久しぶりに症例を提示する。
初診時6X歳女性 主訴は左上2のジルコニアが割れたとのこと
前医にて包括的咬合治療を約1年前まで行っていたとのことだが
1年ほどで右上2の保険外で行った補綴が破損したことについて、
前医では納得のいく対応をしてもらえなかったため通院をやめたとのこと。
当院を友人に紹介されたとのこと。
実際の口腔内を見させてもらった。
このような補綴物の破損がみられる事例においては、まず最も疑うべき病態がある。
そこで初診時、私は通法で行っている診査を行った所、不定愁訴を伴う
重度の顎機能障害を患っていることが診断された。
そのため当院で行っているスプリント療法から生理的に安定した顎位を得た後
2回目のスプリント治療により、状況の安定を目指し
3回目のスプリント治療によって顎機能の安定の確認を行い、数週間の経過観察後
最終補綴は患者背景も考慮して、必要最小限の部位で行った。
治療中期から不定愁訴の改善がみられ、開閉口運動量や顎運動も改善され、
最終補綴後も安定しており、患者からは高い満足を得ることができている。
通常、当院の診断により軽度の顎関節症と判断されるものは、
非常に短期間で顎機能異常を改善させることができるが、
本症例の様に、重度の顎機能障害がみられる事例は、一般的に用いられる
スタビライゼーションスプリントでの「顎位の模索」なるものを行っても
良好な結果は得られないと考える。
また、他の手法を用い顎の安静を図っても、症状は緩解するかもしれないが
その後、どのように処置していくかが大きな課題である。
当院が使用した1回~3回目に用いたスプリントは、それぞれの目的と定義が違う。
術前術後の添付する写真でどのように判断し、どうアプローチしたか
どうして術者が考えた補綴部位だけにしたか
想像を膨らましてもらえればと思う。
本症例はPGI名古屋の月例会で詳細なアプローチを提示したい。