山道のハイウェイをバスが行く。
修学旅行生は下の景色をながめようと
首を横にした。
「うわー、まぶしい」
太陽が目を眩惑させて、旅行生はとまどった。
街が一望に眺められた。
「何って--
何って--
いい景色」
街へバスが降りていく。
山道のハイウェイにはところどころ木々がうっそうと
生えてるところがあった。
修学旅行生がまぶしかった太陽の光を
老木はすがすがしく皮膚で受け止めていた。
幼木が小さな声でつぶやいた。
「みんなで楽しそうに~。いいなあー。街へ行きたいよ」
その横の老木が一本。
老木には片側しか枝がなかった。
老木は……。
むかし、むかしのことだった。
まだ私が生まれてもいず、
私の父も祖父も生まれていなかった時のことだ。
そのコロの世界の支配者は恐竜たちだった。
ただ植物たちが素朴に息づいていたこの世界に、
海から恐竜たちは生まれでてきた。
生まれた恐竜たちは段々強くなるために大きくなった。
大きくなって生き抜いた。
それは美しくも見えた。
赤い血しぶきを流し、地上を染めた。
恐竜は空さえ飛んでいた。
だれが生き残るか。
だれが縄張り争いに勝つか?
朝から恐竜たちは奇声をあげ、
勝負をしていたことだろう。
そして大きく、強く、早く、鋭く、大きく大きく……。
力の誇示に身を狂わせた。
彼らたちに滅びる時が来た。
四本足で歩く恐竜たち、
あれだけ力をみせた白亜の恐竜も
あれだけ激しかった彼らも……。
まるで自分の影に滅ぼされるように死んでいった……。
そんなことは、もうどうでもいい。
彼らは存在をなくして伝説になってしまった……。
バスガイドが話す。
「ここの木々たちの一部をご覧ください。
あの時の光を受けて片側の枝がいまだにございません。
しかし、この木々たちはあの光を受けても、
立派にこうして生きているのです」
透き通った血、雨の日も風の日も。
お日様の詩をききながら育ち。
日の子守り唄で眠っている。
むかし、むかしの事さ。
恐竜たちは……。
葉の上の透明なガラス玉--涙のよう。
ああ……。
いいことばかりじゃない……。
しかし……。
葉から音もせずに透き通ったガラス玉落ちてなくなった。
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--平和のために--