ドバイを朝発って、その日の午後空港から電車に乗ってイタリアの首都、ローマへ。
空港からテルミニ駅まで約30分くらい。意外と早かったです。
テルミニ駅といえば映画「終着駅」で有名ですが、イタリア映画の傑作の多くに使われた
名所。ボクはローマには4,5回来ているのですけど、初めてここを訪問したのが確か
1980代の終わりかなぁ。そこでスリの洗礼を受けて、それ以来近寄らないようにしていた
のです(苦笑)
20数年経ってトラウマも漸く癒えて、また変わり様を見てみたい気持ちになり再訪となりました。
それ以来のテルミニ駅ですが、ちょっとイメージが変わった。20数年前はカマボコ型の鉄骨の天井
に覆われていたと思ったのですけど。ちょっと風情が違ってがっかり。あの終着駅のイメージからは
ほど遠くなりました
駅前のバス乗り場です。20数年前にスリの集団に遭遇したのがこの広場であったような。
当時の情景は昨日のことのように記憶しています。家族旅行で駅前のホテルから市内観光
に出てすぐ。テルミニ駅前はスリが多いので気をつけるというのは熟知していたので、手ぶら
でパンツの左のポッケにイタリア・リラ(当時で3千円くらい)と右には中東の小額紙幣30枚
(色が緑で遠目にはドル札のような紙幣で30円相当)を入れ、右の30円を盗ってもらおうと
いうボクの戦略であり、左手はポッケに入れたまま。薄い白い色のパンツでしたので、外から
なんやら沢山のドル紙幣を持っている観光客に見えた筈です。
そしてこの付近の交差点で信号待ちをしていたら、向こう側にスリ集団と思しき小学生低学年
くらいの背格好の典型的なジプシー集団がいるじゃありませんか。当時の典型的なスリ集団で
先頭の女の子がタブロイド版の新聞を両手で広げて彼らも戦闘態勢を取っている。そして彼ら
の目線はボクの顔に。
その姿、まるでゾンビ集団のよう。表情が全くないんですよね。ひと目でピンときて、奥様と二人
の子供に、「あれが絶対にスリ集団だよ。何を彼らがするか少しボクから離れて彼らの動きを
きっちり見てるんだよ」と厳命したものでした。そして信号が変わって、悠然と彼らのほうに向か
ったものでした。丁度横断歩道の真ん中あたりで7,8人の子供がボクに突進してきて。まず
先頭の女の子が新聞紙を広げたままボクに突進。それを避けた瞬間、ポッケに手を突っ込んだ
ボクの左手の二の腕辺りに激痛が。どうも誰かが強く爪を立ててくれたようです。思わずポッケ
から手を離し左横にいた子供を振り払って突き飛ばしたものでございます。
そうしたら丁度一緒に同じ方向に歩いていた老婆が物凄い勢いで持っていたステッキでその
子どもたちを追い払ってくれて。やたら正確に叩きまわって、見ているボクのほうが呆気に
とられたんですけど。そして無事信号を渡り終えて、後ろから着いてきた家族を振り返り、
「どう、何か盗られたかしら」と聞いたのですけど、三人とも「何も盗られてないと思うよ」との
返事。「そうだろ、ちゃんと警戒心を持っていれば大丈夫なんだよ」と自慢げなパパであったの
ですが。おもむろに右のポケットを探ると、はい、無傷。そして左のポケットを探ると・・・
ありゃ、ないでございます!!!(爆)
まぁ、なんと家族の6つの目には全くわからなかった芸術的なスリでありました。やられた本人
も感心しきり。おまけに無防備にしていた中東の紙幣には全く手をつけていない!!
爪を立てられた手を振りほどいたその一瞬だったんでしょうね。見事なものです。
そして杖で追い払った老婆、あれもジプシー集団を捕まらせないためにわざと追い払ったんじゃ
ないかと後で思った次第です。
その後、道を歩いて注意深く観察しましたが、大体観光客の多いところには必ずこの集団が
おりましたね。そして極めつけは遠く200mくらい離れた所でカモを物色している男がいた
こと。こいつがハンディ・トーキーで子どもたちに指示をしているのを目撃までしましたよ。
今なら携帯があるからもっと巧妙に出来るかもです。
当時滞在中、このスリ集団には何回か遭遇。最初の経験が活きまして、彼らに出食わすと
寧ろ積極的にこちらから突進。大声を上げて先につっかかることにしましたら、あはは、それこそ
蜘蛛の子を散らすように逃げてくれましたっけ(笑)
因みに20数余年が過ぎて、今ではローマ名物であったこのジプシー集団は殆ど見られなくなり
ましたが、スリは相変わらずの被害があるようです。但し、今回の旅行中にはそれらしき人には
出食わさなかったように思います。
テルミニ駅から出る地下鉄。ローマ滞在中はこれを結構利用しました。二路線しかなく、全てテルミニ
駅からですので、非常にわかりやすいですね。