風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

流氷・吹雪・北の果て(浜頓別)4-1

2013-03-03 | 北海道
3日目からの続きです。

○ 翌朝の白世界
○ 吹雪の爪跡
○ 参加者もダウン
○ パウダースノウ顔拓
○ 神威岬
○ クッチャロ湖の白鳥
○ 雪のひな祭り
○ 飛行機も電車も動けない
○ 崎陽軒のホタテ
○ 流氷あれこれ
○ 副港市場~30分間の使い方
○ 帰宅組とお別れ
------------------------------

4日目は2つに分けました。流氷の画像をたっぷりと見ていただこうと思って。
本当はもっともっとたくさん撮っていて、私の画像フォルダはもう真っ白です。
皆さんも、流氷気分に浸って下さい。もういいよ!って思うくらいに…

○ 翌朝の白世界



吹雪の夜が明け、朝になりました。
昨日の嵐は止み、外は静かで穏やか。



朝の温泉から見る風景は、見事に一面の雪景色でした。
それは、昨日から変わりませんが、もっとずっと雪の量が増しています。
草も車も、埋もれています。
この画像、車があった場所がボッコリとあいているんですね。どうやって雪から脱出したんでしょう。



朝に温泉に入りました。
明るくなってみると、浴場からの眺望はよく、ホテルからすぐ近くに海が見えることがわかりました。
そしてすぐそばにはスキー場もあります。
海と山の天気に影響されやすい場所です。

○ 吹雪の爪跡

白さが増した、ますます非現実的な光景になっていますが、ニュースを見て衝撃を受けました。
今回の吹雪で、中標津町など、道内で命を落とした方が8名もいるとのこと。(のち9名に)

(昨日の降雪予報では、中標津付近はそれほど降らない場所だったのに)と思いながらも、そういえば行きのフライト時、中標津空港行きは降雪のため欠航になっていたと思い出します。
羅臼では最大瞬間風速35mとなり、まだ700人以上が避難しているそうです。
「風雪大雪波浪雪崩注意報」がでているとのこと。
何もかもに気をつけなくてはいけない、注意報のオンパレードです。

たしかに、身一つであの吹雪の中へ投げ出されたら、ひとたまりもありません。
本当に命の危険を感じます。
駐車場の、雪に埋もれた車。見ているだけでは実際のものという感覚がなかなかつかめませんが、ああいう状態で、昨日の視界不良の中、道路で立ち往生してしまった車がいたことを想像すると、背筋がひやりとします。



朝食は掘りごたつ式で、新鮮でしたが、これがみんなとの最後の食事という寂しさと、誰もが吹雪のニュースを知ったという驚きで、なんだか静かです。

○ 参加者もダウン

参加者の中にも、ダウンした人がいました。
といっても、吹雪に巻き込まれたわけではありませんが。
前日に、札幌からの学生参加者二名がおらず、どうしたのかと思っていました。
夜にロビーでそのうちの一人に会い、聞いてみると、もう一人が原因不明の腹痛で起き上がれなくなり、日中病院へ行っていたとのこと。
予定を切り上げて早めに帰るにも、交通機関はすべて動かないし、どうすることもできなくて、病院から戻った後で、2泊目のホテルの車で3泊目のホテルまで送ってもらったとのこと。
「もしかすると、初日に食べた寿司に当たったのかも」と言っていました。

翌朝一番に、音威子府経由で札幌に戻ると言っていた通り、それきり二人の姿は見かけませんでした。
こんな大変な時に体調を崩すなんて、かわいそう。しかも海の幸で…
でもこれで、音威子府という地名を覚えました。

○ パウダースノウ顔拓

この日は移動がメイン。枝幸から稚内へと戻ります。

昨日の吹雪の中でのダイブはしませんでしたが、なにもせずに帰るのは心残りになりそうだったので、出発前、ひとりで雪に顔拓をつけてみました。
パウダースノウはとても軽く、水気を含んだ重量感がないため、やっぱり非現実的。
サラサラしています。
この日のように晴れているときは、キラキラと輝いてそれはきれい。



