マスクをかけた宇宙人[かくれんぼう] 1. まさる、達雄、健二、裕は西洋館の大きなお屋敷を探検です。 ワンワン……。 犬が吠えました。 「うわあー」 健二と裕は跳び上がって逃げました。 「あはは……」 大きな声で達雄が笑いました。 「犬なんか怖いのかー、弱虫」 二人を馬鹿にしました。 「突然、吠えたてられたから、びっくりしたんだ」 「そうさ、それだけさ。笑うなんて、ひどいよ」 二人は達雄にもんくを言いました。 「こんな小さな犬が怖いわけないじゃん」 まさるは犬を抱きかええていました。 「かして、かして」 達雄は犬をとりあげて、 「怖いかー」 二人のとろこに持って行くと、 「怖いわけないだろう」 二人は達雄をあきれて見ていました。 「ワォーン!」 ひとなきしてから、 犬は達雄の鼻をなめました。 「汚いなあー。あー臭い」 「あははは……」 三人は声をあわせて笑いました。 「こらー」 「あっ、いけねえー。ここんちの人だ」 犬をおいて、四人は逃げ出しました。 「あー、はー、はー」 四人は息を切らせて広場まで逃げてきました。 「何して遊ぶ?」 裕がみんなに聞きました。 「そうだなあー。隠れん坊しようか」 「隠れん坊かあー」 「じゃ、何をする?」 「うん、それでいいよ」 「じゃいけん、ホイのホイ」 「あっ、達雄が鬼だぞ」 「よし、百数えるからなあー。 あまり遠くまで行くなよ」 「ああ」 みんな隠れました。 達雄は目かくしして 木にもたれかかって、 数を数えました。 「……99、100」 達雄は大きな声でいって、 あたりを見回しました。 目に手をあてていたので、 少し見づらいなあー。 達也はみんなを探しました。 土管がつんであるところを見ましたが、 だれもいませんでした。 木がありました。 シー、そこにまさる君が隠れています。 「あー、見つかんないなあ」 達雄は片目をおさえて、ぶらぶら歩きながら、 皆が、どこに隠れているか考えました。 「ねえー」 「うわっ」 達雄は驚きました。 「まさる君、見つけたー」 達雄は話しかけました。 「ねえ、僕、少し気分がよくないんだ」 「ふーん。おーい! みんな」 「何だ、何だ」 健二が木の上でいいました。 「あー、そんな所に隠れていたんだあー」 「えへへへ」 健二はするすると木から降りて来ました。 「ねえー、どうしたの」 「まさる君ね、気分が悪いんだって」 「ふーん」 裕くんは心配そうでした。 「じゃ、帰ろうか」 「いいよ、僕だけで帰るよ」 「だいじょうぶかい?」 「うん、平気さ」 「ふーん」 達雄は少し心配でした。 そして、まさる君は帰って行きました。 「ねえ、裕、何して遊ぶ」 「何して、今の続きやろう」 「三人で、おもしろくないよ」 「達ちゃん、鬼だからそんなこと言うんだろう」 「ううん」 「だったら、やろうよ」 「やろうか」 二人が言うので、達雄は 「うん」 と仕方なく言いました。 「あーあ、さっき。まさる送って帰ってやったら、よかったなあと達雄はまさる君の事を心配しました」 「12、13、14、15」 達雄はまた数をかぞえました。 「100」 大きな声で達雄がいうと、パッと振り返りました。 目に手をあてていたので、ぼんやりとしていました。 「ピカピカピーン」 光る物体がまさる君の家の方へ飛んで行きました。 「あっ、UFO……」 と口をあけて見ていましたが、目がぼんやりしていたので、 しっかり見ようと目をこすりました。 「あっ、消えちゃった」 達雄は驚きました。 「UFO。本当に見たの」 「あっ、本当だよ。まさる君ちへ飛んでいったもん」 「本当、すげ~なあ~」 「あ~、僕も見たかったなあー。損しちゃった」 「本当本当、見たかったなあー」 2. 翌朝です。 「あっ、まさる君、今日休み?」 達雄にみんなは聞いてきました。 「まだ、来てないの?」 「うん、達ちゃんより来るの 遅かったことなんてなかったよなあー」 「そうだよなあー」 「先生だ、着席しようよ」 三人は席につきました。 まさる君の席だけは空いていました。 お遊戯がすんで、桜ぐみの教室にもどると、 まさる君の席に見たことがない人が座っていました。 「だあーれ」 達雄はききましたが、 こっちを向いても何もいいませんでした。 大きな白いマスクをかけて、椅子に座っていました。 「誰だろう」 達雄は考えながら見ていました。 