どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(105) 『薪小屋の美しさ・六合村にて』

2009-08-26 02:53:27 | 歴史散歩

     (薪小屋の美しさ・六合村にて)


 赤岩集落については、何年か前にNHKテレビでも紹介されていた。
 この地域全体が、『重要伝統的建造物群保存地区』の指定を受けた年だったと思うが、狭い村中の道を散策する中年のご夫婦や、若い女性の二人連れを見かけたものだった。

 <長英の隠れ湯>に入った後、野菜など地元特産品をあつかう<赤岩ふれあいの家>に立ち寄ると、赤岩散策マップが用意されている。
 前回写真を載せた<湯本家>を始め、七箇所ほどの見学スポットが示されている。
 これらのマップは、いずれ画像にしてみたいが、オッチャンの腕では上手くいくかどうか、少しガンバル必要がありそうだ。

 それはともかく、マップには載っていない見所をひとつ。
 六合村(くにむら)の六合村らしい美しさ、几帳面さを伝える<薪小屋>の写真である。
 下り坂の途中でクルマを停め、惚れ惚れと眺めてしまった。
 一年越しの薪と今年の薪、新旧の対比が見事である。

 オッチャンは薪を作るそばから燃やしてしまうので、このような美的建造物(?)は残せない。
 おそらく観光客のために用意したものと思われるが、道端でみつける何気ない風景に、旅人のこころは慰められるのである。
 村の演出者は、なかなかの才覚揃いと見受けた・・・・。

 起伏に富んだ六合村のドライブ、赤岩地区のほかまだまだ見所が多いので楽しみである。
 この一帯、古くは草津村と呼ばれ八つの集落でできていたが、明治33年(1900年)に入山、生須、小雨、太子、日影、赤岩の6大字を以って六合村と称されるようになった。
 残り二つの集落、草津と前口は草津村(町)になり、六合村と分離された。
 六合村は平成12年(2000年)に100歳を迎えたそうである。

 それぞれの集落、読み方ひとつでも難解である。
 いりやま、なます、こさめ、おおし、ひかげ、あかいわ。
 さて、いくつ読めましたか?
 六合村そのものの読み方を知ったのも、それほど昔のことではないので、あまり知ったかぶりはできないが、オッチャンの知る限りこれほど魅力のある村は滅多にあるものではない。

 秋の紅葉シーズンにでも、ちょいと足を延ばしてみたらどうだろう。
 村の人たちに迷惑が掛からぬよう、そっと覗かせてもらって、最後には赤岩温泉、応徳温泉、湯の平温泉、花敷温泉、尻焼温泉のいずれかを選んで、どっぷり浸かるのもいい。
 日本人である喜びを、しみじみ感じることができると思う。
 
 応徳温泉には、道の駅があり、宿「花まめ」もある。
 コンビニとか、商業施設はほとんどないので、そのつもりで。
 正直、あまり観光地化してほしくないが、反面、多くの人に訪れて欲しい山里である。
 夕方など、赤岩温泉から出て向かいの山を仰ぐと、昔話の世界に紛れ込んだ気分になる。
 
 
  

 

 

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5 コメント

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平成の世にあって (くりたえいじ)
2009-08-27 12:10:11
薪小屋なんてものがまだこの世にあったんですね !
 
その呼称といい、その立ち姿といい、内部の几帳面さといい、平成の時代にまだ生き永らえているところに感服します。
今回のはカメラワークも、ばっちり。

前回のコメント欄でも知りましたが、六合村が「くにむら」と呼ぶことにも、うれしくなりましたよ。
だいたい〈平成の大合併〉とやらで、祖先から受け継がれてきた町名や村名が消え去っていったようですが、六合村はその波に呑みこまれず、厳然と存在している。これまた、うれしいことです。

「中年の夫婦」や「若い女性たち」が観光がてらに訪れているようですが、
うちらもちょっくら覗きたくなる村ではあります。
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美しいオブジェ (知恵熱おやじ)
2009-08-28 06:29:59

仰るように村の道を通る人たちに見てもらおうと意図して作られたオブジェのようですね。
実用だけなら態々危険な道路わきには作らないでしょうから。

それにしても美しい。薪小屋の作り、きれいに積み上げた木口。日本人独特の美意識を感じます。
いや、六合村のひとたちの高尚な精神性が作らせたのかもしれません。

子供の頃私も北海道で秋口になると冬に使う薪割をさせられ、割ったまきを家の外壁に沿って積みあげたものですが、その木口に美を感じるような余裕は持てませんでしたよ。
まったく六合村の人たちの自然と向き合う生活は奥深いなー。
去年の薪と今年の新しい薪の色合いの変化まで見せてくれるとは。嬉しいですね。

知恵熱おやじ
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もはや、これまでか? (窪庭忠男)
2009-08-29 14:23:50
(くりたえいじ)様、六合村は隣り合う中之条町と来年3月合併の方向で協議しているようです。
六合村の地名が残る可能性はきわめて低く、中之条町に吸収された後どのように独自性を残すか、村民の知恵が試されるのではないでしょうか。
一旦は平成の大合併を拒否したのですが、ついに・・・・という感じです。
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木口の美しさ (窪庭忠男)
2009-08-29 14:36:29
(知恵熱おやじ)様、実用だけだったら木口をこれほど意識することはなかったかも・・・・。
前述のような動きから、たとえ六合村の名は消えても、高尚な精神性だけは残して欲しいとおもいます。
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六合村が消える?! (知恵熱おやじ)
2009-08-29 15:41:25
来年にはこのユニークな、いや貴重な村名が消える!
許せないなー。勿体ない。
もちろんその地域なりのもっともな理由はちゃんとあるのでしょうが。

私の住む「三芳町」も数年前の全国的な町村合併騒ぎのとき、周辺の4市町村との合併案が浮上してすんでのところで消えるところでした。

その際それぞれの対象市町村で合併の可否を問う住民投票が行われ、わが町は合併反対と住民の意思が示されて、合併に参加しませんでした。

何でも古いままがいいとは思いませんが、この場合はよかったなあーと・・・。

知恵熱おやじ
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