磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

菜の花エコ改革

2005年11月23日 | 読書日記など
『菜の花エコ改革』
   藤井絢子 菜の花プロジェクト
      ネットワーク・編著/創森社2004年

この本の人たちは現実を大切にして、
着実に改革をしようとしています。

ここでもマスコミはスポンサーが
大企業なので、このような運動もきちんと
報道していないようですね。



この運動は琵琶湖を守るためにはじめられたようです。
この当時の滋賀県知事が、さきがけの党首だった武村正義でした。
環境問題に彼は熱心だったようです。

洗剤ではなく、せっけんを使用しようという運動からはじまり、
廃食油からせっけんをつくる運動をはじめます。
そして廃食油からBDFをつくり、クルマの燃料を開発されます。

それだけでなく広い方面の環境問題にも取り組んでいかれています。

休耕田にすると国からお金がもらえる。
こんな異常なシステムをつくった政府。
その休耕田で菜の花をつくろうと呼びかけられました。
それでエコ改革をされようとしています。

農家の方には「バイオガス」はとても有効な手段です。
畜産ふん尿や生ゴミなどつくる燃料です。以下は引用。

「さらに、畜産ふん尿を利用した発電には、農家にとって、ほかにもメリットがあります。ドイツではふん尿を直接農地に撒く場合、雪が解ける前には撒いてはいけないとされており、撒ける時期が限定されます。それまでの期間は貯蔵しておく必要がありますが、その期間に発酵させればいいのです。また、発酵後の残る液体肥料(液肥)は、ふん尿と同じような効果があるので、肥料として田畑に撒きます。この液肥は臭いが抑えられ、悪臭による被害は抑えられます。こういった理由で、バイオガスプラントは普及しました。そのため、メーカーによる価格競争が生じ、バイオガスプラントは広く普及しました。そのため、メーカーによる価格競争が生じ、設置コストは日本の一○分の一以下です。」


ドイツでは「バイオエネルギー村」というのがあり、
そこにも見学に行かれたそうです。

ゴミ処理費用は日本はいくらかかっているかご存知ですか?

「国と地方自治体が支出した廃棄物処理費用(ゴミとし尿の処理費用)は年間二兆七三八一億円(二○○○年度)」


また「アジアせっけん会議」というものは、
「アジア市民生活環境会議」と発展していっています。

このようなことを進めていけば、日本も
名誉ある地位を築けることでしょう。


菜の花プロジェクトはHpも作られています。

もくじ[環境問題]

秋の味覚

2005年11月23日 | 短編など
秋の味覚

1.

猿と豚がいました。
季節は秋。
天気も快晴、日本晴れといっていいでしょう。

「ねえ、お猿さん。こんないい天気なんだから、
どこかへ遊びに行きましょう」
と豚さんが言いました。

「そうだなあー」
とお猿さんは考えました。

そして、二匹ともに食いしん坊だったので、
何がおいしい物を取りに行こうということでした。

「そうだ、豚さん、梨狩りにいこうよ」
「梨狩り」
「そう、あのむこうの山に梨の木がいっぱいあるんだ。
今は秋だからきっと、甘い水々しい実をつけているよ」
「わーい」
豚さんはブーブー鼻をならしました。

豚さんとお猿さんは山につきました。

すると木のぼり上手のお猿さんはスルスルと梨の木に
登ってゆきました。

そして、背中にしよった自分のかごの中に
いっぱい入れると、さっさと木をおりて、
山をおりて帰っていこうとしました。

「どうしてお猿さん。僕には梨わけてくれないの」
「豚さんは無し」
お猿さんは、キャキャ笑いました。

「ひどいなあー。せっかく一緒にきたのに」
「だったら、自分でとれば!」
「だって採れないもの」
豚は文句をぶーぶー言いました。
猿はそんなこと気にもせず、すたこら家に帰りました。


2.