「ウヒャー」 達雄は椅子ごとこけてしまいました。 「どうしたの? 達ちゃん」 「うん」 達雄は白いマスクをかけた人を見ながら、 三人を廊下に連れて行きました。 「どおしたの達ちゃん」 「あのなあー。あそこの席にすわっている奴なあー」 「うん、まさる君かい」 「まさる? まさるじゃないよ。何もしゃべらないぜ」 「本当?」 「僕が思うんだけどなあー。僕はねえ、思うんだけど。 あれはきっと宇宙人だよ」 「宇宙人!」 裕と健二はとても驚きました。 「本当かよ!」 「ほら、昨日、僕、UFO見たろう」 「ふん、ふん、そういってたよなあー」 「まさる君の家の方へ飛んでいったんだよ」 「そうだよなあー、そういっていたよなあー」 「ということは……」 三人は顔をあわせて、顔面蒼白になっていました。 まさる君は宇宙人につかまって、 宇宙人はまさる君のかわりをして、 地球をスパイしているのだと思いました。 「どおしたの、さあ、お部屋に入ってね」 先生が呼びかけました。 「はい」 三人は顔面蒼白になりながらも入りました。 「宇宙人かあー」 裕はまさるに化けている宇宙人を見ていました。 のんきな健二は空想の世界にはいっています。 「友達になれたら、UFOに乗せてもらえるかなあ?」 なんて、楽しいことを考えています。 「まさる、どうしているんだろうなあー」 達雄は深刻に考えていました。 達雄は昨日のことを思い浮かべています。 ピピピ……と光をはなち、宇宙船がまさる君の家の方へ 飛んで行きました。 そこから、達雄の推理がはじまります。 「あっ、UFOだ」 まさるは指さします。 UFOから光がはなたれて、 まさる君はUFOの内に入れられます。 それは映画で見た光景です。 そして、そこにはマスク星人がいました。 そして、UFOから光がはなたれて、 まさるに化けたマスク星人がおりてきます。 「ちきしょう。昨日、僕、まさる君を送って 帰ったらよかったと達雄は思いました」 まさるを助けだすんだと、 達雄は心に決めました。 みんな昼食をとっていましたが、 まさるは何処かに行っていました。 「おい、裕」 「ああ、健二」 三人は目で合図しました。 窓の外には、マスク星人が帰っていくのが 見えました。 「おい達也。やっぱりな」 「そうだろう」 三人はひそひそと、話しあいました。 必ずまさるを助けだすんだ。 「宇宙人につかまっているんじゃないかい」 「そうかもしれないなあー」 三人は考えこみました。 「どうしよう」 「まさるを助け出そう」 達雄はゲンコツをつくってあげました。 「おー!」 三人は声をそろえて、 「おー!」 叫びました。 宇宙人なんかには負けないぞ。 3. 「おーす」 達雄の家の前に二人が来ました。 「ねえー、達ちゃん。どうやって、まさるを助ける?」 「ふーん」 達雄は腕を組んで考えこみました。 「それより、まず、宇宙人を見張るんだ。 どんなおそろしい武器を持っているか、 わからないだろう」 「それはそうだね」 「見つからないように、まさるの家へ行こうよ」 「そうしょうぜ」 三人は探偵のように歩き出していきました。 だれにも、見つからないでいくぞと心の中で 思っていました。 達雄は木に隠れるように指でさししめしました。 まさるの家の様子を見ていました。 「達ちゃん」 小さな声で裕は話した。 「なんだ」 「いいにおいしないか?」 「うん、いいにおい!」 健二は食いしん坊です。 「それどころじゃないだろう」 達雄は眉にしわをつくりました。 ダルマのような顔です。 「あっ、宇宙人」 裕は達雄の肩をゆすりました。 まさるのおかあさんが、ホットケーキを持って来ました。 三人はデレーとした顔になりました。 「あっ!」 マスクをかけた宇宙人がマスクをはずしました。 「あれ、まさる君だよ」 「ちがよ。あれは宇宙人だよ。やっと顔ができたんだよ」 達雄は名探偵のように話しました。 ウォーン、ウォーン! 犬が吠えました。 「うわー!」 達雄は驚いて、まさる君ちの庭に飛び出しました。 「達ちゃん、どおしたの」 「犬くらい、こわいの?」 「あー、なんだ。それはその、宇宙人の犬だよ。 普通の犬じゃないよ」 「これが、まさか。これは、まさる君の犬のコロだよ。 達ちゃんだって、よく知っているじゃないか」 と、裕が話しました。 