風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

もぎたての房州びわをたくさん食べたい! 1

2019-12-05 | 千葉

● prologue

6月は、梅雨の季節。
しとしと、じめじめと雨の多い、憂鬱なシーズンですね。
でも6月は好きです。アジサイがあちこちに咲いて、とてもきれい。
食べ物は、びわのシーズンですね。
びわは大好きですが、食べられる期間は短くて、あっという間に店先から見なくなります。
しかもなかなかの高級品なので、そうたくさんは食べられません。
いつも一粒ずつ、ありがた~くいただいています。

6月も後半になってから、母が「びわ狩りに行きたい」と言い出しました。
この時期、TVでよく組まれるびわ狩りの特集番組を見て、すっかりその気になったようです。

数日前まで九州に行っていた【⇒九州旅ブログ自分としては、ちょっと抵抗しました。
「週末返上で行ってきたから、くたくたよ~。今度の週末はゆっくり休みたいわ~」
でも憂い顔をした母に、
「この時期しか食べられないし、来年はもう行けないかもしれないから…」
なんて言われると、行かないわけにはいきません。
(最近、母によくこの手を使われているような…むむ)

そこで、週末のびわ狩りのプランニングをすることにしました。
母はいつも、王侯貴族のように「あそこに行きたいぞよ」と指令を下す役。
「へへーい、合点です!」とリクエストを聞いてプランを立て、実行に移す私。
こき使われてます!

● どこに行く?

びわの産地として有名な場所は、長崎と千葉。
長崎が生産高日本一ですが、数日前に行ってきたばかりですし、私たちは横浜に住んでいるので、日帰りで行ける第二位の千葉にします。

千葉では「房州びわ」が有名。地元小学校の給食にも出るそうです。
千葉といったらピーナッツですが、びわ王国でもあるんですね!

● ツアーは全て終わってた!

それにしても、予定を立てるのが遅すぎました。
(というより母が言い出すのが遅すぎ…まあいいでしょう)

どの旅行会社のびわ狩りツアーも、のきなみ締め切られています。
ツアーは気楽でいいのですが、仕方がない、自力で計画を立てるしかありません。

● びわ狩りは2日後終了!

去年、房総半島の海の家に行きました【⇒千葉旅ブログ
その帰りに立ち寄った、富浦の道の駅で、季節にびわ狩りができることを思い出し、そこに行くことにします。
もうギリギリですし、知った場所の方がいいですからね。
富浦は千葉県でもびわの主産地で、皇室献上品を育てています。


東京新聞「南房総の房州ビワ」より

電話をして問い合わせると「今年のびわ狩りは今週末で終了します」と言われました。
えっ、月末ではなく、あさっての23日まで?
日曜日は用があるため、行けるのは22日の土曜日のみ。
翌日じゃない!なんてギリギリなの!
そんなに急とは思っていなかったため、心の準備ができずに動揺しますが、
電話先で「雨がどうなるかで、催行するかも決まります」と言われました。

確かに、翌日は雨予報。当日の天候次第でしょうか。
朝になってみないと、やるかやらないかわからないという、あやふやな状態。
気になりながら、翌日を迎えることになりました。

● 当日までわからない

当日の朝。横浜はどんよりとして重そうな曇り空ですが、雨は降っていません。
海の向こうの南房総も曇り予報で、昼にかけての降水確率は80%。
雨天の場合は中止になるというびわ狩りなので、マズいかも…。
道の駅の開館時間前に横浜駅に行かないと間に合わないため、催行するかわからないまま、支度をして駅に向かいます。

道の駅の開館時間を待って、ドキドキしながら問い合せしました。
すると「雨は降るでしょうけど、やりますよ」とのことでした。
おや、昨日は「雨天中止」と聞いたのに…?
まあそれでも、やると言う言葉を信じて、行ってみることにします。

● 高速バス

横浜から房総半島までは、電車・フェリー・バスと、いろいろなアクセス法がありますが、今回は高速バスを利用しました。
横浜駅から館山行のバスに乗れば、目指す道の駅で停車するからです。
これは便利。歩くのが億劫な母を連れていくのに最適なルートです。

千葉方面行きの高速バス乗り場のところに、大勢の人が並んでいました。
(もしや、みんなびわ狩りに行くの?)と身構えましたが、それにしては楽しげな格好。
東京ディズニーランド行きのバスを待つ人たちでした。

館山行きの高速バスは、アクアラインを通っていきます。


海底トンネルに入りまーす

海の中の道を通るので、天気がいい時にはとてもきれいな景色が望めますが、この日はあいにくの曇り空。
海底トンネルに入ったところで眠ってしまい、起きた時にはバスはもう海ほたるを過ぎて木更津周辺まで来ていました。
海の景色を見逃しちゃった!

