風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

奥大和・京の桜の少し前 2-1

2018-03-29 | 近畿(京都・滋賀)
1日目からの続きです。 

● 京都は混んでいる

2日目の朝。
ゆっくり寝ていたい気持ちをこらえて起き、出発。
外はとてもいい天気。
古めかしい京町屋風の家屋。趣があります。



まず京都駅に向かいました。
朝から大混雑している駅のバス乗り場を見てびっくり。
この時期は混んでいないのかと思ったら、そんなことはありません。
今は春。やっぱりみんな京都にやってくるのです。



なんと前日から、京都市バスの1日乗車券が、500円から600円に値上がりしていました。
ワンコインじゃなくなっちゃった!
その代わり、これまで範囲外だった嵐山方面にも行けるようになったので、便利です。
外国人観光客には、パス適用範囲を理解するのは難しかったんじゃないでしょうか。
今までも、1日乗車券で嵐山で降りようとして「これだと追加料金が必要ですよ」と運転手さんが英語で一生懸命説明する場面を何度も見かけて、大変だなと思っていました。

● 桂はすいている

京都の中心部は大混雑していますが、桂は落ち着いていて、人もまばら。
西京極から桂大橋を渡ると、離宮が広がっています。
向こう側を阪急電車が通っていきました。



「一生は旅の山路と思うべし. 平地は少し峠たくさん」
桂大橋の近くのお寺で見かけたお言葉です。



● 念願の桂離宮

この日は、初めて桂離宮を見学します。
この辺りは、平安時代に観月の名所として貴族たちが「月の桂」と呼んだ場所。
約5万9400㎡の広い敷地に、桂川から引いた苑池を作り、その周囲に書院やいくつもの茶亭を置いています。
日本庭園美の集大成といわれるこの離宮は、紅葉の時期には倍率がはね上がり、申し込んでも一度も当たったことがありません。
庭園好きの母に、さんざんうらやましがられました。



離宮の周囲は、竹の葉でできた垣根に囲まれています。
これは桂垣(かつらがき)といって、生えている竹をしならせて作っているのだそう。
この離宮でだけ見られる生垣だそうです。



集合時間が来るまで、門の外でしばらく待ちます。
事前申し込み済みの人たちのほかに、当日受付を待つ人たちも、列を作って待っています。
天気がいい日ですが、それでも外に並んで長時間待つのは寒そう。

● 見学ツアー参加

参観時間になり、初老のガイドさんに連れられて、園内に入りました。
参加者32名の半数近くが外国人です。
建築家のブルーノ・タウトが絶賛した庭園なので、外国でも有名なのでしょう。
前に高崎の少林山達磨寺で、タウトが暮らしていた洗心亭を見たことを思い出しました。

小道は、小さな石の自然石と大きな石の人工石で作られています。
この二つを組み合わせて使うことで、茶室に向かう時のリラックスした中に多少の緊張感を持った気持ちを引き起こす効果を上げているそうです。
さりげない中にも計算された、日本の美の奥深さ。



「春になり、虫が増えてきましたね」と参加者の一人が言うと、すぐ「ムシできませんね」と返したガイドさん。
関西では、宮仕えの人でもダジャレを忘れないのね~。



「ザ・桂離宮!」という雰囲気の築池が目の前に広がります。
静かな水面は鏡のよう。

● 茶席の数々

奥に見えるのは茶席「笑意軒」です。
桜のつぼみはもう膨らんでいますが、う~ん、花開くにはまだあとちょっと。



離宮内で最も格式が高い茶席「松琴亭」。
青が美しい茶室、二の間。
モダンな色合いですね。



目に鮮やかなチェッカーフラッグ、いえ市松模様の障子。
越前和紙でできており、青色は露草で染めたものだそう。
2週間前に張り替えたばかりだという、新鮮で深みのある青色でした。



シンプルな石橋を渡る前に、先を歩くガイドさんがくるっと振り向いて「これまでこの橋の上で写真撮影中に橋から落ちた人が、知る限りで26人います。ですから橋の上での撮影は禁止です」と言いました。
確かに橋から見える池越しの景色は美しく、カメラを構えていなくても足を踏み外しそうになりました。



梅とかやぶき屋根の温かさ。



ガイドさんに「庭師は何人いますか?」と質問すると「2人専属がいるほか、いろいろな人が協力してくれています」とのことでした。

● 代表的な日本庭園

あずまやから池越しに茶室を望みます。
風流ですなあ。



茶室で見かける止め石。
「ここから先は入らないでね」のサインです。
でも外国人参加者たちには通じておらず、気にせずに建物に近づこうとするので、ガイドさんが「ストップ!アーンド・カムバック!」と声をかけていました。



いろいろ説明してもらいながら、ぐるりと中を散策した1時間の見学が終了。
「5月には霧島ツツジが池に映えて美しいので、またぜひいらしてください」とガイドさん。
また訪れたいわ~。次回はジェラシーに燃える母も一緒に(笑)。



足元のマンホールには、「宮」の字がついていました。
宮内庁マンホール!初めて見ました。

● 橘逸勢の神社

桂離宮の周りも散歩してみると、古そうな神社がありました。



御祭神は三筆の橘逸勢(たちばなのはやなり)。
嵯峨天皇、空海と並んで日本三筆と称された、平安前期の能書家です。
きれいな字ばかりさらさら書いて過ごした雅な人かと思ったら、政治の陰謀に巻き込まれて流罪となり、その道中で死亡した人で、悪霊とならないように神として祀っているのだとか。

字が上手になるように、お祈りしました。



境内には、日本の歴史を眺めて来たかのような古木がありました。
樹齢400年のムクロジの樹。大きなうろがありました。



離宮のそばにある老舗和菓子店中村軒で一休みしようかと思いましたが、離宮の見学を済ませた人々で、お店は混んでいました。
そこでバス停へ向かい、30分に一本のバスを待ちます。
ふたたび終点の京都駅に戻ると、先ほどよりもっと人が増えていました。

前日の吉野、そしてこの日の桂離宮を見るに、まだ京都と奈良の桜が咲くには早そう。
残念ながら、お花見のタイミングではありません。
そこで急きょ予定を変更し、梅で知られるところを訪れることにしました。

● 梅の天満宮

まずは北野天満宮へ向かいます。
駅の、驚くほど長いバス待ちの列に並びます。
ぎゅうぎゅうのバスの中、ほかの乗客も大勢天満宮前で降りました。
バスの混雑は、北野天満宮渋滞だったというわけです。



ここの飛梅は鮮やかなピンク色なので、驚きました。
太宰府天満宮の飛梅は、たしか白かったはず。
えーっ、どうして~? きっと同じ株じゃないのね~。



普段だと、ここに来ると、あちこちにいる牛の像に目が行きますが、さすがに今回は境内に咲き乱れる梅の方に引きつけられます。



春らんまん。紅白織り交ざってきれいですね~。



北野天満宮は紅梅の方が多い感じ。華やかな印象です。



境内は、梅を見に来た人々でにぎやかでした。



● 早咲きの平野神社

「京都で一番早い桜が咲く」といわれる平野神社に行きました。
桜で有名なところなので、提灯も桜マーク。



それでも、境内の桜はまだ咲いていませんでした。
淡い黄色のうこん桜もこれから。この時は、白い雪柳がきれいでした。



その2に続きます。



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