風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

2012-7 山形・ミステリアス出羽三山1

2012-07-29 | 東北
[東京→湯殿山(湯殿山神社)→蔵王温泉(泊)]

○ prologue

五重塔が好きな私。いつか羽黒山にある、国宝の五重塔を見てみたいと思っていたら、神社好きのアッコさんが「一緒に行きましょう」と言ってくれました。
出羽三山は、天狗になりたい人たちが修行する場所として興味しんしんながら、マイナーな場所なので、果たしてツアーがあるのかと思いましたが、マイナーなりに、なかなか人気の様子。
今回は、JTB旅物語の「山岳修験の聖地、出羽三山(羽黒山、湯殿山、月山) 出羽三山・弥陀ヶ原散策と天下の名湯蔵王温泉 3日間」に参加しました。

○ 出発

新宿で待ち合わせ。新宿はバスを待つ人たちが大勢いてその人数に驚きました。観光バスもずらりとならんでおり、どのバスなのかわからなくなりそう。
アッコさんが、まさかの迷い人になり、集合時間が迫りつつある中、電話でやりとりして、ようやく会えました。
我が家にお迎えなしで現れた、唯一人のひとなのにー!
まあ、旅にはハプニングがつきものですからね。

受付を済ませて、バスに乗り込みます。
酔い止めを飲んできたし、酔い止めバンドもしているけれど、前日慌ただしく支度をして朝5:50に起き、3時間くらいしか睡眠を取っていないため、寝不足で酔いそうな予感。
アッコさんに至っては、仕事が終わらず、一睡もしていないとのこと。私よりもハードね…。
いつも仕事での取材旅行が多く、こういった国内ツアーに参加するのは初めてだという彼女。
珍しそうに客層をざっと見て、
「年齢層が高いね」「若者たちはどうしてるんだろ?」と不思議に思った様子。
ライターさんなので、次々に企画のアイデアが浮かんでくるらしく、話を聞いているととても刺激的。
クリエイティブな人と一緒で、楽しい旅ができそうです。

今回は、リュックで行くというアッコさんに合わせて、私もリュックにしました。
彼女は「世界ふしぎ発見」のミステリーハンター・竹内さんプロデュースのもの。
ノートPCも入るスグレモノだそうです。
私は、TOMMY HILFIGER。これ、以前父にプレゼントしたものですが「かわいすぎるよ」と使ってもらえないため、このたび私がもらってきました。
五重塔に逢えるということで、この前若狭のお寺巡りをしたアッコさんにお土産に頂いた、三重塔キーホルダーをつけていきました。うふふ。

     

途中のSAで、仙台の牛タンと福島の伊達鶏の「たんどり弁当」を買いました。
仙台の長なす漬けもついていて、名産づくしが嬉しいですが、バスに揺られながらだと、食欲がわかずにほとんど手をつけられず。
桃100%のジュースが売られているのを、初めて見ました。お上品な甘さで、美味しかったです。

     

不安でしたが、ほどなくして、自分の甘さを思い知りました。
今回の旅の訪問地は、出羽三山。
つまり山ばかり。
ということは、くねくねカーブの山道ばかり続くんですね。
一番つらいコースに、連日耐え続けなくてはなりません。

写真は、月山湖です。ずっと山ばかり、緑ばかり見続けていた中、満ち満ちた水の存在がとても素敵に感じました。
 

山道ではやっぱり酔ってしまい、身動きが取れないくらい超ピンチに。
こんなギリギリのピンチは、久しぶりです。アッコさんに心配をかけてしまいました。
「最前列に座らせてもらった?」と言ってもらいますが、首さえも動かせません。
もはや、身体を動かすどころか、息をする余裕もないの~。
なんとかギリギリこらえているうちに、カーブを登って登って、湯殿山入り口に着きました。

アッコさんが、おもむろに「私、鳥マニアなのよね」と言ったので、鳥好きの私は「私も!」と答えます。
「すごい鳥だー写真に撮ろう」と、彼女はカメラを構え、動けない私はそのままの体勢で「やっぱりペットにするなら鳥さんね」と言ったら、「・・・?」と不思議そうなリアクションが返ってきました。
なぜー?と思ったら、鳥じゃなくて鳥居って言っていたようでした。

○ 湯殿山神社

 

そのうちに車窓から見えるようになった巨大な鳥居を、朦朧とした目で見つめます。
緑に映えてとても絵になる大鳥居。白装束の修験者の姿も見られます。
自分が普通の状態で無かったせいかもしれませんが、もはや日常光景ではありませんでした。

 