「ねえ、豚さん。こんな天気のいい日だから、
ブドウもぎへ行きましょう」
「いやだよ」
「どうして」
「僕に一個も梨くれななかったじゃないか」
「ごめん、ごめん。おもしろい洒落だったろう?」

「じゃ、今度は仲良くいこうね」
豚さんはそういうと、陽気に二匹は歩き出しました。

「うひゃ、うひゃ、いっぱいなっている」
お猿さんは夢中になって木に登って、
ぶどうを採りました。

「わあー、お猿さん。いいぞ」
豚さんは見上げていいました。
「ねえ、もうカゴ一杯になったから、帰ろうよ」
お猿さんは言いました。
「でも、僕のはまだだよ~」
豚さんはこたえました。

「そんなこといったって、
もう日が暮れるよ。早く帰らなくっちゃ」

もうまわりは暗く成り始めていました。

「ねえ。お猿さん。帰ったら僕にもわけてね」
「あーあー」

家に帰ると、お猿さんはブドウを食べまくりました。
「お猿さん、ぼくにも分けてえ~」
何度もいいました。
お猿さんは面倒そうに、ブドウを一個投げつけました。

「ねえ、ちゃんと分けてよ」
豚さんのお腹はギュールルーと鳴っていました。

「ねえーたら」
「分けただろう」
豚さんは強くいって、家から追い出して笑いました。
豚さんはブドウ一個を食べただけでした。


3.

「ねえ、豚さん。
こんないい日だから柿を採りにいこうよ」
「いやだよ。お猿さんなんて、大嫌いさ」
「そんなこと言うなよ」

「だって、ブドウ一個しかくれなかったじゃないか」
「じゃ、最初から何個欲しいか、
いえばいいじゃないか」
「そうだね」
豚さんは言って喜びました。

そして、お猿さんと豚さんは出かけました。

「あれ、もう。あれだけしかないのか」
お猿さんと豚さんはがっかりしました。
「1、2、3つの、5つしかないよ」
豚さんは数えました。

お猿さんは木に登りました。
そして柿をおいしそうに食べました。
それから、柿の種を一つ投げてきました。
「僕が一コ柿を食べたから、きみにも一つね」


豚さんは涙をボロポロ流しました。


何かお酒くさい息がしました。
「プヒィー」
「豚さん、トンだこどたね。ウィ」
それは森のお酒飲みの妖精でした。

「お酒くさいよ~」
「まあ、そういうなあー。
おまえに不思議な力をくれてやる」
それは豚さんの鼻息を強力にするというのでした。

豚さんはためしに鼻息をブーとだしました。
すると、柿の実どころか、お猿さんまで落ちました。

お猿さんは腰をつよくうってしまいました。
豚さんは、気の毒なお猿さんを背負って帰りました。
地面に落ちた柿の実はリスたちが食べていました。

お猿さんは腹が立って仕方がありませんでした。
仕返しをしてやろうと考えました。
今度は栗拾いです。

高い木にのぼりました。
真上にお猿さんはいました。

豚さんに、
「きみも栗をとりなよ。それが君の取り分さ。
当たり前だろう」
と言いました。

豚さんは怒ってすごい鼻息になりました。
「しめた。あの鼻息で栗が落ちる。真上をむいてるから、
豚さんの顔の上に、あのいがいがが落ちるぞ」

豚さんは、前のようにお猿さんにひどいことはしては
いけないと思いました。

あわてて、逃げたお猿さんは、木を降りていました。
息をこらえた豚さんは、
「ヘクション!」
クシャミをしました。

栗のいがいががお猿の顔に当たりました。
カゴを放り上げてしまって、その栗の
いがいがが、いっぱい体中に刺さりました。

豚さんは一つずつ、いがいがをとってあげました。


それから今度はお芋掘りに行きました。
二匹は楽しそうにお芋掘りをしました。
「お芋さん、おいしね」
「二匹で食べると、よけいにおいしいね」
二匹は顔をあわせて言いました。

イモがイチバン、イいもン!
二人は同時にだじゃれを話しました。




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もくじ[メルへん]



【本人評】もう冬でしたっけ……。


D066.本の世界と現実の世界

2005年11月23日 | 【小説】 レインボー...
V.あい色の部屋(虹の世界)

D066.本の世界と現実の世界





 乞食の王様がお金をくれるとは思っていなかったので、ユリカはびっくりした。
「電車賃くらいは、もっているさ。アパートを借りるお金はないけどね……」
 王様は照れていた。

 白髪の紳士がやってきて、
「あなたは、ホームレスですか」
 と、王様にきいてきた。王様はうなづいた。

「まったく、家も住む人の数よりも多くあるというのに、
食料だって捨てるほどあるんだ。
それなのに、ホームレスの人がうまれる」

「どうしてそんなことがあるの?」

「簡単だよ。隣の都市国の労働賃金は十分の一だ。
ここで作るよりも安く製品がつくれるというわけだ。
これは資本主義の考え方からも異常なことなんだ。
同じ労働をしたのなら、同じ報酬を与える。
これが資本主義の考え方なんだよ」