「また、逃げ出してきたんだ。あの鎖の杭、 ぼろいからなあー」 「ねえ、そこで何をしているの?」 まさるの母が話しかけてきた。 「あっ、達雄くんに、健二くんに、裕くんね。お入りなさい」 と言われて、二人は喜びました。 達雄は気をつけないといけないと思いました。 「ねぇ、達ちゃん。入ろう」 「あっ、でも」 「入ろう」 二人は手をひかれて入りました。 そして三人はテーブルについて、ホットケーキを出されました。 「おいしいよ。おばさんのホットケーキ、最高!」 二人は楽しそうにしていますが、 達雄は浮かない顔でした。 「ねえ、どうして三人であんな所にいたの?」 「えへへへ……」 達雄はあおい顔をしていました。 「あのー」 裕が言いかけると、あわてて達雄はとめました。 でも、裕は話しました。 まさる君のおかあさんは丸い目をして聞いていて 笑い出しました。 「あはは。まさるはね。風邪をひいたのでね。 マスクをしたのよ。幼稚園に行っていたのは、 お医者さんにいっていたのよ。休めばいいのに、 幼稚園に行きたいって、強引に行ったのよ。 声もでないのにね」 そうきくと、 「うわぁー!」 と、達雄は泣き出しました。 「どおしたの達ちゃん」 「僕ねえ、まさる君がねえ、気分悪いっていった時、 送って行こうと思ったんだ。でも、まだ遊びたくって……」 達雄は泣き出しました。 そして達雄はみんなになだめられ、 ホットケーキを食べながら、 大好きなUFOの話をしました。 「それがね、このくらいのUFOがね……」 下、1日1回クリックお願いいたします。 ありがとうございます。 もくじ[メルへん] |
【本人評】これも映画「黄昏どき」で使用したと思います。
これも「かくれんぼう」というタイトルで紙芝居にしたと思います。
主人公の女の子が病院の子供たちに読み聞かせる設定でした。
国立病院に本当に撮影にいきました。この紙芝居はけっこう受けていました。
ぼくのオリジナルだと知ると、子供たちがまとわりついてきました。
むちゃ、楽しい一時でした。
やはり、オリジナルだと喜びがちがいますよ。
この話は幼稚園のころの思い出から書いたものです。
『ポピュラー・サイエンス199 広域大気汚染
--そのメカニズムから植物への影響まで--』
若松伸司・篠崎光夫・共著/裳華房2001年
大気汚染は人間だけに悪いのではなく、
植物にも悪い。
ということは、食べ物にもよくない。
それが科学的に書かれた本です。
浄化作用というのは、植物もしてくれているものですね。
植物プランクトンも海水などでも働いてくれていますね。
浄化作用のことを再度復習します。引用します。
「人間の数の少なかった時代には、人々が出す廃棄物は空気や水が薄めてくれました。土のなかでは微生物が働き、植物が働いて、これらの物質を分解し、自然のサイクル・物質環境のかなで生活が営まれました。このような自然の浄化作用によって大気の質は保たれてきたのです。しかし、文明の発展により人々は自然の浄化作用を上回って廃棄物を出すようになりました。その量は急激に増加しています。大気中に排出された物質の量が自然の浄化機能を上回り、人物や物、生態系などに影響を及ぼすレベルに達したときに大気汚染が発生します。」
大気汚染は中国からもくるとこの本でも
書かれてありました。
環境問題も国単位では解決できない時代ですね。
もくじ[環境問題]
--そのメカニズムから植物への影響まで--』
若松伸司・篠崎光夫・共著/裳華房2001年
大気汚染は人間だけに悪いのではなく、
植物にも悪い。
ということは、食べ物にもよくない。
それが科学的に書かれた本です。
浄化作用というのは、植物もしてくれているものですね。
植物プランクトンも海水などでも働いてくれていますね。
浄化作用のことを再度復習します。引用します。
「人間の数の少なかった時代には、人々が出す廃棄物は空気や水が薄めてくれました。土のなかでは微生物が働き、植物が働いて、これらの物質を分解し、自然のサイクル・物質環境のかなで生活が営まれました。このような自然の浄化作用によって大気の質は保たれてきたのです。しかし、文明の発展により人々は自然の浄化作用を上回って廃棄物を出すようになりました。その量は急激に増加しています。大気中に排出された物質の量が自然の浄化機能を上回り、人物や物、生態系などに影響を及ぼすレベルに達したときに大気汚染が発生します。」