そこでバスを降り、ようやく気持ち悪さから解放されます。
そこから黄色いシャトルバスに乗り換えて、神社まで山道の急坂をくねくね。
今回は、風がいっぱいに車内に入り込んでいたので、酔いませんでした。

 

降ろされた場所からは、歩道しかなく、山道を一つ越えていきます。かなり山の上まできて、眼下に折り重なる山並みがきれい。
この神社のことは、これまで知らなかったし、事前に予習しようとネットで検索しても、なんだかよく情報がつかめなかったのは、とても独特で不思議な場所だからだと、実際に来てみて実感しました。

 

山を一つ超えて橋を渡った場所では、白装束の修験者たちが大勢いて、気合いを入れていました。
白装束といったら、四国のお遍路さんか、パナウェーブ信者だとばかり思っていましたが、そういうわけでもないのねーと彼らを見て思いました。

着いた場所は、神社の入り口で、小さな小屋がありました。
御神体に向かう前に、ここで靴を脱いで、裸足になります。
裸足でふれる石の感覚は久しぶり。石肌が心地よく感じます。

裸足になったところで、御祓いを受け、人型の和紙をいただきました。
それに体中をなでて、自分の穢れを移し、小川に流すという儀式を行います。
しかし小川は流れておらず(詰まっちゃった?)、水面は人型でいっぱいでした。
たくさん水面にたゆたっている紙を見て、「千と千尋の神隠し」のワンシーンを思い出しました。

その段階で充分フシギ体験なのですが、お祓いを済ませた私たちは、いよいよご神体のもとへと向かいます。
古来より「語るなかれ」と伝わる神社。もちろん撮影は禁止です。
実際に、なかなか簡単にはアプローチできないようになっています。まさに秘密の聖地。
細い石の道を奥へと下っていったその先にあったのは…
巨大な赤茶色の大岩でした。山の形をして、そこからとめどなく水が流れ出しています。
予想だにしなかった光景に、あっけに取られながらも、祈祷台があったため、お祈りを捧げました。

みんなの後に続き、見よう見まねで、その大岩を上っていきます。綱一本を頼りに。
歩きだしてみると、大岩から流れている水は熱く、温泉だとわかりました。
水ではなくお湯で、しかも人為ではなく自然に湧き出しているとわかりました。
天然温泉なのです。それで湯殿山なのね。
私たちは、その温泉湯が流れ落ちる岩肌を、滑らないように気をつけながら、一歩一歩登っていきます。
こんな不思議体験は初めて。降りてくる人と接触し手足を滑らさないように気をつけながら、手すりを伝ってゆっくり歩いていきます。
降りてくる人たちもいるし、よろよろしている御年配の人々も多いため、誰もが集中していました。
もちろん、日傘をさしている余裕などはありません。
そうしてそろそろと進み、ぐるりと御神体の後ろに上りながら回り込むと、そこには竜神を祭る場所がありました。
ここで祀られているのは、竜神様だったのですね。

下は遙か下界。落ちたらまず助かりません。すごい場所です。
今でこそツアーで来れるようになったものの、少し前までは本当に修験者のみしか訪れない場所だったんだろうと思いました。

温泉と竜とは、あまりイメージが結び付きません。
でも、古来からずっと、山奥の山の上にあるこの秘湯は、絶えることなくこんこんと湧き続け、人々の信仰の対象となっていたと思うと、雄大なアミニズム信仰が今なお根強く残っている我が国を実感します。
慣れない光景にギョッとして、行き先も知らぬまま秘湯の山を登っていく時には、インディ・ジョーンズ気分になりましたが、人智を越えたものこそ、信仰対象にふさわしいものなので、ここは本当に聖地として大切に守られ続けてきた場所なんだと思いました。
日本に、こんなところがあるなんて。すごかったです。
「語るなかれ」という気持ちはよくわかるし、(語ったところで、実際に来ない限りは、伝わらないな)と思う場所です。

御朱印をいただいたら、初めて見開きいっぱいに書いてもらったので、「雄大だわ」と嬉しくなりました。
アッコさんは、おみくじを引いて、見事大吉を当てました!おめでたいわ~!

 

アッコさんが、手水舎から汲んだ水を飲ませてくれました。
とても冷たくて、おいしい!人里からは完全に離れているため、純度の高い水が湧いているのでしょう。
山奥の澄んだ空気を吸い、ミステリアス体験をしたことで、すっかり酔いも収まりました。

 

シャトルバスで下まで降りました。
巨大な大鳥居の前に行ってみます。大きすぎて、写真に収まりきりません。
これまた巨大な草鞋もありました。まさに修験者の修行山です。
いったい何人の人が、どれだけ時間をかけて作ったのでしょう。

   
    

驚くべき体験ができました。これは・・・語れません!
だから文章にしてみました。こんなレアな体験ができるなんて、カンゲキ!

