・・・マイケルの心は届くはずだ。


そして、おそらく、マイケル伝説は、今後も語り継がれていくことだろう。