風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

海を渡って内房総 1-1

2018-08-07 | 千葉
● prologue

暑い暑い今年の夏。
都心のこもった熱気から逃れるように、仕事仲間のベスと房総半島に向かいました。

夏の内房総は2年ぶり。
一昨年は汗だくになってのこぎり山に登りましたが、今年は記録的な猛暑日が続くため、あまり動き回らないことにします。
泊まるのは海の家なので、ビーチパラソルの下でのんびりしたいものですが、さてどうなることでしょう。

● 渋谷マークシティ

神奈川県と千葉県は、地図上では隣同士ですが、つながっていません。
間に東京湾があります。
横浜から内房総へ行くときのルートは3つ。値段もあまり変わりません。

① 電車(東京経由、陸路でJR)
② フェリー(横須賀から海上を渡る)
③ 高速バス(海中トンネル・海ほたる経由)

2年前は、夏らしく海路でフェリーに乗っていきましたが、今回は便利さを優先して、高速バスを使いました。
マークシティでベスと待ち合わせて、10日前に運航を始めたばかりのニューライン、渋谷-木更津線に乗ります。



乗客は、全部で5名。
まだ知られていないのかもしれませんが、広々すぎる~。
ベスとは隣ではなく、前と後ろの座席にゆったり座りました。

ベスは初アクアライン。
「飛行機が羽田を飛び立った直後に、上から眺めて気になってたの」
羽田空港に近いので、うみほたるがよく見えますね。

● レインボーブリッジ経由

渋谷発のバスは、川崎方面にすぐ南下するかと思いきや、都心を通り抜け、ゆりかもめの方までぐるりと大周りしていきます。
気が付けば、レインボーブリッジを渡っていました。
ここを通るとは思わなかったわー。



反対側にはフジテレビが見えました。
高速道路を使う人なら、道路地図が頭に入っているでしょうけれど、私はちんぷんかんぷん。
それでも快適な車窓から東京のウォーターフロントを満喫できて、ごきげんです。

● アクアラインで海越え

そのままいつしか、バスは長いトンネルに入っていました。
(道路事情に疎いので、詳細ははしょります)
都心だから地下を走るのかな、それにしてもなかなか地表に出ないなあ、と思ったら、すでにアクアラインを走っていました。

車内の冷房だけでなく、外からも冷気を感じます。
「いま、海面から57m下にいるんですって」とベス。
普通のファンダイビングでは潜れないほど下にいるんですね。

ゴーーーッという音を聞きながら長いトンネルを通っているうちに、いつしかうとうとしていたようです。
ハッと気づいたときには、バスはもうさんさんと降り注ぐ日光を浴びながら、海の上を通っていました。
海ほたるの建物はもう見えません。すでに抜けたんですね。

ベスに伝えようと後ろを振り返ったら、気持ちよさそうに眠っていました。
うーん、声をかけるのはしのびない…。



「トンネルを抜けると、そこは海だった。昼の上が青くなった。」

アクアラインの、この解放感が好きです。
海の中の道を通っていく時には、海をパックリ割ったモーセの気分になります。(ちょっと違う?)

そうこうしているうちに、千葉側につきました。
さきほどまでの都心とはがらりと景色が変わり、ぐっと自然度が増します。
ベスは相変わらず、すやすやと眠っています。
まあ、帰りも同じ道を通るから、今回は起こさなくてもいいでしょう。

● タヌキの町

袖ヶ浦経由で木更津の町に入りました。
「袖ヶ浦」も「木更津」も「君津」も、きれいで詩的な地名ですね。
赤い大きな橋が見えてきました。
これは中の島大橋。高さ27メートル・長さ236メートルの日本一高い歩道橋です。



要所要所を通るたびに、後ろの席を振り返りますが、ベスは一向に起きる気配がありません。
撮った写真を、後で見せようっと…。

終点の木更津駅に到着しました。放送が入り、彼女も目を覚まします。
「あー、もう千葉に着いちゃった」
ええ、あなたが寝てる間にね…。



駅前には大きな狸と月のオブジェがあります。
「しょうじょうじのたぬきばやし」の歌詞が書かれていました。



足元のマンホールの蓋も、月とタヌキ。
歌詞もついています。カラー版を発見しました。



証城寺って漢字があるんですねー。
市内全域にこのマンホールがあるので、市民は全員、このお寺のことを知っているんですね。

● 氣志團の町

駅前には、「氣志團万博 2018~房総爆音爆勝宣言~」のポスターが。
そういえばここは彼らのシマ。避けては通れません。
出演者を見たら、かなり豪華なラインアップです。氣志團、お友達が多いんですねー。



