リキデンタルオフィス 医療関係者向けブログ

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私の日常臨床 40

2019-02-27 07:50:28 | Weblog
今回は症例を。

症例は他院で左上4にダウエルコアーを植立後、根破折を起こし
抜歯対象として抜歯後、インプラント治療をすすめられたとのこと。
同部にポンティック状のリテーナーを入れていたが、
何回もとれるのが苦痛であったとのこと。
左上4の破折した原因については開口状態であるため、
矯正治療によって咬合状態を改善する必要があると前医に指摘されていたとのこと。
咬合違和感もあったとのことだが、これについても開口が原因であるためと
指摘を受けていたとのこと。
しかし、咬合違和感の状態にいたった経緯について納得ができず
矯正治療と大臼歯部のインプラント治療の説明のみで
明確な原因の説明を受けれず、転院を決意して数件歯科を受診したが
受診した歯科すべてで矯正は必要といわれたとのこと。

当院受診 初診時、口腔内を精査して私が判断したことは
とりあえず矯正治療はする必要が全くない。
ある原因で現在の状態に至っただけである。
初期治療後、いろいろ行って、咬合再構成を行ったが
暫間補綴の時点前にはすでに患者の咬合違和感などはすべて
解決しておいたので、最終補綴作業の期間は短かった。

添付する写真で、欠損補綴治療など、何をやったかは想像してもらいたい。

この症例で問題提起をあげるとするなら
症例を煩雑化、複雑化することを考えるべきでなく
原因の背景を的確に診断し、それに対して的確な処置をすべきであって
欠損状態をシンプルにして機能回復を行う ということであろう。

デジタル化に思うこと。。。

2019-02-18 08:29:05 | Weblog
昨日、東京で行われた日顎指導医研修会に参加してきた。
その講演の中で、口腔内をデジタルスキャンすることで
模型や咬合器を用いなくても補綴物が作成でき、その精度も
中々良いという内容の講演があり、興味深々拝聴することができた。
他にも無呼吸症候群で歯科で対応できるケースについて、医科との連携についてや、
昨今の歯科事情から考えるメタルフリーのお話もあり、
非常に参考になり参加してよかった。

ただ、昨今のデジタル化については反論ではないが、
本当にどこまでデジタルに依存するべきなのか
私の中では思うことが多々あった。
歯科界を明るくするための最先端技術は、技工士の未来を暗くする場面もあり、
歯科界全体からすれば本当によいものか、私にはよくわからない。
また、現代はまだデジタル化が本格始動しはじめた段階であるが
何十年先に完全にデジタルが主流になったとした場合、
今我々が行っているアナログ的な技術を知ることもなく、デジタルの教育と情報のみで
育ってしまった後継者たちは、もしトラブルなどでその器材が使えなくなった場合
どう対処するのか…

世界的にみても歯科界でのデジタル化が遅れている日本といわれているそうだが、
時計職人や陶芸、美術でもそうだが、歯科医師も同様に、
補綴物や修復物を作成する物づくりの職人にAIは必要ないのでは?

妥協したとしても
「温故知新」・古きよき技術をしっかり手に染みつかせてから、最新のテクノロジーを
用いることをわすれてほしくないと、生意気ではあるがそう願う今日この頃な私だ
なんでもかんでも新しいものにすぐ飛びつくより、
今自分が学んだ学術をしっかり活かしているか、
しっかりできているかの方が大事だと思う故、
私はおそらく完全デジタル化がなされたとしても
きっとぎりぎり限界までデジタルにはたよることはないだろうな。。。
我々は医療人であるとともに職人なんだよね

症例検討会

2019-02-04 07:52:41 | Weblog
昨日は当院で朝から症例検討会を行った。
3名の先生方にケーススタディで構成した症例を提示してもらい、
参加者によるディスカッションを行う内容。
今回の最大の目的は、顎機能障害に対する診査診断を含めた理解度を再確認することと、
プレゼンする側では、
カッコつけた構成やおしゃれ感などだした構成よりも内容構成に重視すること、
見る側の視点では、
プレゼンテーションにおいてどのような点について質疑や討論をするべきか
などについて症例を用いながら具体的に研鑽することであった。

また、最後に私から、顎機能障害症例において精神的な問題にまで発展した症例に対する
考え方と対処法についても解説を行ったが、顎機能障害に対する治療を行うにあたっては
絶対的に知っておかなければならない内容である。