ペルシャ湾にあるリゾートをさらっとご紹介します。
画面の左は20世紀末のドバイで最高峰ホテルと言われたバージュ・アル・アラブ・ホテルです。
ペルシャ湾に浮かぶアラブの古代からの船、ダグ船の帆のカタチを模した設計で、竣工当時
そのデザインで世界の注目を浴びたものです。竣工は1999年末。この建物以降、世界各地で
ヨットの帆を模したホテル建築が流行りとなりました。日本でも横浜のインターコンが似たスタイル
をとっています。
このホテルはビーチから300Mくらい離れたところに埋め立てた人口島の上に建てられ、ホテル
までは専用の橋を通ってアプローチするか、上階に設けられたヘリポートのふたつの方法しか
ありません(笑)
ボクは確か2000年にこのホテルが見たくて、前にあるピラミッドみたいなカタチのジュメイラ・ビーチ・
ホテルの方に泊まったことがあります。こちらも5つ星のホテル。なにせ、この帆のカタチのホテルに
泊まったらその姿を見ることは出来ませんので(笑)
当時と今も変わっていないと思いますが、ホテル代は最低でも20万円くらいだったと思います。でも、
その当時は集客もままならずで、かなりの破格値で泊まれたんですよ。
ところで、このドバイという国。成り立ちがとても面白いんです。最初そもそもは零細漁業を中心と
した寒村であったとご紹介しました。第二次世界大戦後、首長であったラシード・ビン・サイードが
国家百年の計を以って当時の大産油国クエートから借金をしてドバイ湾を浚渫、自由貿易港として
の機能を持たせ、交易国家として出発したのが最初の転機でありました。この首長さんの名前に
「ビン」という名があるのに注目です。恐らく先祖は同じアラブのイエメンの出身。イエメンに「ハドラマート」
という紀元前から栄えた都市がありますが、「B」で始まる音の名前の殆どはこの地の出身者と言われて
います。皆さんよくご存知の、あのウサマ・ビン・ラディンの祖先もこのハドラマート出身。彼はサウディ人
でありますが。
そしてこのハドラマート人は世によく言われる「アラブの商人」の源流であります。中東諸国で財を
なした一族に多い名前でもあります。
さて、ドバイですが、その後1966年の海底油田の発見により益々の発展を遂げることになります。
但し、この国の賢明なところは、資源は有限、何れなくなるとかなり早い段階から気付き、原油収入の
あるうちに次の柱を作る国家戦略をとったことです。一つは世界有数の投資国家となること。そして
もう一つが観光立国であります。自ら投資を行いつつ、世界からの投資も集めるという二面作戦です。
歴史遺産が全くなく、砂漠とペルシャ湾しかない国でどうして観光立国となりうるのか?その解が
国全体をディズニーランド化することでありました。そして世界でも稀な建築物が雨後の竹の子の
ように現出することになった次第です。観光産業というのはひとつの装置産業であります。例えば
航空産業なんていうのもそうですけど。航空会社は常に新しい器(飛行機)を提供しない限り存続
ができません。ディズニーランドもそうですが、数年ごとに新しいアトラクションを提供しないと生き残れ
ないのと同じ原理が働いています。この旅行記を読まれてドバイってなんとバブリーな国と感じた方
も多いかと思いますが、決してバブルなのではありません。戦略的必然であるのです。
ということで、ドバイはこれからも常に世界の最先端の観光立国として色々な新機軸を打ち出して
くれるはずです。これは日本も十二分に参考とすべき点でありましょう。
更に貿易港としてのドバイの位置づけ。ボクの独断で言うと、世界の港湾企業で最大なのはドバイ・
シンガポール・米国ロサンゼルスです。それぞれ公社的な組織が運営していますが、残念ながら
日本の横浜・神戸は世界水準からいうと時代遅れになってしまいました。アジアの中でも韓国に
遅れをとっている現状です。貿易立国日本としては本当にお寒い限りです。
こちらは今回泊まったエミレーツ・グランド・ホテル。今のドバイの現状からするとかなり古い部類に
入ります。ネットのBooking Comで探した最安値のホテルです。でも、一泊約2万円。ドバイ・ショック
以降、一時ドバイのホテル事情も良くなかったのですけど、最近はかなり強気で景気の回復度が伺われ
ます。
今回の部屋はもしかしたら我が家より広いかも(苦笑)完全なスイート・ルームでバスルームがふたつ、
ベッドルームがふたつです。おまけに我が家のより立派なキッチン付き。今回は二泊しかしませんでしたが
スーパーで食材買って自分で料理しても良かったかも(笑)
え~と、もしドバイに行かれたら注意することがひとつ。一年中冷房は半端ではありません。ホテルの
中は、慣れているボクでも頭痛がするくらい寒い(爆)まるで冷蔵庫の中で過ごすようなもの。おまけに
寒いからと言って冷房を切ろうとしても切れません(爆)
特に女性の方は大変なようで、寝るときはセーターを着たほうがいいかも。同じ頃旅行をされた友人(女性)
に、行くなら薄い羽毛のジャケット持って行きなさいとアドバイスしましたが、帰ってきて非常に喜ばれて。
旅行中、娘とこのジャケットの奪い合いになったと報告がありました(笑)
さて、次号からはイタリア編となります。お楽しみに。