風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

平原の国ポーランドへ 2-(3) ウッチ

2018-10-12 | travel
その2からの続きです。

● 日本のスイーツ

2人はおなかいっぱいで満足げ。
「日本のスイーツ、やっぱり最高!」「抹茶味、絶品!」と熱く語ってきます。
今回、お土産のリクエストを聞いたら「日本酒はいいからスイーツ希望!」と熱烈に希望されたので、トランクにお菓子を詰め込むだけ詰めてきました。
さっそく開封したようです。

「もうひと箱カラにしちゃったよ」
ちょっと、ピッチが早いわ。
この分だと、私が帰る前に、確実に食べ尽くすでしょう。




再び町の中へと繰り出します。
白壁に描かれたウォールペインティングです。

● ポーランド語

ポーランド語はわかりませんが、2人の会話を聞いていると簡単な言葉はなんとなく理解できます。
「タック」が「はい」、「ニエット」が「いいえ」。
「ドゥブラ」もよく聞きます。「いい」という意味。
「ドブラヤ・ウートラ」はロシア語なので、似てると言っていいものかどうか。(国民感情)

「Łódź(ウッチ)って読めない!」と言ったら「まあ、ポーランドの言葉だからね」
ロシア語のキリル文字とはまた違います。
かつてマリー・キュリーが少女だった頃には、ポーランド人もロシア語教育が義務づけられていました。
両方覚えるのは大変だわー。

それにしても、ホテルやお店以外では、英語がなかなか通じません。
基本、表記はポーランドのみ。
なにがなんだかわかりませんが、バルト三国に前に行っているので、免疫はできています。
それに日本だって、日本語が分からない外国人からしたら同じ状況ですしね。

● ウッチ歌劇場

車を停め、町を歩くと、大きな建物がありました。
共産主義、もしくは社会主義リアリズム主義風の建築ですが、ギリシャの古代遺跡風でもあります。
50年前に建設されたウッチ歌劇場です。

 

● 小舟の町

ウッチは小舟という意味だそう。
マンホールはボートの絵です。



ここは、ポーランドの真ん中にある町なのに。
まあ、ボートは川に浮かべるから、海から遠い場所でもOKか!

● ウォーク・オブ・フェイム

先ほど一人で歩いたピォトルコフスカ通りに立ち寄りました。
ハリウッドのウォーク・オブ・フェイムのような、有名人の名前が入った星型プレートが埋め込まれた場所がありました。
ポーランド人の映画俳優の名前が続きます。



(あ、ダニエルと同じ名前の人だ)と思って立ち止まります。
マルヴィナが「有名な映画俳優よ」と教えてくれました。
ダニエル・オルブリフスキー(Daniel Olbrychski)は、アンジェイ・ワイダ監督作品に多く出演している国際的俳優だそうです。

● ウッチ・ファブリチナ再び



昨晩も立ち寄ったウッチ・ファブリチナ(Łódź Fabryczna)駅を、再び訪れました。
デザイン性の高い場所。



2016年末にできたばかりの駅はとてもきれい。
床はゴミ一つ落ちておらず、ピカピカです。
ホームは地下2階にあるので、1階は静かで、閑散としています。

● 大きなジオラマ

駅のそばにはおもしろい形の建物がありました。
煙突があり、外からでは何のビルか、わかりません。



これはプラネタリウム併設の文化センター。行ってみましたが、もう閉まっていました。



その隣は、サイエンス&テクノロジーセンター(科学館)。
かつて炭を燃料とした時代のガス産業の機械がありました。



特徴的な建物ですが、辺りはほぼ無人なので、なんだか巨大なジオラマの中を歩いているような気になります。

● 平地の国

出発前、ポーランドに行くと話すと「ショパンは平地で育った」と友人が言いました。
マンガ『ピアノの森』の主人公のセリフだとのこと。
“The rain in Spain stays mainly in the plain.”(スペインの雨は主に平原に降る)という『マイ・フェア・レディ』の一節を思い出しました。

「ポーランドって山や谷が無いの?」とその子に聞かれたので、2人に聞いてみたら「ニエット!あるよ」とのこと。
「スロベニアとの間に山脈があって、スキーもできるくらい高いよ」
「じゃあ、スロベニアに行くには、山越えしなくちゃいけないのね」
「フフ、大丈夫、トンネルがあるから」
ですよね~。こういう時、自分ってバカなんだな~と思います。

「今日、その山に初雪が降ったそう。こんな早いのは初めて」
「そういえば、今年は北海道にも8月に初雪が降ったよ。早すぎ!」
ニセコでスキー三昧したことのあるダニエルは、驚いていました。

● ナショナリティ

2人ともダブル国籍保持者です。
ダニエルはベルギーとポーランド、マルヴィナはアメリカ合衆国とポーランド。
EU加盟国の措置で、成人してもずっと両方の国民でいられるそうです。
日本では、子供の頃はダブルでよくても、二十歳になったらどちらかを選ぶ決まり。
日本人は日本人でしかないんですね。

現在のポーランドには、もう共産党思想を持つ人はいないそうです。
ネオナチはアングラ的にいるそうですが。

日本同様に、一般人の銃の所持は認められていないので、普通に過ごしていて流れ弾に当たることはありません。
街は崩れかけた建物も多く、すさんだ感もありますが、人々はいたって安全です。

● ポーランド伝統料理

夕食は、伝統的なポーランド料理店、Karczma u Chochoła(ホホールの居酒屋)に連れて行ってもらいました。
待ってました!やっぱり本場の料理が一番だわ。



入り口の扉の裏にわら人形がかかっているのを見て、ドキッとします。
カカシ並みの大きさです。



渡されたメニューの表紙にも、わら人形の絵が描かれていて、再びドキッとしました。
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を思い出しました。
なんか似てるの、出てきましたよね…?



