磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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D051.「裁判だ、裁判だ」

2005年11月08日 | 【小説】 レインボー...
IV.むらさき色の部屋(虹の世界)

D051.「裁判だ、裁判だ」





 多くの召使たちが
「裁判だ、裁判だ」
 と騒いだ。


 王様はいい気になって
「えへん、えへん、王様の名におき……」
 と雄々しく述べた。

 ユリカは裁判とは悪いことをした人に罰をあたえることだとすぐに思いついた。

 ユリカは何も悪いことをしてもいないのに裁判なんてと思い
「裁判! 裁判なんて、わたしはいやよ」
 と嘆いた。

 王様は自信満々で
「いかなるものも法の目からはのがれられない」
 と述べた。

 召使の大きな男の人ふたりがユリカの腕をとって、城の中につれていった。ユリカは足をパタパタ空中でさせていた。とてもユリカの力では、この男の人たちから逃れることなんて無理だとユリカは観念した。

 むらさき色の木でできた窓のない広い部屋に入れられた。ここは、法廷なんだわと、ユリカは思った。裁判官の衣装に着替えた王様が壇になったところの一番高いところの一番の真ん中にすわていた。

 そして、王様は傲慢(ごうまん)に
「法を守るということは自分を守ることにもなるんだぞ。この兵隊たちもよい人たちには、よいものだが、悪い人にはひどいものだ。もし、きみが正しく、法や兵隊から守られたければ、裁判をうけるべきだ。横のふたり下がってよろしい」
 と仰々しく述べた。

 ユリカの横の二人の男は
「アイアイサー」
 と言い、ユリカの腕をはなし敬礼をすばやくし機械じかけのロボットのような歩き方をして部屋の後ろへ行った。

 腕の痛みをおさえながら、ユリカは何がおきているのかわからなくって、今までのことを考えてから
「わたしはいやよ。わたしはただ……」
 と述べた。

 王様は
「法を守ることは、たとえ子どもであっても、大切なことだ。もう、きみは物事の善悪がわかる年頃だからね」
 と述べた。

「あなたがたの法律なんて、知らないわ」
 ユリカは叫ぶようにのべた。

 王様は気軽に
「あっ、そうか。じゃ、説明してあげよう。あっ、えへん! 法とは、国王が決めたことだ。つまり、国王が法なのだ」
 と笑った。

「国王?」
「そう、わらわのことじゃ。わたしの思うように全てがなるのだ、法によってな。誠にすばらしい、法だ」
 王様はにこにこしていた。

 ユリカは、こんなのめちゃくちゃだわと思って
「そんな、あなたの好きなようにできて、何が法律ですか」
 と、もっともなことを言った。

 こびへつらうバトラーは
「なんたることを言う。国王に対する侮辱だ。このユリカという女の子に、侮辱罪として、死刑を!」
 と叫んだ。

 王様は、にんまりと笑ってから
「考えちがいをしてはいけない。わらわは、素晴らしい。どう考えても、いい人だ。そうじゃろう……。そのわらわが法律なのだから、いい法律に決まっているじゃないか」
 と言って、首を上下に何度も振っていた。

「そんなの、おかしいですよ。法律はみんなで決めたことじゃないんですか」
 ユリカは当然だと思うことを主張した。

「みんなで、わらわが法律と決めた」
 王様は笑っていた。



閑話休題

スローライフという発想はいろいろなことが
生まれきました。

何年か前にあった老舗ブームもその一つと思われます。
老舗は現代の企業のあり方などとちがい、
長年つちかわれてきたものです。
環境にもやさしいといわれるのも納得できます。

老舗ブームの場合、不況につよい老舗ということも
いわれておりましたね。

国際法について、
坂本龍馬は「これからの時代は国際法」と
喜んで話していたのは本を読んでいても楽しいことですね。

でも、そのあとの多くの人たちは、
「大国は都合のいい時には国際法を持ちだし、
都合が悪いと武力を使用する」と、
非難していました。
今も同じですね……。

西欧の理念だけで造られた、
西欧が世界を支配するための
国際法といってもいいのに、
それさえも都合のいい部分しか
受け付けないとしたら、うまく
運営されないのは当然ですね。