景色を撮っていると、ちょくちょくパトカーが入ってきます。
多いですね~。
気になりますが、ここは家から見て海の向こう。
横浜で、クレイジーケンバンドあたりが夏フェスをやってくれないかな~。



● ぽんぽこぽん

外は30度超えの猛暑なので、あまりあちこちに歩き回らないことにしています。
それでも、まずは證誠寺(しょうじょうじ)に向かいました。
はい、たぬきばやしのモデルのお寺です。



子供の頃からなじんできた童謡の舞台は、木更津にあったんですねー。
タヌキが集まるというので、人里離れてうっそうとした山の奥にあるお寺かと思ったら、人里にありました。



「ほとけさまからねがわれている このわたくし」
きれいなおことばです。



お参りしてから境内を散策。
狸塚があり、歌碑もありました。
野口雨情と中山晋平といった超有名人のコラボ作品なんですね。



これまで「かちかち山」と「ぶんぶく茶釜」と「しょうじょうじ」がごっちゃになっていました。
今回お参りしたので、證誠寺は区別がつくと思います。



「かちかち山」と「ぶんぶく茶釜」もどこか舞台があるのか、調べてみました。
「ぶんぶく茶釜」は群馬県館林市の茂林寺、「かちかち山」は富士河口湖町だそうです。
そういえば、河口湖を訪れた時に、かちかち山トープウェーがありました。
この3つの昔話は、どれも関東地方の話だったんですね~。

● 鳳神ヤツルギ神社

木更津銀座通りの先に、歴史のありそうな古めかしい神社がありました。
八剱(やつるぎ)八幡神社。カッコイイ名前です。



スサノオノミコトとヤマトタケルノミコトを祀っています。
境内には立派な狛犬がいました。



境内には戦隊ものキャラクターのポスターやパネルが飾られ、絵馬もかかっていました。
普通の絵馬に参拝者が萌え系のイラストを描きこむ痛絵馬(いたえま)とは違って、神社がこうした絵馬を作るようになってきているんですね。



キャラクターは「鳳神ヤツルギ」という、八剱八幡神社の祭神の力で変身する特撮ヒーロー。
神社が生んだヒーローなんて、斬新だわ!

おもむろに、何台もの車が境内駐車場にやってきて、わらわらと大勢の男性たちが降りてきました。
みんな順番に、手水舎で手を清め始めます。



なんだろうと思ったら、境内の奥にある蔵へ行き、扉を開けていました。
そこに見えたのは、関東一と言われる大神輿。
きっと彼らは、夏祭りで神輿を担ぐ地区青年部の人たちでしょう。



● ヤマトタケル伝説

神社の由来が書いてありました。
"日本武尊御東征の折、相模国より此の地に渡らんとするとき、浦賀沖で暴風雨に遭遇し、御船が転覆寸前となった。
そのとき妃橘姫が、海の神の怒りを静めようとして御入水あそばれた。
尊は無事に此の地にお着きになったが、姫の死を悼んでしばらく此の地を去ることをなさらなかったので、
「君去らず」と呼ぶようになり、現在の「木更津」になったと伝えられる。"

なんと、「木更津」の地名は、ヤマトタケルからきていたんですか。
ちなみに「袖ヶ浦」も「君津」も同じ伝説に由来しているそうです。
それで風流なイメージなんですね~。

驚いたのは、神奈川サイドにも同じ伝説の由来の地があるからです。
横須賀にある「走水」という地名。
走水神社もあり、ヤマトタケルノミコトと弟橘媛命(オトタチバナヒメノミコト)が御祭神になっています。

この事件が起こったのは、西暦110年のことだそうですよ。
完全に伝説上の話かと思っていましたが、こうして千葉と神奈川の両方の地名に残っていることを考えると、かつてこの海で、本当にこうした悲しい事件が起こったのかもしれませんね。

● ササキスタジオ

八剱八幡神社の横に、ササキスタジオというレトロな写真館がありました。
創業100年以上の老舗で、店頭には木更津キャッツアイの写真がいろいろと飾られています。
岡田准一が演じたぶっさんの遺影までありました。
(ジャニーズの許可的なものは…?)