でも、実際に顔をつけてみると、一瞬で顔は水だらけ。そして一気にキーンと冷えました。
顔が冷たくてイターい。
その姿を見た添乗員さんとバスガイドさんに「アッハッハ!」と、本気で笑われました。
ひっそりとやったつもりで、さりげなく顔を拭いてからバスに乗りこんだのに、先に座っていた人たちに見られていて「やったね~」と笑われ、ちょっと小恥ずかしかったりして。
おかしいわ、なぜバレたのかしら?
でもちゃんと顔の跡を残してきたもんねー!一瞬で消えるけどー!

○ 神威岬



昨日の朝は、どうなるかわからないという不安でいっぱいでしたが、この日は無事に出発できて、ほっとしました。
除雪車もがんばってくれたようで、国道の通行止めも解除されています。





道すがら、ずっと流氷が見えています。ずーーーっと。
これ、雪原ではなくて、海なんですよ。
もう流氷を一生分くらいまとめて見てしまったような気分で、すっかり見飽きてしまいました。





神威岬が見えるところで写真休憩をとります。



YouTubeにもアップしました。


オホーツク海は塩分が少ないため、流氷が風とともにやってくるんだそう。
そしてまたすぐ風と共に去っていくそうなので、見られた私たちはラッキーだそうです。





吹雪に遭ったけれど、流氷にも遭えた今回の旅。
まあ遭えたってことは遭えないってことよりもラッキーなのかも?





○ クッチャロ湖の白鳥

前日泊まる予定だったのに、辿りつけなかった浜頓別町に差し掛かります。
「ここは本州からの移住者に土地を提供しているのよ」と参加者の老夫婦が話してくれました。
本当なら泊まる予定だった浜頓ホテルの前も通りました。
そのままクッチャロ湖へと向かいます。
神威も積丹半島にありますが、クッチャロと屈斜路の区別が付きません。



ここもすごい降雪で、今日の予定に入っていた、水鳥観察館での写真家のレクチャーは叶いませんでした。
そもそも、水鳥観察館までたどり着けなかったのです。



上の画像の左側にあるのが湖畔の水鳥観察館。除雪ができていません。
「ここまでしか行けない」という道の限界まで行って、真っ白な湖を背伸びして眺めながら、ここの解説員さんの話を聞きました。
解説員さんでさえ、観測室に行けないなんてことは、初めてだそうです。
本当はそこで、同行の写真家さんに上手に写真を撮るコツを教えてもらえるはずだったのですが。



と、白鳥が群れを成して、美しいV字を描きながら、湖の方へと飛んできました。
曇ったり小雪が降ったりと、相変わらず不安定な天候ですが、この時はちょうど青空で、白い姿がくっきりと映えていて、その美しさにみんなで見とれました。
昨日のような悪天候の日には、白鳥は狐などに襲われる危険があるために海で過ごすそうです。
朝になって餌を食べに湖に飛んできたところにちょうど出くわしました。



白鳥たちの恋の季節に、2羽のカップルがくちばしを重ねる仕草を、ここではハッピーリングと呼んでいるのだとか。
すてきー。見てみたーい。
白鳥は昨日段階で、390羽湖にいるそうです。

