一般的に長期活動停止明け、もしくは解散後にしばらくしてから再結成しアルバムが制作されると、長年待たされた者としては期待値が高すぎるのか蓋を開ければ期待外れとなることが多い。
例えば、1976年Come Taste The Bandを出ししばらくして解散したディープ・パープルが、オリジナル・メンバーで再結成され1984年にPerfect Strangerを出したがボーカルが衰えたのも原因の一つで往年の名盤Machine Headのような破壊力はなかった。
アメリカのフォーク・ロック・バンド、バーズも1971年Father Alongを出し解散後、1973年オリジナル・メンバーでByrdsなる企画物のアルバムを出したものの、これまた一体何をやりたかったのかよく分からないって感じでガックリしたのを思い出す。
ムーディー・ブルース然り、1974年のSeventh Sojourn発売後、メンバー全員がソロ活動を始め、その後再結集して出した1977年のOctaveなんて全く物足りなかった。
ELPも1978年にスタジオ・アルバム、Love Beachを発表した数年後に解散し、1992年の再結成アルバム、Black Moonでやらかした感が….
事情が少し異なるが、キング・クリムゾンの場合は1974年のRedの後解散、そして新メンバーのアメリカ人2名を加えて新バンド名、Disciplineで再デビューを試みるも、今まで築いてきたキング・クリムゾンというネーム・バリューは捨てがたく、新生キング・クリムゾンとして再デビューを果たす。
個人的には彼らの新しい芸風は中々新鮮で悪くないと思ったが、旧来のクリムゾンのイメージとは異なるとのことで残念ながらこのアルバムも当時それほど売れなかったような….
じゃあスティーリー・ダンの2000年の長期活動停止明けのスタジオ・アルバム、Two Against Natureはどうなのか?
何しろ前作のスタジオ・アルバム、Gauchoから何と20年ぶりのスタジオ・アルバムなのだ。
厳密に言えば、ドナルド・フェイゲンの1993年のソロ・アルバム、Kamakiriadにプロデューサー兼演奏者として相方のウォルター・ベッカーも参加しているので、20年ぶりって感じはしないけどね。
(Kamakiriadって造語らしく、Kamakiriってまさかの日本語、あのカマキリだって!)
Two Against Natureは、他のグループの再始動アルバムと異なり、グラミー賞を獲得したヒット・アルバムとなった。
個人的にこのアルバムはGauchoの続編だと感じる。もしくはKamakiriadの続編とも言えるのかな?
ひねくれ者の二人組(Two Against Nature)は世紀末を迎えてもあえて変革を求めず“20年経っても俺たち何も変わっちゃいね〜よ。俺たちの今まで通りのレトロチックなサウンド楽しんで”とでも言いたかったのではないかと思えるのだが….
二番煎じってお茶の味が落ちるので良い印象はないが、さすがひねくれ者の2人組、開き直って堂々の二番煎じ(もしくは一番煎じの続編)のスタンスがよかったのかな?
知らず知らずのうちに、聴き慣れた変わらぬスティーリー・ダンのビートに身を任せている。