今年は横浜開港150周年。国家体制の大きな変革のうねりは、美術の分野にも影響を及ぼした。開港前後の激動の時代を、多彩な美術品を通して考察する「大・開港展--徳川将軍家と幕末明治の美術」が19日から11月23日まで、横浜美術館で開かれる。幕末の歴代将軍らが大事にしてきた美術品・調度品、明治政府の文化政策のもとで制作された工芸品、絵画など約230件を紹介する。
開港150周年と、横浜美術館の開館20周年を記念する本展は3章構成。第1章では、徳川将軍家ゆかりの美術に焦点を当てる。歴代将軍で在位最長を誇った十一代家斉(いえなり)が大事にした繊細な銀細工、大奥に飾られた豪華な屏風(びょうぶ)絵、歴代将軍の肖像画などが並ぶ。
中でも注目したいのが、薩摩藩御用絵師、柳田龍雪(りゅうせつ)の「薩州桜島真景図」。篤姫(天璋院)が十三代将軍家定に嫁ぐ際、養父島津斉彬(なりあきら)が持たせたと伝えられている。鹿児島湾から桜島を望む美しい風景は、故郷を後にした篤姫の心の支えになったことだろう。
第2章は、開港期の横浜の様子を、史料や絵画で紹介。開港後は外国人宣教師や商人らが行き交い、国際都市へと変ぼうした。にぎわう横浜の港や商館などを描いた「横浜浮世絵」が多数出版されたのはこの時期である。
3章の核は、横浜ゆかりの作品を中心に、新時代を彩った斬新な絵画や工芸品の数々。陶磁器や漆器などの工芸品は、欧米に対抗できる近代産業のない日本にとって、生糸や茶と並ぶ主要輸出品となった。代表的な作家の一人が、陶芸家の初代宮川香山。京都の生まれだが、維新後、輸出用陶磁器をつくるため横浜で窯を開いた。過剰なほどの装飾性は、万国博覧会でも高く評価された。また、和装の外国人肖像は、土産物として人気を博した。
近代横浜を代表する経済人、原三渓(さんけい)は、美術のパトロンとしても知られる。原が支援した下村観山、小林古径らの日本画を紹介する。
そのほか、高橋由一らの油彩画、将軍を退いた後は趣味の世界に没頭した徳川慶喜の絵画・写真なども展示。激動の時代の日本美術を確認できる、またとない機会である。
《会期》9月19日(土)~11月23日(月・祝)。木曜休館。入館時間は午前10時~午後5時半(金曜は午後7時半まで)。
《会場》横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3の4の1、電話045・221・0300)
《観覧料》一般1000(900)円、大学・高校生700(600)円、中学生400(300)円。かっこ内は20人以上の団体料金。毎週土曜は高校生以下無料(生徒手帳・学生証を提示)。敬老の日(9月21日)は、65歳以上無料(年齢を証明するものが必要)。開港記念日(11月3日)は、観覧料が20%割引。
主催 横浜美術館、財団法人徳川記念財団、毎日新聞社
特別協賛 財団法人横浜開港150周年協会
後援 横浜市、NHK横浜放送局
よければ下記をクリックしてください。
人気ブログランキングへ
一日一回クリックしてもらえたらうれしいです。
開港150周年と、横浜美術館の開館20周年を記念する本展は3章構成。第1章では、徳川将軍家ゆかりの美術に焦点を当てる。歴代将軍で在位最長を誇った十一代家斉(いえなり)が大事にした繊細な銀細工、大奥に飾られた豪華な屏風(びょうぶ)絵、歴代将軍の肖像画などが並ぶ。
中でも注目したいのが、薩摩藩御用絵師、柳田龍雪(りゅうせつ)の「薩州桜島真景図」。篤姫(天璋院)が十三代将軍家定に嫁ぐ際、養父島津斉彬(なりあきら)が持たせたと伝えられている。鹿児島湾から桜島を望む美しい風景は、故郷を後にした篤姫の心の支えになったことだろう。
第2章は、開港期の横浜の様子を、史料や絵画で紹介。開港後は外国人宣教師や商人らが行き交い、国際都市へと変ぼうした。にぎわう横浜の港や商館などを描いた「横浜浮世絵」が多数出版されたのはこの時期である。
3章の核は、横浜ゆかりの作品を中心に、新時代を彩った斬新な絵画や工芸品の数々。陶磁器や漆器などの工芸品は、欧米に対抗できる近代産業のない日本にとって、生糸や茶と並ぶ主要輸出品となった。代表的な作家の一人が、陶芸家の初代宮川香山。京都の生まれだが、維新後、輸出用陶磁器をつくるため横浜で窯を開いた。過剰なほどの装飾性は、万国博覧会でも高く評価された。また、和装の外国人肖像は、土産物として人気を博した。
近代横浜を代表する経済人、原三渓(さんけい)は、美術のパトロンとしても知られる。原が支援した下村観山、小林古径らの日本画を紹介する。
そのほか、高橋由一らの油彩画、将軍を退いた後は趣味の世界に没頭した徳川慶喜の絵画・写真なども展示。激動の時代の日本美術を確認できる、またとない機会である。
《会期》9月19日(土)~11月23日(月・祝)。木曜休館。入館時間は午前10時~午後5時半(金曜は午後7時半まで)。
《会場》横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3の4の1、電話045・221・0300)
《観覧料》一般1000(900)円、大学・高校生700(600)円、中学生400(300)円。かっこ内は20人以上の団体料金。毎週土曜は高校生以下無料(生徒手帳・学生証を提示)。敬老の日(9月21日)は、65歳以上無料(年齢を証明するものが必要)。開港記念日(11月3日)は、観覧料が20%割引。
主催 横浜美術館、財団法人徳川記念財団、毎日新聞社
特別協賛 財団法人横浜開港150周年協会
後援 横浜市、NHK横浜放送局
よければ下記をクリックしてください。
人気ブログランキングへ
一日一回クリックしてもらえたらうれしいです。