○ 雪のひな祭り

ここでお雛様に出会います。そういえば今日はひな祭り。
雪の中でひな祭りの日を過ごすのは、初めてです。
桃の節句っていうのにね・・・。



ここの湖にあるはまとんべつ温泉ウイングにも入る予定だったので、(美人の湯なのに~)と、女性陣みんなで残念がりました。



浜頓別のキャラクター、スワットン(スワンとトンちゃん)も、お雛様の格好をしています。
これを見ると、ちょっと美人の湯の信憑味が…イエイエ(笑)。

○ 飛行機も電車も動けない

バスは一路、稚内を目指します。
画像は浜頓別町役場。全容がよくわかりません。



これでこのツアーの行程はすべて終了。あとは帰るだけです。
だけなのですが・・・
雪の影響は根深く、この日の羽田へのフライトは欠航。稚内発の電車も運休。
参加者は、この日帰る組ともう一泊する組とに分かれます。
私は一泊する組ですが、今日帰る予定の人たちは「交通が不安」と気になってたまらない様子。
「帰れないなら、すぐに宿を取った方がいいのかしら」と今にもケータイから予約をしようとしている人もいましたが、「まあ、今回はプロがついているから」と言いました。

と、添乗員さんより帰途についてのアナウンスがありました。
(飛行機も電車も動かないなんて、どうするんだろう)と、私もはらはら。
今乗っている観光バスで旭川まで行き、そこから飛行機に乗るという代替案が出ました。
飛行機組は19:45発21:30着のAIR DO。電車組は特急サロベツの代わりにスーパーカムイに。

ただ、私たち一泊組を稚内で下ろすために、予定通りバスは旭川とは逆方向に北上していきます。
なんだかすごいことになりました。
まさにどうなるかわからないような旅。
自然相手では、なすすべもありませんし、どの選択がベストなのか、見極める力が大切なのだと感じます。



バスはずっと海沿いを走っていきます。外は延々と続く流氷。昨日を越えて一気に水面は白くなりました。
いつまでも変わらない風景に、今後どうなるかわからない状態で、どうしてもバスの中は静かになります。
日も射して美しい光景なのに、なんだろう、この凍てつくような感覚は、と不思議に思います。
川も海も凍り、白く、動きがありません。
何も動かないような静止世界が、どこか息苦しさを与えるんだとわかりました。
見渡す限り、世界は呪文をかけられて、雪の下で眠っているようです。

こんな感じで、何時間も延々と窓の外の流氷を眺めていました。


○ 崎陽軒のホタテ

2日目に昼食をとった猿払あたりで、とつぜん崎陽軒のポスターが目に飛び込んできました。
(えっ?いまのって崎陽軒?なぜこんな離れた場所で?)と思って目を凝らすと、「シウマイにはさるふつ名物の五年もの乾貝柱を使っています」という宣伝文句がかかれていました。



崎陽軒のシウマイの美味しさは、ホタテの隠し味があってこそ。これは本当です。
ここのホタテを使っているなんて、一流なのねー。すごいわ。
一気に元気になった浜っ子です。帰ったらシウマイ食べようっと。



それから、猿払村のマークになっている像の横を通りました。
人が手を繋いで見えるようだけれど、これはなんでしょう?
あとで調べてみると、ロシアのインディギルカ号がこのあたりで海難事故に遭った時の遭難者慰霊碑でした。
当時日本はロシアといい関係にありませんでしたが、猿払村は手厚く遭難者の慰霊を行ったそうです。

○ 流氷あれこれ





この季節、網走では流氷に乗ってくつろぐゴマフアザラシを見かけることもあるそうです。
このびっしりと海を覆うような流氷を見ていたら、冬にサンクトペテルブルクに行ったときのことを思い出しました。
ホテルの裏に、凍ったフィンランド湾が広がり、「向こう側はヘルシンキだ」と聞いて、(渡っていきたーい)と思ったものです。
ここも、氷の上を歩いていって、サハリンに着ければいいのに。
流氷経由の人はビザなし入国OKとかにして。(溺れる人続出?)





