
ナソロジーのバイブルといわれる、
B,B,McCollumとC,E,Stuartが1955年に出したリサーチレポート。
この書籍を全編和訳した書籍がようやく完成した。
2021年から私と門井先生で始めたが、ネイティブな英文で古語の表現などもあり
数人の著名な先生方に多大な御助言やご助力をいただき、4年の歳月をかけてようやく形となった。
今回私達がこの作業にとりかかった理由は、以前、元大学教授のある先生が、
リサーチレポートは完全に翻訳されたものが日本には存在しないという
お話をきいたのがきっかけであった。
実際、翻訳を始めてみると今まで教えられてきたナソロジーのより奥深い事柄を
知ることができ、機械論的な内容よりも
歯科学の基礎的な事柄と歯科医療の本質が的確に記されている内容に注目がいく。
ご助力いただいた諸先輩方も知らなかったことが多々あったとのことで
興味深くお手伝いくださったほどである。
また私は翻訳だけでなく、編集後記にていくつかの事柄の考察を行っている。
この翻訳本は当初、数社の歯科商業誌の出版社に協力をお願いしたが
商業的に売り上げを見込めないものには協力できないと断られていた。
しかし、私や門井先生は、売って儲けたいという気持ちなんぞ
最初から持ち合わせていなかったので、製本を引き受けてくれた出版社に、
書籍の売り上げは全て出版社のものという約束のもと
製本料金を安価にしてほしいとお願いをして自費出版した。
一定部数を作製する必要があったため、その費用を出版社に支払い
作製した本の90部程度は、PGI名古屋の会員で書籍を読みたいという先生方に贈呈、
普段、私と親交のある諸先輩やかわいがってくださる先生方にご献本をした。
残りの部数は、出版社が保有しており
閲覧したいという方がいれば出版社に直接連絡してもらうと在庫があれば購入できる。
ちなみに私と門井先生には一銭も入ってこないため、もし在庫がなくなって
増刷することになっても、私達は関与しないので出版社がどうするか決めるだろう。
今回の発刊は、私達がやりきったことを形に残したかったが、
平生に私は、損得勘定ぬきの努力というものを仲間に諭しているため、
臨床だけでなく、このような形でも私の仲間達に行動によって伝える意味もある。