ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第一部ブロック・バスター 046資料館へ 「そうよ。原爆はお腹の子どもにさえ、その力を振るったのよ」 いったい、お腹の子どもに罪はあるのだろうか……。 あるわけがない、とマイクは思った。 運のない子どもだとも、マイクは思った。 偉大なるアメリカに生まれれば、こんなことも、なかったのに……。 「原爆は偉大じゃなく、悪魔でしかないわ」 おばあさんは悲しそうだったが、その目はしっかりしていた。 「悪魔!」 おばあさんも、あいつのことを知っているのだと、ナンシーは思った。 「苦しかったでしょう」 「ええ……。あなたはやさしいのね」 ナンシーたちは、こんなに早くも生き証人に会うとは思わなかった。 いや、ここは広島だ。当然のことかもしれない、と思った。 「そろそろ時間よ」 「これから、記念館を見学するのよ」 「そう……、しっかり勉強してね。 そして、お国に帰えたら、原爆がどのようなものか、 お友達や親御さんに話してね。 こんなものは、この世に存在させてはならないものなのよ」 「はい」 ナンシーは唇をかみしめた。 「こんにちは」 初老の紳士が記念館で待っていた。 カメラマンはそれをとらえていた。 初老の男性は話しはじめた。 「暑いですね。寒い国から来た人には堪たえるでしょう? さあ、中へ入ってくださいよ」 皆のことを気づかってくれた。 マネキン人形があった。 それは、普通のマネキンではなかった。 被爆者のモデルをしているマネキンだった。
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