CLASSIC ROCKを聴こう! PLUS

1960年から1980年代のロックを紹介していきます。またPLUSと言うことで、ロック以外の話題も!

ライブ盤の編集ってアリ? その2

2016年08月01日 | BRITISH ROCK
擬似ステレオは、モノラルの音源を左右2つのスピーカーから出す場合、どちらかのチャンネルの音出しをほんの少しだけずらすことによって、お互いの音の波形が干渉し合い、音に立体感をもたらしステレオ・サウンドのように聴こえるのである。

初期のビートルズのアメリカ編集盤に擬似ステレオでミックスされた楽曲が見受けられる。

風呂場で歌を歌うと、狭い浴室内で音が反射しそれらが互いに干渉し合う。

それは、カラオケ・マイクに装着してあるエコーの装置を使ったときと同じように、反響音が干渉しあう事により立体的に聴こえ妙に歌がうまくなったような気がするのと同じように思うのだが。

オーバー・ダブされた音源にも、同じように擬似ライブなるものが存在する。

もともとのスタジオ録音の音源やスタジオ・ライブと言う一発取りの音源に観客の拍手などをダビングしたりして、臨場感を出すのである。

エルトン・ジョンの1970年4月に出した“人生の壁(BORDER SONG)”の後を受けて同年6月に出た5枚目のシングルに“ROCK'N ROLL MADONNA”が有る。まったくヒットはしなかった。


たぶん日本では、シングル・カットされなかったので、当時この曲を聴くためには、1970年のエルトン初来日にあわせた日本独自編集のベストアルバム、“A VERY SPECIAL COLLECTION”まで待たねばならなかった。(今では、2枚目のアルバム、ELTON JOHNのCDにボーナス・トラックとして収録されているので簡単に聴く事ができる)。

スタジオ・アルバムからのシングルととアルバム未収録の曲からなる中々渋い選曲だった。特に廃盤シングルのイエス、イッツ・ミーの収録が目玉だった。

この曲を始めて聴いた時、ライブ演奏であると疑わなかった。

何故なら、ダビングされている手拍子からライブ演奏の臨場感がとても感じられたのと、その前に出されたアメリカの小さなスタジオに少しの観客を入れて録音した17-11-70と言うライブ・アルバムのアウト・テークなのかと思ったからだった。


その後、エルトンはBENNY AND THE JETSでも同じような試みをしているが、擬似ライブとは少しニュアンスが違い意図的にミエミエで拍手をかぶせている。


何故このような事をするのかと言えば、曲によってはライブの臨場感があったほうがより栄えて聴こえるからなのか、もしくはプロデューサーのちょっとした遊び心からそのようなアレンジになったのかも知れない。

ここでも結論は同じ、工夫を凝らし加工された楽曲は、それが楽しめるのであればあまりとやかくは言わない。

ただ、実際にライブ録音を行った際の、観客の盛り上がり以上にオーバー・ダブによって臨場感を膨らます事には賛成できない。

Elton John - Rock and Roll Madonna (1969)

ライブ盤の編集ってアリ?

2016年08月01日 | BRITISH ROCK
1975年に発売されたFRAMPTON COMES ALIVEは、翌年にかけて世界中で大ヒットした。

この大成功を目の当たりにすると、誰しも“俺たちも同じように出来るのでは?”と考え、70年代は同じような2枚組みのライブ・アルバムが次々と登場した。

特に、1978年に出されたアイルランド系のロック・バンド、THIN LIZZYが出したLIVE AND DANGEROUSはよく出来たライブ・アルバムだと思った。

ほんと!かっこいいライブ・アルバム。

しかしながら、当時このアルバムのプロデューサー、トニー・ビスコンティによると、当アルバムに使用された実際のライブ音源は主なところではドラムや観客のノイズなどで、全体の25%程度しか使われなかった。そしてライブにおいて不明瞭であったパートをスタジオで再録し、ライブ音源とミックスしこのレコードを完成させたと言っていた。

一方THIN LIZZYのマネージャーは、これには反対の意見を唱え、75%が実際のライブ音源を使い、一部のバック・ボーカルやソロ・ギターを取り直し、マスター・テープに録音された雑音を消したとの事。

どちらの話が正しいのかは分からないが、両者とも、その道のプロ編集によるライブの雰囲気を味わいながら、且つクリヤーで演奏ミスの無い音源を楽しんで欲しいと言うことであろう。

このアルバム以外に、KISSのALIVEやALIVE II(いろいろ加工したみたい)、 CHEAP TRICKのLIVE AT BUDOKAN(バック・ボーカルとギターのソロ・パートに一部の差し替えアリ)、そしてJUDAS PRIESTのUNLEASHED IN THE EAST(ボーカルの差し替えの箇所アリ)なんかにも、スタジオでの再録の音源と差し替えられている箇所があるようだ。


大枚はたいて買ったライブのダブル・アルバムの音質がブート並みの音質だった事が分かったときのガッカリ感。

反対に、ライブ音源はバンドの実演の記録であるのだから、多少音質に問題が有っても生の音を尊重すべきで、オーバー・ダブは控えるべきだと言う正統派。

まあ、これについてはいろいろな意見があると思うが、この判断はリスナーに委ねられる事柄だと思う。

さらに、オーバー・ダブ以外にも、ライブに於いて多くのSE(SOUND EFFECT)が使用され、実際に演奏していないことに対する不満なんかもある。

大昔アメリカにいた時、ELOが西海岸でOUT OF BLUE発売後のツアー中に、そのような不評があったのを覚えている。


確かに、ギター、ベース、キーボードとドラムの4人に3人の弦楽器が加わっただけの編成では、SEなしで彼らのスタジオ録音でのリッチな演奏の再現は厳しい物があったと思う。

最近ロンドンでELOのEFF LYNNが懐メロ・コンサートを行っていて、オーケストラと多くのサポート・ミュージーシャンを使い、音に厚みを出して、結構スタジオ録音に近い形で演奏していた。これに関してはレコード通りの演奏で、一緒に歌うことが出来好感が持てる。


そして、QUEENのLIVE KILLERSで演奏されていたボヘミアン・ラプソディーは、SEなしではオペラチックな箇所の再現は4人では到底不可能だったといえる。


つまり、個人的には工夫を凝らし加工されたライブ盤は、それが楽しめるのであればあまりとやかくは言わないという考えである。

そう考えると、パープルのLIVE IN JAPANは凄いの一言。