京都の老舗のように、
知恵と理性を大国は持っていただきたいと
切に思います。




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老木の伝説

2005年11月08日 | 短編など
老木の伝説

山道のハイウェイをバスが行く。
修学旅行生は下の景色をながめようと
首を横にした。

「うわー、まぶしい」
太陽が目を眩惑させて、旅行生はとまどった。
街が一望に眺められた。

「何って--
何って--
いい景色」

街へバスが降りていく。

山道のハイウェイにはところどころ木々がうっそうと
生えてるところがあった。

修学旅行生がまぶしかった太陽の光を
老木はすがすがしく皮膚で受け止めていた。

幼木が小さな声でつぶやいた。
「みんなで楽しそうに~。いいなあー。街へ行きたいよ」

その横の老木が一本。
老木には片側しか枝がなかった。
老木は……。
むかし、むかしのことだった。
まだ私が生まれてもいず、
私の父も祖父も生まれていなかった時のことだ。

そのコロの世界の支配者は恐竜たちだった。

ただ植物たちが素朴に息づいていたこの世界に、
海から恐竜たちは生まれでてきた。

生まれた恐竜たちは段々強くなるために大きくなった。
大きくなって生き抜いた。

それは美しくも見えた。
赤い血しぶきを流し、地上を染めた。
恐竜は空さえ飛んでいた。

だれが生き残るか。
だれが縄張り争いに勝つか?
朝から恐竜たちは奇声をあげ、
勝負をしていたことだろう。

そして大きく、強く、早く、鋭く、大きく大きく……。
力の誇示に身を狂わせた。

彼らたちに滅びる時が来た。
四本足で歩く恐竜たち、
あれだけ力をみせた白亜の恐竜も
あれだけ激しかった彼らも……。

まるで自分の影に滅ぼされるように死んでいった……。
そんなことは、もうどうでもいい。
彼らは存在をなくして伝説になってしまった……。

バスガイドが話す。
「ここの木々たちの一部をご覧ください。
あの時の光を受けて片側の枝がいまだにございません。
しかし、この木々たちはあの光を受けても、
立派にこうして生きているのです」

透き通った血、雨の日も風の日も。
お日様の詩をききながら育ち。
日の子守り唄で眠っている。

むかし、むかしの事さ。
恐竜たちは……。

葉の上の透明なガラス玉--涙のよう。
ああ……。
いいことばかりじゃない……。
しかし……。
葉から音もせずに透き通ったガラス玉落ちてなくなった。








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『憎しみ続ける苦しみから人生を取り戻した人々の物語』

2005年11月08日 | 読書日記など
『憎しみ続ける苦しみから人生を取り戻した人々の物語』
ヨハン・クリストファー・アーノルド・著/
   吉枝恵・訳/いのちのことば社 FOREST BOOKS 2002年

人を愛することは自分を愛することとわかる一冊です。
また、逆も同じことかもしれません。
だけど、憎むことをやり続けている人を愛せよとは書いてありません。



著者の言葉を引用します。

「汝の敵を愛せよ、という命令は断じて、ユートピアを夢みる人の理想的な命令ではなく、私たちが生きていくためにどうしても必要なものだ。敵にさえ向ける愛こそが、世の中にある問題を解決する鍵なのだ。イエスは非現実的な理想主義者ではない。彼こそ実際的な現実主義者なのだ。
 憎しみを憎しみで返せば、憎しみは増加する。すでに星がまったくない夜に、さらに深い闇を加えるのと同じだ。闇は闇を追い出させない。光だけが追い出せる。憎しみは憎しみを追い出させない。愛だけが追い出せる。憎しみは憎しみを増加させ、暴力は暴力を増加させ、そして破壊は悪循環に陥っていく。」


愛とは大切なことは多くの社会的に権威ある人たちは忘れています。
もっていないからこそ、出世した方もおられる社会もあります。
しかし、その社会が幸せかといえば、違うと思います。

「愛のない真実は人を殺すが、真実のない愛は人を欺く。  エバハード・アーノルド」

一九七二年に、ベトナム戦争でヘリコプターのパイロットだった人が、ナパーム弾で攻撃しました。この写真は世界的に有名なものになりました。このパイロットは後に牧師になりました。
キムという少女は被害を受けたけれど、このパイロットを許しました。キムというベトナムの方は、過去は変えることはできないから、今は「平和を前進させる」ことを心にしているという。

ぼくの年代は哀れです。若いときは年功序列といわれ、
今は成績主義といわれます。
リストラにあい辛い目にあった人もたくさんいます。

憎しみをもつことで、心にゆとりがなくなって、
さらに辛い人生になっていく人をよくみかけます。
どうか、前向きに生きていきたいものです。


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