というより、窓ガラスを叩きつけるほどの大雨が降っており、外を眺めるどころではありません。
こんな雨の中、びわ狩りは催行されるのかしら…?ああ、とっても不安だわ。
到着したところで「今日は中止」と言われてしまいそう。
こんな大雨だと観光どころではなく、なにもできずに、そのまま帰ってくることになったりして…。
心配は尽きませんが、バスに乗ってしまった以上、もう後戻りはできません。
賽は投げられたー!

● 羊のおしり

君津バスターミナルでバスが停車した時に、前に停まっていた東京行きのバス。
後ろ側には、子羊たちのお尻~!
マザー牧場の宣伝です。かわいくて撮っちゃいました。


こんなに羊のお尻を見ることって、ありませんね。
そう考えると、牧羊犬って羊のお尻ばっかり見ているんだわ。
千葉に入り、激しい雨に翻弄されながら、バスは目指す道の駅に着きました。

● 道の駅

この道の駅は、全国道の駅でグランプリを取った「とみうら枇杷倶楽部」。
全国に道の駅はいったいいくつあるんだろうと調べてみたら、1,160箇所あるそうですよ!
(2019年6月時点)
その中のグランプリなんてすごいですね!
決め手は、やっぱりビワなのかしら?


八角屋根が目印の、道の駅とみうら 枇杷倶楽部

● 受付にて

受付には、やはりびわ狩りに来たグループが手続き中でした。
私たちの番になり、おそるおそる係の人に聞くと、びわ狩りは催行されている様子。
「よかった~」ひとまず安心します。
予約時間はまちまちですが、本日予約しているグループは30組ほどいるようです。

● ハウスではなく農園

ただ「今やっている農家さんは2軒です。農園まではご自身で行っていただきます」
と言われて(ん?)と思いました。

「あの、びわ狩りって、ここでできるんじゃないんですか?」
「ここではハウスのびわ栽培をしているので、5月中のみになります」

そうだったんですか。そのあたりの詳細がわからず、てっきりこの道の駅でびわ狩りができるものと思っていました。
となると、ここからさらに、指定農園まで移動しなくてはなりません。
暴風の中を?!足の悪い母を連れて?!歩いて自力で?!
これは大変。ハードルが高いわ…!

● 新たな問題勃発

「お車ですか?」と聞かれたので、
「いえ、車じゃないんです」と答えると、「えっ!」とびっくりされました。
ということは、ほかの皆さんは移動が苦ではない、車での参加なんですね。。。

「今、高速バスで来たところなんです」というと、
「そうですか…雨なので、近い方がいいですね。近いといっても、ここから2キロの場所になりますが」とのこと。
うーん、と考えます。
私は、いくら歩いても大丈夫ですが、膝の悪い母は歩きたがりません。
母は自転車なら大丈夫ですし、レンタサイクルもあります。
ただ、今まさにこの辺りは暴風雨の渦中。雨風強い中でとてもペダルを漕げそうにありません。

「タクシーはどうでしょう?」と母が聞くと「呼べば来ますが、ここまでやってくる本数は少ないです」とのこと。
それを聞いて、とうとう母も観念したようです。
2キロ離れた農園まで、がんばって歩いて行くことにしました。

受付の人は、気の毒に思ってくれて、農園さんに私たちが行くことを電話連絡しがてら「送迎なんてしていただけないものでしょうか?」と聞いてくれました。
「本当でしたら、こういうお願いはしないのですが、今日はひどい雨ですからね」

ああ、助かります。
考えてみれば、道の駅はドライバーたちの憩いの場。
ここにびわ狩りに来る人たちは、みんな車でやって来るんですね。
バスでやってきた私たちは、かなりレアパターンだったようです。

ただ、残念ながら、農園ではちょうど今車が出払っているとのこと。
「帰りに乗せていただけることになったので、行きは歩いて行っていただけますか?」
はい。交渉してもらって、ありがたいです。
地図で行き方を詳しく説明してもらいました。

● 嵐の中を歩く

さて、母親の覚悟がにぶらない間に、出発です。
さっきよりも雨脚は弱まっている今がチャンス!

ただ、一歩建物の外に出ると、風がビュービューうなりをあげており、傘がしなってしまうほど。
向かい風に向かいながら、一歩一歩進みます。
足元が不安な母の前に立って、風よけになりながら進みました。
ほかに歩いている人はいません!暴風雨ですから!