「じゃ、どうして十分の一なの?」

「いい点に気がついたね。むこうの物価と、
こっちの物価のちがいでしかないんだよ。
どうしてそんなことがおこるかって……。
それは、お金持ちたちが、むこうの国の会社の
株なども持っているからだよ」

「どういうこと?」

「同じ物価にしたら、お金持ちたちは損をするんだよ。
資産が十分の一になってしまうんだ。
これも、社会主義的な経済なんだよ。
いんちき経済ってわけだよ」

「うーん、同じ物価で、同じ賃金なら、
私たちにも仕事がもらえるってわけですか?」

「資本主義的な考え方ならね。
ところが、お金持ちの社会を保つための、
お金持ちの社会主義なんだよ。
しかし、こんなことはうまくいくわけがないね」

 ユリカにはよくわからないことだった。
 カールはこんなことをいう人間がいるのは知っていた。

「それじゃ、地下鉄に乗っていきなさい」
 王様はやさしい声で話してくれた。
 ユリカとカールは、地下鉄に乗りこんだ。

 椅子にすわったユリカは
「虹の世界は、広いようで狭くって、狭いようで、広いって、カールは言ったでしょう」
 と手のひらの上のカールに話した。

「そうだよ」
 カールは、はっきりと答えた。

「でも、ただ、それだけじゃないわ」
「え、どうしたの」

「時間のたちかたも、早いようで遅くって、遅いようで、早いようよ」
「それは、いったいどういうことなの」

「王様たちには、何年もたっているのに、私たちには、ほんの三十分くらいのことだったんですもの」

「そうだね。そんなこともあるみたいだね。でも、ぼく、よくわからないの」
 カールはとまどっていた。本当は魔法の粉でゲームをさせられているわけだから、振り出しに戻ったり、三つ先にいったりしているのだ。

「それに、乞食の王様がお金をくれて、お金持ちのバトラーは一円だって誰にもきっとあげないわ。狭いようで広くって、広いようで狭いことって、他にもあるみたいね」
 ユリカはそう言って、半分あきれて半分笑っていた。

「おもしろいこと言うね。ア・ハー」
 カールは笑った。

「民主主義って、誰でもがいうけど、民主主義って何なんだろう」
 王様にきいた地下鉄の駅についた。

 地下鉄に乗ると学生がいた。
「明日は憲法の試験があるね」
 こん色の学生服の男子学生がいった。

「そうだね。いやになってしまうよ。憲法覚えた?」
「ああ、僕は政治家になりたいからね」

「そうかい……、政治家になって金儲けするというわけだね」
「そんなことはないさ」

「そういっていても、大金を目にしたら、人間って変るものさ」

「じゃ、明日の練習で問題を出すぞ。次にいう憲法は何条でしょうか。『すべての市民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。都市は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない』。さあ、何条でしょうか」
「そんなの簡単だよ」

 網棚に移っていたカールは学生たちの真上から「本当にそうかい?」ときいた。
「うん、何か言ったか?」
「言ったとも」

「おお、芋虫じゃないか」
「そうとも、それは何条であろうとかまわないけど、それが本当に行われているのかい?王様はホームレスで残飯をあさっていたよ」

「本当か、どうかって、それは大人の問題だよ。ぼくらの問題は明日の試験さ」
「二十五条だったよね」

「そうだよ。おい、そこの虫、おれたちの勉強の邪魔をしないでくれ、文句があるなら、政府にいってくれよ。それが民主主義というもんだよ」

「何が民主主義だ。政府が政府なら市民も市民だよ。人間ってやつっあー、本当に困ったもんだよ。子どもがテレビゲームの悪影響で犯罪に走るという評論家がおるが、エリートってのも人間の世界じゃ、ゲームをしているもんじゃないのかい。テレビゲームよりよほど悪影響があるのは大人のエリートの奴等じゃよ」
 カールは文句をいいながら、ユリカのいる席に戻った。






閑話休題

本の世界と現実の世界はちがう?

ある人の本はそうだと思います。

そうでない方もおられます。

また社会的立場によっても、

この世界はまったく違うように見えるものです。

平和主義の方でアンネの時代、

ドイツでユダヤ人が強制収容所に送られてビトイ目に

あっていることは誰もが知っていると書く人がいます。

でも、当時のことを振り返り知らなかったと書く

ユダヤ人もいました。

民主主義とはちがう立場の人たちの

思想や考えも理解することで成立することでしょう。

多様性の時代とは、まさにいろいろの立場を

理解するともいえるのではないでしょうか。

一部の人たちのためにあるのなら、

それは民主とは呼べないでしょうね。





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