「こ、これ、なに?」と聞くと、「収穫を祈るおまじない」とのこと。
ああ、日本のわら人形とは違うのね、安心したー!



古い農家を模したお店には、古めかしい田舎風のアイテムが所狭しと置かれています。
おびえた目には、魔女の館のようにも見えていたところでした。

● パンにラード

茶色いドリンクは、お茶ではありません。
甘い薬草茶のような味の、カンボットという飲み物です。



「昼に飲んだのは、季節のスープ。みんなが飲むスープはこっちの方」と言われて、ポーランドの伝統的なスープ、Żurek(ジュレック)を飲みました。
ライ麦を発酵させて深みのある味を出しているそう。
ゆで卵とソーセージ、ポテトがゴロゴロと入っていました。
これとパンだけでも、食事になりますね。



ポーランド人は、国産の小麦粉で作ったパンに、大きなこだわりがあるそうです。
それに、なんとラードをたっぷりつけて、彼らはいただきます。

「これ、ラード?」「そうだよ」
信じられないという顔つきの私を見て、2人はラードが何かを説明しようとしてくれました。
大丈夫、わかっているの。
ブタさんの脂肪をパンに塗るということが、うまく頭に入らなくてね~。


たっぷりラード


「食べてみたら?そんなちょっとじゃダメ、分厚く塗るのよ」
「えーー?」
見ているだけで胸焼けがしそうでしたが、2人に見つめられ、観念していただきました。
美味しかったです、ハイ。



にしんの酢漬けは身が分厚くて具だくさん。
羊のチーズを頼みました(中央)。ヤギではなく羊というのがめずらしいですね。
そして2人が好きな、餃子みたいなピエルギ(左)。
さらに極太の3色ソーセージ(右)。



並んだ食事はどれもボリューミー。
どれもおいしいけれど、う~ん、もう無理!
「ポーランド料理はおいしいけれど、食べ続けると太っちゃうんだよね」というマルヴィナの言葉に、深くうなずきました。

食べきれずに残してしまうと、お店の人はちゃんとお持ち帰り容器に入れてくれました。
「ドギーバッグ、日本では浸透していない」と話すと、驚かれました。
「えー?ポーランドではどこもやってくれるよ、だって払った分だもの。」
もっともです。「日本は、新鮮な食材とかあるから、食中毒的な問題があるのかな」と言いましたが、「今では寿司もスーパーで売ってるのに」と返されます。
確かにね~。

● 18歳の誕生パーティー

別のテーブルでは、年齢がバラバラの人たちが10数人集まり、みんなで歌を歌っていました。
聴き慣れないメロディですが、「Sto lat(ストラト=百歳)」というポーランドのバースデーソングだそう。
「誰かの誕生日なの?」
「あの女の子。親戚みんなで18歳の誕生パーティーをやってるところだよ」
「え、友達とじゃないの?」

ポーランドは、18歳が大人の仲間入り。
18歳の誕生会は、親戚一同で集まって、盛大に行うそうです。

歌が終わると、おしゃれをした一人の少女が、一番年長のおじさんからプレゼントをもらっていました。
みんな笑顔です。おめでとう!

● 日本のポーランド料理店

「ポーランド料理店は、東京には1店しかないの」と話すと、2人がとても残念そうな顔をしました。
「日本料理店は、こっちの小さな町にだってあるのに…」
あー、言うんじゃなかったわ。

そのお店の紹介ページが見たいと言われました。
「ポンチキヤ」という店名の響きが愉快だと思ったら、「ドーナツの名前よ」と教えてもらいます。

「でもやってるのは日本人か…」と不安げな2人でしたが、ぱっと笑顔になりました。
「ポーランド人のシェフもいるね、じゃあ問題なし!」
2人が見せてくれた画像には、「常連客のポーランド人」との日本語の解説が。
沈黙は金。今度こそ、黙っていました。
(2人がこの文章を翻訳して読みませんように)

ポーランド料理は、日本人の口に合う、食べやすいものばかり。
お店は日本にもっとあっていいと思います。
ああ、ポーランドのスープ屋さんが近くにできたら、すぐにでも食べに行きたーい!