それからまた山をくねくねと下っていきました。
下界はさっきと変わらず存在していたので、ほっとします。
完全に俗世とは閉ざされた世界に行ってきました。

正気に戻るように、玉こんにゃくをいただきました。ぷるっとしていておいしかったです。
お土産店には、乾燥春菊が売られていて、驚きました。
青森出身の親がよく食べているけれど…と、生産地を見みたら、思いっきり青森産でした。
でも、山形県が一番消費するんだそうです。

   

下界の暑さには閉口します。30度越えですが、それでも首都圏とは5度は違うんだそうです。
地面がアスファルトではなく、緑ばかりなので、あのうだるような辛さとは違う暑さを感じました。
東京ではもうとっくに時期が過ぎたアジサイが、いま満開でした。
やはり季節が違うんだなあと思います。
 

○ 蔵王温泉旅館

夕方、まだ日の暮れていない頃に、今晩の宿に到着しました。
蔵王温泉の扇の宿 岡崎屋旅館。古めかしいですが、蔵王温泉自体が開湯1900年と聞いて、ぶっとびました。
古い~!もはや神話の時代~。

 

和室に通されて、ほっとします。
部屋の窓からは、蔵王温泉郷が見渡せました。
さっそく温泉にいこうと思いつつ、そのまま眠ってしまいました。

 

夕食は三元豚しゃぶしゃぶ御膳。これで目を覚まし、食後に温泉に行きました。
宿に入ったとたん、硫黄のにおいに包まれましたが、温泉はさらに硫黄臭が強くなりました。
湯場はさびまくっており、この湯の量を見ると、確かにすぐ錆びてしまうでしょうという感じ。
乳白色の源泉はとても気持ちがよく、アッコさんと旅の疲れを癒しました。

 

温泉は貸し切り状態で、最高。ドッコの湯という露天風呂にも入ってみました。
中の湯よりも温度が低く、夏にはちょうどいい感じ。3人入ればいっぱいになる、小さなスペースです。
明るいために、虫が寄ってくるのか、突然バタバタ…という羽音がして、お湯にセミが飛び込んでしまったため、「7日間の命をあたら無駄にしないで!」と、二人とも素っ裸で救出作戦に励みました。
虫取り編みのような補足長い棒が立てかけてあったので、それで無事救出…してみたら、それはセミではなく蛾でした。あら~。

温泉で大立ち回りをした(?)私たち。部屋に戻って、のんびりくつろぎます。
「リカさん、お酒は飲めないの?」と残念そうなアッコさん。
可愛らしいデザインの「出羽桜 スパークリング日本酒 咲」を少しいただきました。
山形県出身のカーデザイナー、奧山清行氏がデザインしたものだそうです。
麹の味を感じながら、おいしく飲めました。
スパークリング日本酒というのが斬新。飲みやすかったです。

     

山合いの宿のため、WIMAXは全くつながりません。がっかりー。
TVでオリンピック情報が流れる中、アッコさんは仕事をこなし、私は旅日記を書いて、しばらくめいめいにカタカタと端末を動かしていました。
ハタと気付きましたが、部屋には冷房がありません。
スキー客用の大がかりな暖房器具はあるのですが。
扇風機だけで熱い夜をしのいだため、夜中、何度も暑さに目が覚めました。
う~ん、夢でもあつい~。起きたら朝温泉入ろうー、Zzz...


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4 Comments

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akkoさんへ (リカ)
2012-08-27 09:33:56
読んでくれてありがとう~。
akkoさんは、旅行中もお忙しそうだったものね!
私はたっぷり日記を書く時間があったから。
またどこか行きたいですね~(^_^)
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面白い~ (akko)
2012-08-23 09:57:35
一緒に行ったのに、
視点が違ってとても面白いです~。
私のブログは適当なので、反省させられました。(^_^;)
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トッシーさんへ (リカ)
2012-08-20 02:20:48
コメントをどうもありがとうございます!
トッシーさんはこの夏山梨に行かれたんですか。
山梨もまた、歴史情緒たっぷりの土地ですね~。

海は好きですが、日本を再発見できるのは、やっぱり山ですね。
派手さはないものの、興味どころがたくさんあった旅でした☆
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未開の地山形 (トッシー)
2012-08-19 11:09:10
山形は本当に物理的にも気持ち的にも遠い場所ですが、
リカさんの日記で少しでも知ることができて嬉しいです。

僕も山梨に行きましたが、山手に行くとやっぱり日本だーと
いう気になりますね。また歴史観光してみたいものです。
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