一歩進むことさえ大変なので、母は時おり、立ち止まって休憩します。
「あそこのお宅、サボテンをたくさん育てているわ」
見ると、自分の庭用にしては多すぎるサボテンの鉢が、軒下に並べられていました。

● カーネーション団地

ゆるやかな坂を上って電車の線路を超え、下りに入ります。
じきに、ビニールハウス群が見えてきました。
「カーネーション団地」と名前がついています。
千葉のカーネーション出荷量はは関東一ですが、母の日も終わったところなので、ほかの花が植えられていました。
ひまわりとか、けいとうとか、ドラゴンフルーツとか。


さらに歩いて行きます。一軒一軒の家が離れていて、広々とした庭があるお家ばかり。
のびのびとした環境です。
母は「お隣に回覧板を届けるのが大変ねえ」なんて心配をしています。

水たまりをよけながら、ひたひたと歩いて行きます。
雨はずいぶん弱まりましたが、湿気がすごくて、汗をかきそう。
ヤシの木が生えているのを見て(南国だなあ)と思います。
数日前は、南九州でパームツリーを眺めて(ああ~、南国)と思っていましたが、千葉も十分トロピカルな場所。

● たくさんのびわ園

もらった地図には、目的地のびわ園しか書かれていませんが、実際には道すがら、たくさんのびわ園の看板が立っています。
おそらく地図には、道の駅と提携しているびわ園だけが記されているのでしょう。
びわ園の前を通るたびに「ここじゃないよね?」と立ち止まって確認しました。

人も車も自転車も、何も通らないので、聞く人がいないのです。
体力のない母のためにも、迷わないようにしないといけません。

● 岩井農園

音を上げる母を励ましながら、ようやく農園にたどり着きました。
今回の場所は、岩井農園。
おかみさんが「高速バスの方?あら、あの後息子が戻ってきたので、車で迎えに行ったんですけど、すれ違っちゃったみたいですね」と言われました。
ありがとうございます~。

びわ園にその息子さんがおり、案内してくれました。
けっこうな急斜面を登っていきます。びわの樹ってこんな場所に生えているのね。
「上の方まで行けそうですか?」と息子さん。
「いえ、無理です」ビシッと即答の母。
「でも、おいしいびわがある場所まで、がんばれるわよね」と私。

母は否定しません。
息子さんに木の杖を貸してもらい、しっかりした足取りになります。
フルーツに目のない母は、びわ園に入ってパワーが湧いてきたんですね。
ゲンキンな・・・!さすがわが母!

● びわのとり方


びわ園の、けっこう上の方に案内してもらいました。
びわがたわわになっています。まあステキな光景。

実は、木の上の方に固まっている感じ。
もうびわ狩りも終了間際。
ハイシーズンの頃にやってきた人たちが、手ごろな場所をもいでいったのでしょう。


私たちではとても手が届きません。
木に登るしかないのかな…と思っていたら、息子さんが「先ほどの杖をください」と母に言い、それを使って上の枝を引き寄せ、びわを採りました。
先が二股になっているので、杖ではなくて、びわ狩り用の棒だったんですね。

● 狩りの始まり

「こうやって採ってくださいね。園内のびわ、どれでも食べていいですよ。
 今から30分後にお迎えに上がります」
そういって息子さんは去っていきました。


広いびわ園に私たち二人。さあ、狩りの始まりです。
お兄さんが採ってくれたびわは、紙袋に入っていて、とても大きなもの。
こんなに大きいの、八百屋やスーパーではまず見かけません。
高級果物屋さんの贈答用だわ!

「う~ん、甘い!」
ほのかな甘さです。
「おいし~い。ほっぺたが落ちそう!」
落としていては食べられないので、せっせといただきます。


びわは、房の方からではなく、お尻の方から皮をむくんだそうですよ。
知りませんでした。

手持ちのびわを食べ終わったら、母と協力して、棒を使ってびわを収穫。
ああおいしい。

無類のフルーツ好きの母とその娘という強力タッグ。
会話を中断し、ひたすら黙々と食べ続けました。

その2に続きます。

◆ もぎたての房州びわをたくさん食べたい! index ◆



最新の画像もっと見る

2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (アネッティワールド)
2019-12-06 00:25:25
お久しぶりです。
お元気でしたか?(心配していました)
今週神奈川へ行ってたんですよ、車で。
枇杷狩りなんて言うのがあるのですね。
ブドウやみかんなら知ってますが、枇杷は始めて知りました。
去年アクアライン走ったので懐かしかったですよ。
またお邪魔させていただきますね。
返信する
アネッティさんへ (リカ)
2019-12-06 19:23:30

アネッティさん!ご心配してくださっていたのですね。
どうもすみませんでした💦
9月末以来、ご無沙汰してしまっていたんですね。こちらはいたって健康に暮らしていましたが、10-11月は少し慌ただしい秋でした。

また、びわ狩りのことをアップしようとした矢先に大型台風がやってきて千葉が大被害を受けたため、アップをためらったというのもあります。

びわ狩りののち、再び房総半島を訪れましたが、その2週間後に台風が上陸して、さまざまなものをなぎ倒していったことに、ショックを受けました。
復興には長い時間がかかりそうですが、再起を願ってアップします。

神奈川にいらしたんですかー!
近くにお越しになっていたんですね☺
車というのがスゴイー!

私は先週、関西を旅していました。すれ違いだったりして?
では神奈川の思い出話がアップされるのも、楽しみにしていまーす♬
返信する

post a comment