● ビール飲み比べ

その後、一杯ひっかけようとのダニエルの一声で、場所を移動します。



向かったのはブルワリー、Browar Księży Młyn
コットンテキスタイル工場をリノベーションしたお店のようです。





私の目の前に4杯の色違いのジョッキがずらりと並びました。
「ウェルカム、リカ!さあ飲み比べて~!」
「えー、私下戸だって知ってるでしょ?」



マルヴィナはドライバーなのでミントティー。私もそっちがいい~。
でも、せっかく歓迎してもらっているので、受けなくては。
「ひ、一口ずつでいい?」

飲み比べですが、3口目辺りからもう味がわからくなっています。
「一番気に入ったのでいいから、一つは必ず飲み干して」と言われます。
どんな体育会系?「もう味わからないって」と、ヒーコラ言いながら必死に飲みました。

「はい、じゃあもう1杯!」
これがポーランド式の勧め方でしょうか。
「もう無理!限界!蜃気楼が見える!」とギブアップして、あとはダニエルに飲んでもらいました。



赤と黒のソルト&ペッパーミルはプジョー製。
数日後に会うリョコちゃん宅で去年見てから、これで3つ目。
私もいつか揃えようかな。

● バレーボール人気

バレーボール・ワールドカップの試合が中継されていました。
ポーランドはバレーボールが強くて、人気も高く、国技だそう。
ヨーロッパの国はどこもサッカーが一番人気だと思っていたので、ちょっと意外。

この夜の試合で、ポーランド代表は残念ながらフランス代表に負けてしまいました。
がっかりした重い空気がTVから伝わってきます。
もともと重々しいポーランド語ですが、うつむきがちな選手が喋ると、さらに暗く聞こえます。
ダニエルとマルヴィナも「アア~」と残念そう。
私だけが、日本は関係ないレベルだろうと、のんきに見ています。
敗者インタビューのとき、後ろのスポンサーパネルにMIKASAと書かれているのが目に留まりました。

● ミカサとナルト

2人に聞くと「ミカサ?知ってるよ。スポンサーだよ」と言われます。
日本ではそんなに知られていない気がします。バレーボール関係の会社かしら。
「ミカサって『進撃の巨人』のヒロインの名前だよね」と言うと、ダニエルが反応しました。

「リカ、知っているように、僕は君からもらったナルトのヘッドバンドがきっかけで、『ナルト』の大ファンになったんだよ」
(ほら~ニンジャだよ)と軽い気持ちであげたのに、まさかそんなに大きな影響を与えたとは。
「ナルトの次はボルトが始まったけど、一大決心して、そこで読むのをやめたんだ」
「さようでござるか・・・」
「こっちでは30近い男性も、まだドラゴンボールに夢中なのよ」とマルヴィナ。
まあ日本もそうですから。

● ゲーマーダニエル

彼らが宿泊している友人宅にはX-boxがあって、ダニエルはそればかりやっているそう。
マルヴィナが「朝も夜も一晩中やってるのよ、もう付き合いきれない」とこぼしています。
ゲーマーだったんかーい!
そうか、だからウッチでやけにフリータイムが多いのね!

「家にはプレステがあるよ」
そういえば、前にポケモンとリズムのゲームをお土産に買って行ったことがありました。
10代の彼が、日本語版なのに何の説明もいらず、パッケージを開けるなり遊び始めた時には、びっくりしたものです。
アレ・・・もしや私がゲーマーの一因!?

● ペット事情

「日本の犬がいるよ」と言われたので振り向くと、秋田犬がいました。
「わ、いるのね。アキタ。」「そうそう。すごく人気だけど、とっても高いのよ」
「日本でも高いのよ~」

「ポーランドの犬っているの?」と聞いたら「ポメラニアン」ですって。
あのかわいい小さな犬が!ポメラニアンとはポメラニア地方の意味です。
「ボクサーみたいな犬を想像していた」と言ったら「大きい犬もいるよ。ポーリッシュローランドシープドッグ」
モフモフの大型犬でした。

マルヴィナが飼っているコッカースパニエルの写真を見せてもらいました。
こちらもモフモフ!

彼女の猫ブリーダーの知人の、今一番のお得意先は日本だそう。
ポーランドから猫ちゃんたちが日本に送られてきています。
「今、日本は空前のペットブームだから」と言ったら、「特に猫が人気なんですってね」
詳しいなあ。



夜に映えるカラフルなペイントウォール。
おじいさんと犬がお散歩中。

● グリーンティ

ガソリンを満タンにし、ホテルに送ってもらった時には、10時半を過ぎていました。
部屋にはアッサムティとグリーンティがサーブされています。

いつの間にかこれほど緑茶が一般的になっていたなんて。
前は、外国の友人にプレゼントすると「芝生の匂いみたい」というトホホな感想だったのに。
でも緑茶を煎れるのは熱湯じゃなくて70度のお湯がいいということは、知られていないでしょうね。


緑が緑茶、青がアッサム


『地球の歩き方』は、残念ながら情報が少なすぎて、ワルシャワの地図しか使えませんでした。
1冊で3ヵ国分ですからね。その後滞在したソポトの町は載ってさえいなかったし...。

それからお茶を飲んで、お風呂に入り、のんびり過ごしました。

3日目に続きます。



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