このお店も、ドラマに登場したそうです。
お店の前には、鳳神ヤツルギの自販機とタヌキ像がありました。



● オジーたぬき

通りを歩いていくと、タヌキの像がいくつもあります。
その中の一つが気になりました。
「これ・・・タヌキだよね?」
「っていうか、おじさん?」
「なんかモデルがいるのかな?」



その時はわからず、二人で首をひねるばかりでしたが、あとで木更津キャッツアイのオジーだと判明。
言われてみれば、古田新太に見えてきたー!

木更津といったら氣志團・キャッツアイ・タヌキ。
そのほかに、中尾彬の出身地でもあるそうな。
どれもすべて、キャラが濃いですね~。

● 酒場でランチ

点在しているタヌキの像をたどりながら、再び駅に戻ってきました。
ランチタイムになったので、居酒屋好きベスのリクエストで、駅前の「大衆酒場 木更津 せんべろ」に行きました。
名前からして、ザ・せんべろ。正午から開いています。



女性だけでは入りづらい雰囲気バリバリですが、ベスにとってはなんの障壁でもありません。
気にせずスイスイ入っていき、私はそのあとに続きます。
お店の中では競馬中継が流れていました。
昼からの開店ですが、すでにお客さんは数名おり、ビールをジョッキでごくごく飲んでいました。



昼飲みができるお店ですが、つぶれたら先に進めなくなるため、レモンサワーで軽めにおさえるベス。
海を見たからか、魚介類が食べたくなって、タコのから揚げをオーダー。



でも、夕方には宿でおいしいお魚を出してもらえるので、その他はお肉系にします。
揚げたてサクサクのハムカツ。

備長炭で焼いた焼き鳥もやってきました。
鶏肉は千葉県産の水郷鷄を使うこだわりだそうです。



ほかにもサラダやポテサラなどを頼んで、おなか一杯になりました。
外に出ると、お店の立て看板をなぎ倒すほどのすごい風が吹いています。
ベスの日傘があおられて、おちょこになってしまいました。
海沿いだからいつも風が吹いているのか、たまたま強風なのか、どっちなんでしょうね。

その2に続きます。




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4 Comments

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Unknown (アネッティワールド)
2018-08-11 06:34:21
お久しぶりです。
いつものように読み応えのあるブログを発信してますね。

渋谷木更津間、凄い物を作ったんですね。
海の中から急に橋が出てくるんですか?
海が割れる映画十戒みたいですね。

しょじょじを漢字で書くとそうなるんですね。

ドライブ好きな者にはたまらないコースです。
ひょっとしたら関東に近々行けそうなので
計画に入れたいコースです。
情報ありがとうございます😊
アネッティさんへ (リカ)
2018-08-17 19:24:53
アネッティさん、お久しぶりです~!
私が旅ブログを更新していなかったからですね、すみません~(^ ^;)
お元気そうで何よりです!

アクアラインは、天気のいい日はとても快適なので、車でこちらまで見えた際には、ぜひ渡ってみて下さい。途中にある海ほたるは、海の中にあるので、見晴らしがいいし、冬には富士山も見えますよ。

関東に来られる予定があるんですか?歓迎します~💛(^^♪
Unknown (アネッティワールド)
2018-11-28 17:23:40
このブログを拝読して
「海ほたる」行ってきましたよ(^_-)(10月に)

カーフェリーに乗ってる気分でした。
見晴らしもよかったし感動しました。

情報ありがとうございます。(^^♪
アネッティさんへ (リカ)
2018-11-30 17:23:50
すばらしい~~!
ちょっとこちらがバタスカしていまして、アネッティさんの関東トラベリングをまだ追体験できておりません。

海ほたる、きれいに撮影されているんでしょうね~。楽しみに拝読しますね!

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