大気汚染は中国からもくるとこの本でも
書かれてありました。
環境問題も国単位では解決できない時代ですね。
もくじ[環境問題]
V.あい色の部屋(虹の世界) D068.環境破壊 「発展途上国の人たちより、先進国といわれている所で 住んでいる人たちの方が非文化的な生活をしているんだ。 嘘じゃない。今のままでは、 人類は破滅してしまうという生活をしている。 みかけとはちがい、 野蛮でおぞましい生活をしていると言ってもいいね」 カールは人間ほど野蛮でおぞましい生き物はいないと思っている。ライオンが弱肉強食といっても、奴隷扱いにしたりはしないし、一発の爆弾で何万匹もライオンを一度に殺したこともない。 「そうよ。人が何倍も働くといっているけど、本当は機械よね。機械は機械で酸素を消費しているのよね。それで問題になっても、そのことは考えなかったのよね」 ユリカはカールのいうことの方が、ガリ勉して自分たちだけ幸せになろうとしている人たちより素敵な存在に思えた。 学生たちは話している。 「僕ら、考え方を変えないといけないね……」 「そう『地球にやさしい』生活をしないといけないね。 確かに今のままではやっていけないよ」 カールは学生たちに向かって、 「いや、地球は人間なんかと違って、立派なものだ。いいかい、地球をグレープフルーツにしたら、大気圏はどのくらいなものか、わかるかい?」 とクイズを出した。 「わからないけど。だいたい皮くらいかな……」 「そんなに厚くはない。人間の目には見えない。グレープフルーツの上に塗られたワックスくらいの厚さだそうだ」 「えっ! そんなに大気は薄いの?」 「そうとも、人間なんて、グレープフルーツについている 芋虫ほどでもないんだよ。ア・ハー」 「本当かよ、そんなに大気圏って薄いのかよ」 「そうだよ。その通りだよ。 政治家になろうというのなら、知っておけよ」 「うん、まあな。『地球にやさしく』というより、 やはり自分たちの生命の防衛だよなあー。 おれ花粉症で悩んでいるんだよ」 「そう、そうだろう、そうだろうとも……。 ところで、憲法を覚えても、それが何の役にも立たないのなら、 何の意味もないのなら、どうして勉強なんてするんじゃ、無駄じゃろうなあ……」 カールは学生たちを見つめて感想を述べた。 「でも、これを覚えないといけないんだ」 「何かゲームをしているみたいね」 ユリカはあきれていた。 「まあ、せいぜいゲームに勝っていい身分になりなさい。 しかし、心のなかはいやしい者でしかないと自覚されよ。 虫たちの方がよほど、素晴らしい働きをしているというものだ。 法律にはいろいろ解釈があるなどと 嘘をついたりしているのが、ここの政治家なのだ。 法の精神も忘れて、ゲームをしているうつけ者ばかりだ!」 この世界はゲームの世界なのかもしれない。 ゲームに夢中になっているだけで、まわりのこと、 他の人のことなんてどうでもいいってなっているのかもしれない。 この魔法使いのおじいさんにかかったら、 人間なんて害虫以下のむなしい存在になってしまう。 しかし、それだけじゃないんだ、人間は。ユリカ、 がんばってくれよ。 王様にきいたビルの一室についた。 カールは、ズガズカと中に入った。 ユリカもすごすごとあとを追った。 「あそこ、あそこを見て、だれかがいるよ」 カールは夢中になっていた。 ユリカは、さきほどのむらさき色の部屋のことを思い出した。 「だあれ、まさかー、また、こわいものじゃないでしょうね」 「人みたいだね」 「あれ、後ろ姿だから、よくわからないけど、どこかであの女の人見たことがあるわ」 カールは振り返り、ユリカを見て「知っている人?」ときいた。ユリカは真剣に考えて「そうかも、知れないわ」と返事した。カールは小さな声で「泣いているよー」と気の毒そうに言った。ユリカは「苦しんでいるみたい」と女の人を見てユリカは話した。カールはしんみりと「寂しそうだね」とユリカに話した。 「だれかしら」 「近よってみようよ」 「ええ」 ユリカは近よって行った。 「あっ、ママ」 ユリカは言葉をつまらせた。
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