そういえば、天の川がもし凍っていたら、織姫と彦星は歩いて渡れますね。
ただ、氷が薄いと、割れて落ちて流されてしまいます。
天の川で流されたら、どこに行くんだろう?と、ヒマにまかせてあれこれ想像してみました。





港もすっかり凍っています。
海の向こうに流氷がある光景は、かげろうや蜃気楼のようにも見えます。
暑い場所にしか出ないものですが、冷たすぎる氷をさわると、やけどしたような感覚になったりしますしね。







また宗谷岬に差し掛かりました。今回はバスの中から見るだけで、静かに通り過ぎます。
観光客は誰もいませんでした。(もちろんというか、なんというか)







○ 副港市場~30分間の使い方

稚内に入りました。ここも吹雪はすごかった模様。
信号が凍っています。



副港市場でバスは止まり、一時休憩となりました。
これからの旭川までの長旅に備えて、昼食やお菓子を買い込むためです。

と、参加者のさとちんさんが、急ぎ足で何かを探している風でした。
この方はとても情報通で、しかもかなりのグルメだということが、一緒に旅をしてもうわかっているため、聞いてみると、果たして「北の香り」というお目当てのラーメン屋を探しているとのこと。
休憩時間は12時まで。たとえ30分間でも、評判の味を逃さないようにアンテナを張り巡らせるさとちんさんのパワーに脱帽します。
私とコズエさんも一緒になって急いでお店を探し始めます。



あっ、看板発見! それは、市場の建物の外の、レトロな波止場横丁にありました。



さとちんさんの息子さんと4人がかりで見つけ、揚々と座ります。



ちゃっかりグルメ親子の行動に乗った私たち。
Sea級グルメグランプリに去年宗谷代表で優勝したという、ほたて塩ラーメン(800円)にしました。



5人入ればもう満席のカウンターだけの小さなお店で、おかみさんが一人で切り盛りしていました。
11時半から2時までしか開いていないとのことで、開店直後に飛び込んだ私たちはぎりぎりセーフでした。
なんてラッキー。

おかみさんは、豊富(とよとみ)町のご出身で、そこは温泉がとてもよいそう。
アトピーに利くそうで、おかみさんも皮膚が弱いけれど、稚内にお嫁に来てからはしょっちゅうは入れないため、豊富温泉の石鹸を使っていると話してくれました。
その石鹸が欲しくなって「この市場に売ってませんか?」と聞きましたが、「ないわねえ」と言われて、残念。



塩ベースのラーメンは食べやすく、海鮮好きの私はするっと食べられました。
銀杏草という、このあたりで採れる海草が入っているそうです。
さとちんJr.の選んだ味噌味もおいしそうでした。
さとちんさんは、稚内牧場牛乳もゲット済み。
すごいわ~。本当に美味しいものにぬかりがありません。
さとちんJr.は、いつもお母さんと一緒に美味しいものばかり食べられていいなあ。
牛乳をごちそうになったら、するっと癖のない、飲みやすいおいしさでした。
たしかに、みんなが勧める味です。



人より食べるのが遅い私。自由時間も限られているため、みんなに先に行ってもらいました。
私は泊り組なので、のんびりできますが、3人とも今日帰る組なので、食料の買い込みもしなくてはなりません。
集合時間までに、私はラーメンを食べる以外のことはできませんでした。
バスに戻ると、コズエさんは休憩開始時から気にしていた通りむこうのおいしそうな菓子パンをお買い上げで、さとちんさんは稚内牧場牛乳のソフトを片手に満足げでした。
私、人生の時間の使い方について、考えた方がいいかしら…?

○ 帰宅組とお別れ

稚内駅そばの夢市場の前にバスが着き、今日の帰宅組に挨拶をして、降りました。
旅の無事をお互い祈り合います。
修辞的用法ではなく、本気で祈りました。今回はシャレになりません。
私たちに残されたことは、唯一つ、何事もなく帰れるように祈るのみ。
ここで終わりではなく、これから更に雪道を旭川まで運転することになったドライバーさんに「がんばってください!」と声をかけ、バスのみんなに大きく手を振って、お別れしました。
グッドラーック!



4日目その2に続きます。


最新の画像もっと見る

post a comment